きむこさんのレビュー一覧
投稿者:きむこ
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蕭々館日録
2001/12/21 18:26
ここちよい哀しみ。哀惜の大正・芥川……
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おもしろく、けれどどこか哀しい本。華やかな場面が続く。けれどもなぜか淋しいのである。
大正という時代は「モガ」や「モボ」が生まれ、「大正ロマン」という言葉もうまれた華やかな時代。芥川龍之介はその才能で、一世を風靡した小説家。そんな時代の申し子のような芥川を中心にした当時のサロンの様子が書かれている。
しかし、その華やかな大正も芥川もやがてなくなる…。私たちは、それを知っているから、華やかな場面でも哀しくなるのである。
長い髪をかきあげる九鬼(芥川がモデル)、「麗子像」の格好をした5歳の麗子ちゃん(漱石の「猫」の猫のように大人たちを冷静にみる)、「大頭脳」のヒロシ君、金貸しの中馬さんも迷々さん(「猫の迷亭さんがモデル)、その他登場人物が目に浮かぶようなところは、さすが久世光彦はTVの人だ。
久世光彦は、これまで向田邦子の作品をベースに新春ドラマを作り続けてきた。それらはすべてに、ここちよい哀しみがベースとなっていた。今度は、「蕭々館日録」を是非、観たいものだ。
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