うらやすくらさんのレビュー一覧
投稿者:うらやすくら
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ファントム・ピークス
2009/04/12 21:46
警鐘なのかもしれない
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
つぎはどうなるのか、という気持ちを持たせ、次のページをめくらせる作者の筆力には感服いたします。
自然と人間とのかかわり方についての警鐘として筆者はこの小説を書いたのでしょうか。
前半の畳み掛けるような謎が後半に行くにしたがって解き明かされていく中で、最終部分をもう少し掘り進んでいくことが必要であったかもしれないと感じました。ただし、警鐘という部分を強調するのであれば、謎解き部分を強調しないという手法も正解なのかもしれませんが、少々不満が残ったことも確かです。
登場人物に関して言えば、多分三井周平が主人公なんでしょうが、他の登場人物との関係を整理して、周平の視点というものをもう少し強くしても良かったのかもしれません。
ここからは、書評というより感想記的なものになります。
筆者は、2006年に癌で他界しました。私より3つか4つ年上のこの筆者とは、今から20年以上前にとある同人誌で一緒でした。あの頃、酒を飲みながらいろいろな話をしましたが、あまり文学の話はしなかったように思います。あの頃、「鹿毛馬のいる山」という作品で文学界の新人賞の最終近くの選考まで残ったと思います。そのときはいろいろ言っていましたが、あの頃書いていた作品とこの作品を比べると本人筆力は格段に優れていると思います。本人の精進してきた過程がわかるような気がします。
10年以上会っていませんでしたが、ふとネットで調べたらこの本が出てきました。同時代に係わりのあった者として、早崎氏が亡くなったということにショックを受けました。
この作品を本という形にしていただいた関係者の皆さんに感謝いたします。
「北林一光」の作品がもっと世に出ることを願っています。
でも、この最初の書評部分を見て、早崎が生きていたら、『お前はまだわかっていない』って言われそうです。
甲子園の空に笑え!
2002/05/22 23:29
偶然とは
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川原作品の魅力の一つに「偶然がわざとらしくない」という部分があります。
甲子園…、銀のロマン…はまさに偶然が偶然を呼び込むという図式を描ききっており、なおかつ、最後に一波乱という、川原作品(中篇)の特徴を顕著にあらわしています。
ゲートボール…も偶然の中での展開。しかし、その偶然が必然に感じられ、まったく無理の無い作品になっているということは、読む側にとってとっても幸せなことです。
「メイプル戦記」を読むためには、「甲子園…」という作品は、必ず読んでおくべき作品です。
事象の地平
2002/05/22 23:15
本人の書評
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哲学の入門書としても楽しめますが、何がファンにはこたえられないかというと、全編に過去の作品のコマがちりばめられていることです。
これは、「どの作品のどの場面か」当てをやってもおもしろいのではないでしょうか。
あと、巻末の本人の過去作品の書評は、これまた、一味あります。
大衆食堂の人々
2002/04/25 21:54
常識への挑戦?
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呉智英氏は、どうしてこうも正論を吐くのでしょう、という気持ちにさせられます。いや、正論を吐き捨てるという表現が正しいのかも知れません。
現代日本が抱える誤った常識を快刀乱麻に切り捨てていく様は、「そうだったのか」と改めて自分の知識の無さを感じさせられる書であります。
「支那」とチャイナは同じであるという、わかりやすい正論は、この書の中にも延々続いており、「大衆」という言葉のもつあやふやなイメージを、「食堂」という言葉を付けることにより、「大衆食堂」という万人がイメージしやすいものに置き換えていく手法はまさに圧巻であります。
正論を唱えることが、現代ではいかに過激に移るのかという見本の書であり、常識というものが何の智の裏づけが無いものであるということを証明することに挑戦している書であります。
織田信長合戦全録 桶狭間から本能寺まで
2002/04/14 14:31
冷静な歴史観
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「鳴かぬなら殺してしまえほとどきす」、こういう比喩というか、デフォルメを通して、私たちは歴史上の会ったこともない偉人を認識している。しかし、実際の人間はそんな単純なものではないわけで、そのデフォルメ以外の部分に大半の真実は存在する。
この書は、冷静に全合戦を調べ、時系列的に、勝ち負けを含め、再現していくことにより、その合戦の裏にある時々の人間像を浮き上がらせている。偉人といわれる人について書かれたものを見るとき、その人物を中心にすえ、その人物がいかにすごかった、人間らしかったか、という部分に焦点を当て、記述される場合が多い。
しかし、本書では、冷静な歴史観ともいうべく、淡淡とした中で桶狭間からの全合戦が記述されていく。秀吉、勝家らに対して指示した信長の心中は、この書の中には記述されない。しかし、その状況を明確にすることにより、信長は「こう考えていたのでは」と読者が勝手に察することのできる仕組みとなっている。合戦を一つ一つ追うことにより、読者自身が信長となり、軍団を動かしている気持ちにされる書であるといえる。
読み進めていく内に、当時の地図が欲しくなる。
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