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岡野義高さんのレビュー一覧

投稿者:岡野義高

302 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本対論「所得税一律革命」

2002/05/22 22:53

節税よりも税金革命!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

論客「渡部氏」と経済学博士「加藤氏」との対談集。

日本は所得税が高い、という。
アメリカでは、所得税に限度額があるので、一定のライン以上に税金を納めれば、あとは稼いだ分がぜんぶ自分のものとなる。
けれども、日本は累進課税なので、稼げば稼ぐほど、税金で持ってかれてしまう、ということになる。
それで、一生懸命稼いだ金が役人や役所に無駄遣いされてしまっては、たまったものではないだろう。

サラリーマンは、自動的に税金がひかれてしまうので、あまり真剣に考えないけれど、自営業者の友人と話していると、いかに儲けるかを考えるよりも、いかに節税するかを考えたほうが、金持ちになる早道だ、と思うことがある。

努力した分だけ、正当に報われる世の中になるべきだ、と思う。
そのためには、税金制度を見直すことからはじめたほうがいいのではないか。
税金の話、というと難しそうな印象があるけれど、この本は対談集なので読みやすい。

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紙の本

居場所はあるの?

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 家路久は、元エリートサラリーマン。やり手で自信家だが、計算高く独善的な人間だった。ところが、単身赴任先のアパートで一酸化中毒となり、幸い死は免れたものの、ここ数年の記憶を失ってしまっていた。妻と息子の顔も覚えていないどころか、仮面をつけているように無表情に見えてしまう、という後遺症が残ってしまった。ポケットには、たくさんのカギが。ときどき無意識のうちに、以前よく通っていた家に向かってしまう。元妻と娘の家。愛人だった女の家。学生時代の親友の家。などなど。

 記憶を失ってからは、すっかり「いい人」になってしまった久だけれど、それぞれのカギの家を訪れているうちに、記憶を失う前の自分がどういう人間だったかがわかってくる。最初の妻と別れてから、すぐに今の妻と結婚したこと。今の妻の実家は資産家なこと。単身赴任していたのは、会社の秘書との情事がバレてしまって、左遷させられていたこと。学生時代の親友の彼女を寝取ってしまって、それが現在の妻なこと。いったい自分はどういう人間だったんだろうか。そして、いつまでたっても仮面をつけてるように見えてしまう、妻と息子との暮らしはどうなるのか……。

 記憶喪失というのは、マンガではよく使われるネタだけど、部分的な記憶喪失という設定が、じっさいにありそうでリアルだ。性格まで変わってしまうんだから、記憶というものは、とても大切なものなのだ。久がたくさんのカギを持っているというのは、それだけたくさんの居場所を久が持っていた、ということになる。けれども、久がそれぞれのカギの家を訪れていくにしたがって、そこはもうすでに、居心地のいい場所ではなくなっていることに、気づいてしまう。べつに記憶喪失にならなくても、年をとるにつれて、居場所が変わってしまう、あるいはなくなってしまう、ということは誰にでもある。だから久の不安な気持ちや切なさがわかるのだ。これはほんとうの居場所を探す物語でもある。久は、見つけられるのだろうか?

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紙の本

不破圓明流誕生!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「名をやろう」
「陸奥に仇なすかもしれぬぞ」
「よいさ 不破…… というのはどうじゃ」

この一冊は変わった構成をとっている。
とちゅうまでは、「13巻表」と同じ内容で、ラスト近くからは、虎彦の視点で物語が進行していく。
そして、不破圓明流の誕生へ……。

信長は、革命児でもあり、魔王でもあった。
正義の味方でもあり、悪役でもある、際立ったキャラクターだった。
虎彦は、あくまで、信長の味方をし続けようとした。
虎彦の信長への愛惜の言葉がせつない……。

また、あとがきで、作者は、おもしろいことを書いている。
「なぜ、明智光秀は信長を裏切ったのか」という問いに対する答えだ。
作者の回答は、とてもシンプルだけど、説得力のある回答で、思わず「なるほど」と声に出してしまった。
読んだらひょうしぬけするかもしれない。
けれども、専門家が、あれこれとでっちあげた理屈よりも、はるかに説得力があるように思えた。
真理とは単純なものだ、という。
作者のあとがきを読むだけでも、この一冊は買う価値があるのでは、と思う。

本能寺の謎を知りたい人にはオススメ!



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紙の本

紙の本学生と恥 上

2002/04/09 21:18

文庫本マンガの新スタイル!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 珍しいスタイルの文庫マンガだ。著者がプロになる前に投稿していた初期習作品と、当時を小説風に振り返ったエッセイとが、交互に掲載されている。あまりマンガでは、こういう企画的な試みというのはされない。とても珍しい作品だ。これは、文庫マンガだから可能な企画だったんだろうか。だとしたら、文庫マンガというのは、過去の作品をリバイバルするだけじゃなくて、もっと大きな可能性があるのかもしれない。

 著者は、田舎の教育大に進学するけれど、大学になじめず、アパートでマンガばかり描いていた。知り合いも、漫画研究会の先輩だったりと、マンガにどっぷりつかった学生生活を過ごしている。

 本書を読んでいると、著者が、とにかく作品をたくさん描いている人だ、と驚いていしまう。もともと、寡作な作家というイメージがあって、さいきんはずいぶんたくさん描くようになってしまって、だいじょうぶなのかな? などと思っていたくらいだ。著者は、ひたすら、たくさん描いて、上手くなっていった努力の人だったのだ。これは、マンガ家をめざしている人だけでなく、何か夢をもって努力中の人には、とてもおもしろく、共感し、励まされる本だ。

 本書のハイライトは、読者訪問で、ベストセラー作家、竹宮恵子サンを訪問するシーンだ。おなじようにマンガ家をめざしている読者たちと訪問するのだが、現実的にマンガ家になることを考えてる年上の人からは、好きなだけじゃやっていけない、ということを言われて、心が小波だったりする。現実とどうやって折り合いをつけながら、レベルアップしていくか。これは、だれもが、共感を覚えるんじやないだろうか。

 本書には、息抜き的な実録4コママンガも入っていて、同級生のお嬢様風が実はオタクで同人作家らしかったりする、なんてエピソードがあって楽しい。

 本書では、マンガばかり描いている作者に興味をもって、とつぜんアプローチしてきた友人と、そのパシリ的な男とが、著者の日常生活に入り込んでくる。下巻では、三人の人間関係が中心になって、エッセイが進むようだ。読むのが楽しみである。

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紙の本

キズつけてあげようか……

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「これが涙 
 はじめて見たはずなのに
 はじめてじゃないような気がする
 私……泣いてるの?
 なぜ……泣いているの」

センチメントの季節でブレイクした榎本ナリコが、野火ノビタ名で描いていたころの初期短編集。
三冊シリーズになっているが、この巻では、ボーイズ・ラブ色の少ない作品を集めている。
たとえば、オリジナル作品や、アニメのパロディなど。
どちらかといえば男性向けかもしれない。

ある作家がブレイクすると初期作品集を発行る、というパターンは、すっかり定着したようだ。
ファンにとっても手に入れやすいし、この作家は、こんなマンガを描いていたのか、とか、こんなに絵が下手だったのか、など意外な発見が楽しめる。

もう一つの楽しみは、作者が自分の作品について書いているコメントだ。
榎本さんは、かなりくわしく「あとがき」で書いているので、こちらもたっぷりと楽しめる。
「少女小説」を書いても成功するんじゃないか、と思うくらいに。

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紙の本

紙の本修羅の刻 13

2002/06/25 00:49

歴史の陰に陸奥あり!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「オレはおまえが一度も修羅の血をたぎらせる事なく……
 ただ手を汚していく事が悲しかったのだ……」

歴史の陰に陸奥圓明流あり。
そして、織田信長の背後には、双子の虎彦、狛彦が。

駒彦は、信長のために、鉄砲衆の首領、雑賀孫一へと無手で挑む。

一方、時代を切り開こうとする信長は、ますます苛烈に敵を皆殺しにしていく。

あくまで信長を守ろうとする虎彦。
しかし、狛彦の取った道は……。

二人の「陸奥」が本能寺で激突!

このシリーズは、陸奥圓明流と不破圓明流が分かれるきっかけとなった物語だ。
お見逃しなく!
信長ファンも!

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紙の本

みんなで街を元気に!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

情報の時代、インターネットの時代になったけれども、地域に人が住むことは変わらない。
むしろ、これだけ情報化が進めば、生まれ育った田舎でも、さほど不自由なく暮らしていけるはず。 
しかし、現実には、田舎の過疎化は進んでいるし、逆に、都心では空洞化が進んでいる。
そして、Uターン、Jターン、Iターンなどがしたくても、仕事がないと地域に住めない、という現実がある。

これを解決するのが、コミュニティ・ビジネス(地域密着型事業)だ。
NPO(民間非営利組織)をベースにするけれど、まったくのボランティア事業ではない。
必要以上に利益を追求することはないけれど、ある程度は採算をとりにいく。
手弁当だけでは、限界があるのだ。

コミュニティ・ビジネスは、新しいライフスタイルや地域のありかたを産みだしていくかもしれない。
たとえば、定年退職したばかりのお年寄りにとって、コミュニティ・ビジネスはあらたな生きがいになるだろう。

若者にとっても魅力的にうつるはずだ。
最低限度の生活費を稼ぎながら、社会貢献できるやりがいのある仕事を続ける、ということが可能となるかもしれないのだ。

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紙の本

紙の本虹色のトロツキー 2

2002/06/03 23:10

やさしいスパイはご用心!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

時代は、昭和、日中事変の前後あたり。
舞台は、大陸。
満州!
日本とモンゴルのハーフ、ウムボルトは、不思議な縁に導かれて、満州の建国大学に入学。
伝説的な戦略家である石原完爾や、ソ連の革命家トロッキーらとすれちがいながら、殺された両親の謎をさぐる!


ウムボルトは、密命をおびて故郷へ。
かっての親友や、酒場の歌姫と、思いがけない再会をするが……。

戦争というのは、敵との戦いが中心になるものだとばかり思っていたけれど、このマンガを読んでいる限りでは、日本の軍隊の内部争いのほうが、むしろメインだったんじゃないか、と思えてしまうほど、内部の主導権争いは激しかったようだ。
でも、よく考えてみると、いまの会社でも、同じかもしれない。
社内の派閥争いにばかりかまけていると、業績が悪化して、いつのまにか、別の会社に吸収合併されてしまうところなんかも……。

満州、というと、日本のエゴがむきだしになったような悪いイメージしかなかったけれど、なかには、満州国理想を抱いてがんばった日本人がいたのだ、ということもわかる。
もちろん、理想は理想として、きびしい現実もあるけれど。

「染まりたくないよな、悲しくても……」
建国大学生のつぶやきが哀しい。

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紙の本

紙の本虹色のトロツキー 1

2002/06/03 23:07

失われた近代史!

4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

時代は、第二次世界大戦における日中事変の前後あたり。
舞台は、大陸。
「満州」、だ!
日本とモンゴルのハーフ、ウムボルトは、不思議な縁に導かれて、満州の建国大学に入学。
伝説的な戦略家、石原完爾の善悪は?
ソ連の革命家、トロッキーとは?
そして、殺された両親の謎とは?

このあたりの、いわゆる、近・現代史は、学校の授業では、ほとんどやらないところだ。
縄文時代あたりは、じっくりやるけれど、どうしても、後半は駆け足になってしまうし、日本が戦争を拡大する、という、あまりイメージのよくない時代だけに、センセイたちも、やりづらいんだろう。
自分の場合は、江戸時代の終わりあたりまでは、ふつうにやって、明治時代以降は、「あとは、各自、教科書を読んどくように」、などと言われて終わりだったような記憶がある。
思えば、いいかげんなセンセイたちだった。
もっとも、こちらも、あえて、学びたい、などとは思わなかったけど。

そんなわけで、この時代のことを、例えば、韓国の人に聞かれてしまうと、たじたじ、となってしまう。
具体的なことは、なにも知らないので、とにかくあやまってしまう。
政治家も同じようなもんだ。
「土下座外交」、と言われてしまうくらいに。
じっさいはどうだったのか、ちゃんとしたことを知りたい、と思いつつ、かといって、きちんと勉強したい、とまでは思わない自分のような人間にとって、本書のようなマンガは、おもしろくて、ためになる、一石二鳥のマンガだ。
いわば失われた、日本の近・現代史について、少しだけでも、興味を持ったことがある人なら、この物語がオススメだ。
ましてや、舞台は、満州だ!
大陸のロマンがあふれてくるのである。

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紙の本

お気楽女のガテン系!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

一級建築士を目標に、自己実現を目指す女の話、ではない。
肩の力が抜け、ついでに頭もぬけている、お気楽系女の子が主人公。

最近、4コマストーリー系の漫画を買うことが多くなった。
このジャンルは、あまりなじみがないせいか、今までノータッチだったけど、小池田マヤさんをはじめ、有力な漫画家がでそろっているようだ。

マンガ好きな人で、青年誌も女性誌も読むという人でも、あまり、4コママンガには関心がないようだ。
いわば、未開拓のジャンルだ。
最近、読みたい漫画がなくなってきた、と感じたら、このジャンルに踏み込んでみるのをオススメする。

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紙の本

関西発ファイティング・ガール!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

作者桜井さんの初コミック!
関西系喧嘩大好き少女と、彼女には弱いけど、本当は強い少年とのラブコメ。

関西系、ヤンキー系、のマンガ? と思ってしまうけど、コテコテではないので、誰でも入っていける。

主人公のイナセなところは、むしろ江戸っ子テイストか? 

吉本が市民権? を得てから、関西ブランドは、漫画の世界でも、すっかり、メジャーになった。
青木光恵さんをはじめ、関西風味の作家は、おもしろいのが多い。
この作者も期待大!
ほかに、地方色が魅力の漫画というと、「サードガール」の西村しのぶ、「神戸在住」の木村紺、などを思いだす(偶然、どちらも神戸だ)。
地方マンガ? も、これからどんどん増えて欲しい、と思う。

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紙の本

事なかれ主義を越えていこう!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この物語は、失聴者で手話を使う美栄子、夫の野辺、娘の千鶴、三人のファミリー・ドラマだ。

野辺一家がサイクリング大会に出ようとしたら、美栄子の参加を断られてしまった。
主催者から見れば、管理できない、どう対応したらわからないことについては、「悪いけど、遠慮してくれ……」、ということになる。
「人に迷惑をかけてまで、したいことなんですか?」、という必殺技? も持っている。

これは、とにかく問題を起こさなければいいという事なかれ主義と、なんでもすべてをきっちり管理してしまおう、という管理主義の悪いところだろう。
むしろ、美栄子のような存在によって、ふつうの人が、失聴者についてふれる、いい機会なのに。

けっきょく、野辺一家は、サイクリング大会には参加しないことにした。
ただ、同じコースを、みんなと同じ時間に出発して、のんびり走ろう、ということに。
とちゅうで道草を食ったり、お弁当を食べたり。
大会を消化することしか考えていない主催者側にせきたてられてするサイクリングとくらべて、どれだけ楽しそうに見えたことか。

事なかれ主義や管理主義に打ち勝つのは、いつも、「楽しむ」、ということなのだ。

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紙の本

マスタープランづくりの現場から!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本に書かれているように、市民参加のまちづくりは難しい点がある。

たとえば、行政の側で、市民参加を嫌がる場合もある。
そんなときには、必要な資料が提出されない、などということもありそうだ。

そして、市民の側にも問題点がある。
市民参加によるまちづくりを、とよびかけても、いきなりだと、何を言ったらいいのか、わからない人も多い。
いままでは、とにかく役所にまかせっきりだったのだ。
それに、自分のエゴをむきだしにしてしまう人もいる。
たとえば、まちづくりの話し合いをしてる場で、自分の家の前の道路を広げてくれ、などと発言する人もいる。
そして、集団のエゴもある。
これは、自分たちのグループが正しいことをしている、と考えている集団に多い。
集団の理想を市民一般に押しつけがちなのだ。

本書では、東京都日野市において、市民約100人が集まって、市民版マスタープランを作成した事例が紹介されている。
この代表者のコメントがおもしろい。
ふつうは、素人が話して専門家がまとめるものだけど、まちづくりにおいては、専門家が話して素人がまとめるべきだ。
なぜなら、専門家は、自分の専門にとじこもって我をはることがあるからだ。
専門家の意見がまとまらなくなったときこそ、素人の感性でつなげることが必要なのである。
だから、専門家が難しいことを言いだしたら、「あなたが言っていることは、全然わからない。もっとやさしい言葉でしゃべってくれ」、と言うくらいでよいのである。
などなど。

日野市では、このグループが、環境基本条例を直接請求でつくったり、農のあるまちづくり構想を打ちだして、環境白書で紹介される、などの実績を残している。
もっとも、当の日野市はまったく無視しているそうで、市側では、別途に、行政版マスタープランを作成し、まったく、共通点はないそうだ。
これが、まちづくりの難しさなんだろう。

ともあれ、まちづくりに市民が参加する機会は、少しずつ増えていることは、まちがいない。
今後、まちづくりをめぐり、行政と民間と住民との関係がどうなっていくのか、楽しみだ。

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紙の本

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2002/05/28 21:12

センセイのお仕事!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

真理子は、十七歳の女子高二年生。
運動会の後半が中止になった日、家に帰って一息ついていた。
少しの間、うたた寝をして、目が覚めたと思ったら、真理子は、四十二歳になっていた。結婚して子どももいる。
しかも、この春休みが終わったら、高校三年生を教えなければならない。
教師になっていたのだ……。

この本は、北村さんの「時と人」の三部作に入る作品。
北村さんは、タイムスリップものに、とても関心があるようだ。
でも、SFという感じはしない。
変に難しい理屈をつけたりもしない。
そのへんが、SFマニアだけでなく、一般の読者もつかんだ秘密だろう。
けっきょく、真理子は、ほんとうに時空を超えたのか、それとも、たんなる記憶障害なのかは謎のままだ。

この物語の魅力は、教師という仕事は、どういうものか、という、いわば「業界もの」的なところにある。
北村さんは、小説家になる前に、高校の教員をやっていただけあって、とてもくわしい。
教員の仕事というのは、(生徒として)同じ学校にいるんだからわかっているつもりだったけど、意外とわかってなかったんだな、と気づかされる。
真理子の場合は、同じ教員の夫や、同じ学校の生徒である娘の力を借りながら、なんとか、「教師」という役割を演じていく。
そのようすは、まるでRPGのよう。
教員志望の人にもオススメだ。

真理子の場合は、タイムスリップという、非日常レベルでのアクシデントだったけれど、ある日、とつぜん、とんでもない運命に巻きこまれたり、あるいは、仕事で予想外の部署へ異動になったり、なんてことは、現実の世界にだって、けっこうある。
そんなときに、真理子のように、潔く運命を受け入れて、前向きにがんばっていこう、と思えるだろうか?
この小説は、どんな逆境にもめげずに、がんばろう、というのが、じつはテーマなのでは、などと考えてしまった。

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紙の本

ベンチャー+NPO=社会企業家!

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ボランティアやNPO(非営利組織団体)が、新聞などで、取り上げられることが多くなった。
役所でやっている事業でも、民間にできることは、なるべく、民間がやるようにして、採算がとれないものは、ボランティア・NPOで担う、という考えかたが主流になりつつある。

著者は、民間(ベンチャー)でもなく、ボランティア(NPO)でもない、それでいて、両者のいいとこどりの新しいワーキングスタイルを提案している。
それが「社会企業家」だ。

社会起業家とは、社会サービスを事業として行う人たちをさす。
ボランティアの業界? で、起業家精神をもって、ベンチャー事業を立ち上げるのである。

社会起業家で、一番大切な資質は、ビジョンを持っていること、のようだ。
ふつうのベンチャーでは、お金を集めるのが得意な人がエライ、となることが多い。
けれども、ボランティアの世界は、原則としては、無償の世界なので、金で相手に、言うことを聞かせる、ということは難しい。
事業が、いかに、社会的価値があり、素晴らしいことなのか、という物語を創れることが、重要になってくるのだ。

ボランティアをやりたいんだけど、きっかけがつかめない、と言う人は多い。
ある程度、そういったシステムが整えられていれば、参加するはずの人たちも、最初の一歩を踏み出すのは、躊躇してしまうようだ。こんな風潮の中で、起業家精神をもって、社会的事業を打ち出す人の果たす役割は、とても大きいのではないだろうか。

基本的に、ボランティアは、無料で、犠牲的精神によるものだ、という考え方は多い。
しかし、今後は、有償ボランティアが増えてくるのでは、ないだろうか。
依頼人は、民間に頼むよりは、安くつく。
引き受ける方は、商売としては、なりたたないけれど、自分の好きな分野、得意な分野で社会的貢献ができて、ついでに、こづかい稼ぎになる。
じっさい、無償のボランティアよりも、有償のボランティアの方が、サービス精神も高いようだ。
ある程度お金がからんだほうが、契約を守らなければ、という意識が働くのだろう。
無償ボランティアでも、交通費や弁当代ぐらいはでるところも多い。

この本でいう「社会起業家」が、もっと、増えていけば、日本のボランティア、そして、日本の社会も、変わっていくんじゃないだろうか。

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