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或るソフトウェア技術者さんのレビュー一覧

投稿者:或るソフトウェア技術者

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本構造化プログラミング

2001/12/12 18:28

古典中の古典。何故、これを読まずに平気なソフトウェア技術者がいるんだろう?

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 この本は『良いプログラムとは何か』を真剣に考えるソフトウェア技術者にとっては必読の書である。この本の原書 “Structured Programming”が刊行されてからだと、もうすぐ30年、この訳書自身の刊行からでさえ25年以上を経ているので、最近の dog year と呼ばれる変化の早さからすれば、「そんな大昔の本を読んだところで役に立つ訳がない」と勘違いするのも不思議ではない。
 そして、確かに、この本を読んだところで日々の具体的なプログラミングの仕事が目に見えて捗る訳ではない。そのような意味では、本書は巷に溢れているハウツー本のように役には立たない。
 しかし、もしも貴方が本当のプロのソフトウェア技術者として、良いプログラムを書きたい、と心から願っているのであれば、この本は、そんな貴方が読むべき本の1冊である事は間違いない。貴方が、自分の仕事としてのプログラム作りの背景にある正しい考え方、哲学といった事を知りたいのであれば、この本は、そんな貴方の期待に答えてくれる本である。

 さて、この本の章立を述べよう。
(1)構造化プログラミング論(ダイクストラ)
 本章を読めば、巷の「構造化プログラミング」と銘打った殆どの本に書いてある「goto 文を使わずにプログラムを書くのが構造化プログラミングです」といった類の説明が、如何にダイクストラ自身による本来の構造化プログラミングとは無縁でイイカゲンな代物かが良く判る。
 本章は最初は難解に感じるかも知れないが、自分自身で考えつつ繰り返し読めば、その度に新しい発見があり、構造化プログラミングの正しい考え方に近づける。

(2)データ構造化序論(ホーア)
 現在、広く利用されているプログラミング言語でのデータ型の定義の背景にある基本となる概念や考え方とは何か、また、複合データ構造を用いたプログラムの正しさを考える上では、どういった配慮が必要なのか、といった事に関してて簡潔にして要を得た説明がなされ、この章も、何度も熟読玩味するに値する。

(3)階層的プログラム構造(ダール&ホーア)
 多くの人は、Smalltalkがオブジェクト指向プログラミングの元祖だと思っているのではないか? 実は、オブジェクト指向の考え方は60年代後半にSimula67というプログラミング言語で生み出され、その言語の開発の中心人物が本章の著者の一人であるダールである。
 その意味では、ダールこそがオブジェクト指向の父と呼ばれるに値するが、本章も、そのSimula67でのオブジェクト指向の考え方を説明しており、オブジェクト指向での最も基本的な考え方を教えてくれる。

 以上、述べてきた様に、本書は、現在、巷に溢れているハウツー本とは対極をなす。本書を読んだからといって、直ぐに日々の仕事が捗る様になる訳ではない。

 しかし、本書は読者に「プログラミングでの正しい考え方とは何か」を確実に伝えてくれる。そして、それを知る事は、日々のプログラミングに対する見方を大きく変える。どう変えてくれるのか、と言えば、プログラミングという仕事が本当に誇りに値する奥の深い技術に基づく仕事であり、一生を賭けても取り組むに値する、という気持ちを持てる様にだ。そんな気持ちは、ハウツー本を1万冊読んだって得られない。
 本書に書いてある考え方は、表面的な技術が時代と共に変わろうと、基本的であるが故に、今も正しくて有効である。
 最後になったが、翻訳も非常に優れている。永遠の名著」とは、本書のような本を指す為に存在する言葉だ。

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