こう さんのレビュー一覧
投稿者:こう
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夏の王
2001/10/27 23:07
贖罪の物語
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双子の妹オナーが事故死して一年。
現実主義のローレルに対して古い伝説や妖精の存在を信じていたオナーの日記には、妖精たちをほのめかすような言葉が繰り返されていた。妹の死に打ちひしがれていたローレルは、事件の真相を知るため、オナーに再び会うためアイルランドにやってきた。
ローレルの前に現れた妖精たちは、オナーは使命を果たす前に死んでしまったために現実世界と妖精たちの世界との境目に捕らわれていると告げる。ローレルはオナーの代わりに、<夏至祭>最初のかがり火をともす<夏の王>を探すという使命を果たすため旅に出ることになるが…
贖罪と喪失、そして愛の物語。
ローレルは旅を進めながら、オナーを失った痛み、彼女を死なせたてしまったという罪の意識と向き合うことになり、そこに過去<夏の王>が犯した過ちが絡み合いながら物語は進んでいく。
大切な存在の死とその哀悼という暗い色調を帯びているが、その痛みを味わい尽くした後に待っている赦しはとても優しい。
メリングのケルト3部作のひとつ『妖精王の月』の後日譚にあたるお話で、前作の登場人物がひょっこり顔を出したりもするが、基本的には独立したお話として成り立っているため、前作を読んでいなくても充分に楽しめる。
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