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投稿者:日野
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〈希望〉の心理学 時間的展望をどうもつか
2002/01/12 00:43
「重い『今』」に押しつぶされないために
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進路や恋愛についての話題も戦争体験などの重いテーマも淡々と語る語り口には、筆者の中で形作られてきたであろう静かな「信念」すら感じ取れる。絶望や孤絶にいかに立ち向かうか。本書は、自分の人生の意味と置かれた状況を問いなおすきっかけとして、また生と死の意味、他者と歴史に自分がどう関わるか、自分の生き様を見つめなおすきっかけとして有意義なものとなるだろう。
本書におけるキーワード『時間的展望』とは、『ある時点における過去および未来に関する個人の見方や考え方』をいう。自分の時に対するスタンスを見つめなおすことで自分の、人生・行き方に対する前提を改めて問いなおすことが出来る。
時が過ぎるのが速すぎると感じて空しさを覚えるのは、私たちが味わうべき「現在のふくらみ」をもち得ていないからかもしれない。過去を意味付け決別する。未来を構想し立ち向かう。そうしてそこに動機づけられる今がある、ということに、本書を読んで改めて気づかされた。
こうして書いていくと、非常に重い本のように思われるかもしれないが、実際は、豊富な研究事例や詩、物語を紹介していく手法が取られており、また様々な心理テストの事例も紹介されており、どの年代の方にとっても読みやすいものになっている。
人生を前向きに生きたい方に、また、「今」をうまく生きられないという方にこそ、ぜひご一読されたい。焦燥感や無力感といった「重い『今』」に押しつぶされないために。といって無思考に逃げてしまわないために。過去と現在と未来のそれぞれの意味を確かめることで、現実逃避でも安易な楽観でもない「希望」を持てるようになるかもしれない。
読了時間のめやす:3時間
■目次
プロローグ
第1章 時間的展望という視点
第2章 未来に立ち向かう
第3章 現在を生きる
第4章 人生を刻む
第5章 過去を引き受ける
エピローグ
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