本箱屋さんのレビュー一覧
投稿者:本箱屋
紙の本ブンナよ、木からおりてこい 改版
2002/06/24 22:18
その歌を。
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木にのぼることが好きで、そのおかげで
早くから敵を見つけることができるブンナは、
仲間のトノサマがえるたちから尊敬されていた。
ある時、木のてっぺんに穴を見つけ
その土の中で眠ることを考えるが、
実はそこが恐ろしい鳶の、
獲物の貯蔵場所であることを知り愕然とする。
土の中に隠れたブンナが聞くことになるのは
獲物として運ばれて来た、傷ついた者たちの嘆きの言葉。
雀、百舌、鼠、へび、牛がえる、そしてつぐみの
独白、後悔、あきらめ。母の話。…懺悔。
ひとり、またひとり、連れ去られていく者への憐みと
自身の身を襲うかも知れぬという恐怖。
去勢をはるために鼠を食らおうとした、へびの残忍さに怒り、
美しく悲しいつぐみの歌に涙する。
やがてブンナはそこで冬を越す。
そこで死んだ鼠は蝶や蛾になり、冬眠するブンナの糧となる…。
生きるものはすべて死に、だがまた何かに生まれ変わる。
残酷だが美しいこの世界のあり様を受け入れ
だからこそ今を精一杯生きようと仲間に呼びかける。
澄みわたる心の、喜びの歌。
2002/07/26 14:09
季節の吐息。
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「自分の知っているものを描く」という彼女の暮らしは
まさに彼女のつむぎ出す作品そのまま。
夢見るだけでなく、その辛さを知るものが、全てを慈しむ。
ニューイングランドの四季を、彼女のまなざしで見つめた、
美しく、あたたかい写真集。
2002/07/08 12:12
冒険の始まる場所。
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少年の憧れが明確な目標に変わった日。海賊「赤髪のシャンクス」は、
海にその身を投げ出した。少年の命の代価に、己の一部を引き換えにして。
その時から、ルフィの生き方は決まっているのだ。
シャンクスの生き方に迷いがないように、ルフィもまた迷わない。
目指すはひとつなぎの大秘宝。そして海賊王。
無実の罪で海軍に捕らわれた、魔獣と呼ばれる海賊狩り
「ロロノア・ソロ」を半ば強引にひとり目の仲間とし、
海賊王となるため、シャンクスとの再会を果たすため、「偉大なる航路」をめざす。
悪魔の実の能力者でゴム人間、「麦わらのルフィ」の冒険が始まる!
2002/07/29 17:58
喝!
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「ぶらぶらばあさん」はへちまの神様。フン転がし(今は人間の姿)の
「フン太郎」と一緒に、旅をしている。
時に優しく、時に冷静に、時に厳しく、喝をいれる。
狭い洞窟の中で、不毛なケンカをしているタコとイカは、
海に流して、喝!「よいかおまえたち、海で生きて海で死ね!」なんて
とにかくかっこいい。そんなばあさんと一緒に旅を続けて、
色んな事を思う、フン太郎。
……しかし、耳が長い我が子の耳を、もっと長くして、
ウサギにしようとしていた、あのカンガルーの母親は
この先、一体どうするのか気になる……。
紙の本ぶらぶらばあさん
2002/07/29 17:54
学びの旅。
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「ぶらぶらばあさん」は、へちまの神様。おっぱいを、
へちまのように、ぶらぶらさせている。
フンころがしのフン太郎は、ぶらぶらばあさんと一緒に
ゆうひを見るうちに、フンを転がすのがいやになって、
旅に連れていってもらうことにする。(人間の姿に変えてもらって)。
話のはじまりの文句は「フンころころころ、フンころろ」
ばあさんの呪文は「ぶらぶらへちま、ぶらぶらへちま」
そうして、物語は、なんだか、考えさせる出会いが多い……。
純粋なフン太郎と、男前なぶらぶらばあさんは、今日も旅をして
いろんなひとと出会うだろう。
紙の本ペンギンたんけんたい
2002/07/21 19:21
探検の極意はマイペースに
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50人乗りのカヌーでやってくる。ペンギンの集団。ペンギン探検隊!
ライオンをこわがらず、ニシキヘビをこわがらず、
ワニをこわがらず、ひたすら目的の為に行進する。
果たしてその目的とは?!
はてしなくマイぺースなペンギンたちの冒険の本。
というより、ふりまわされたそのほかの動物達の本ですね。もしかすると。
紙の本あいたくて
2002/07/08 11:57
一瞬、息を止めた。
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恋をして「息が出来なくなるほど苦しい」とか「切り裂かれたような」気がするとか、
そんな例えは今までいくつも聞いた。それぞれ、わかるようで、わからないようで、
恋でなくてもそれはあるなどと思ったりした。でもこれは違う。
ああそうなのか、と息がつまった。そうだった、だからこんなに、くるしいのだ。
心をちぎってあげるのだ。自分の中の痛みだけでなく、
ちぎれたはずのそれが、自分の一部でありながら、そうでない苦痛に
甘い喜びを感じるからだ。そうしてまた、差し出されたそれが
受け取られずにいるかも知れぬ可能性に、震える。それが
好きになるということなのだ。そうだった。そう思って、止めていた息を深く吐いた。
紙の本料理人
2002/07/03 13:37
魂を絡めとる至高の毒。
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多くの著名人の手による完璧な推薦状を携えて、
コブの町にやってきた料理人、コンラッド。
ヒル家に雇われた彼は、退屈な食卓を劇的に変容させていく。
時折、激しく人を罵りさげすむ料理人の姿に、
奇妙な不安を抱きながらも、作中の人物と同様
彼と彼の作る料理の虜になってゆく。
やがて訪れる終焉…いや宴は続くのだ。コンラッドにひれ伏し
その魂をささげたものにとっての、永遠の宴が、あの城で。
排除されずに、とり込まれた幸運をかみしめながら。
甘美な毒にその身を沈めて。
紙の本放課後の時間割
2002/06/29 20:39
学校の住人。
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小学校の図工の先生である「ぼく」が、
白衣を着たネズミを助けたことから始まる物語。
二本の足で立って歩き、学校に住んで、
言葉をしゃべる「学校ネズミ」。
彼はそのさいごの生き残りだ。
以前、おきた火事でメスネズミたちが死に、
残ったオスたちもだんだんと死んでいき、
とうとう自分がさいごのひとりになった。
仲間たちは皆、お話を作るのが好きだった。
自分が死んだら多くのお話がいっしょに消えてしまう。
だから、話をきいてくれないか。そう「ぼく」に言う。
月曜日の放課後、授業が終わったあとの、
学校ネズミと「ぼく」の、「放課後の時間割」。
こうして語られることになる、学校が舞台の多くのお話と
学校ネズミと「ぼく」との友情。
学校が休みの間、学校ネズミたちが開いていたお話の会も、
彼ひとりではもう、出来ない。
かつての楽しい記憶に思いをはせながらネズミは言う。
今年の冬は、あんたに話すお話のことを考える。
あんたに会えてよかったよ。
やがて来る別れも新しい出会いをもたらすことだろう。
移動した先の学校の教室で、呼びかける「ぼく」に
かすかに聞こえる、天井からの音。
いっしょには来なかった、あの学校ネズミと
彼らは友人になってくれるだろう、と。
紙の本かばくん
2002/06/16 22:28
や、かばくん。
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動物園のかばくんに会いに人間のこどもたちがたくさんやってくる。
ねぼすけのかばくんはびっくりするぐらい大きな口でご飯を食べる。
や、かばくん。
や、かめくん。
なんて、顔なじみのかめくんとあいさつしたりもして
そのかめくんは、人間のおとこのこが一緒に連れてくるのだが
引き綱をつけたその絵がなんともおかしい。そしてかわいい。
かばのこもかわいい。そうしてかばくんは。
のんびりどっしりゆったりと一日を過ごす。
かばくんに会いたくなったらあの動物園に行くといい。
紙の本きゅうりさんあぶないよ
2002/06/15 18:47
聞こえているの?きゅうりさん。
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「きゅうりさんそっちへいったらあぶないよ
ねずみがでるから」と
行き交うひと全てに忠告されるのにも関わらず
全く気にせずどんどん進むキュウリさん。
ページをめくる度に何故だかふえていくアイテムが笑いを誘う。
前のページにいた、くまの帽子、トナカイの手袋、
ハリネズミのベルト、etc,etc…。
これは果たして「もらった」のか「うばった」のか?
そうしてもう何だかわからないようないでたちで
ねずみに会うのだが、危ないのは一体どっちだろう。
何故って、逃げて行くねずみをきゅうりさん(謎)が
追いかけていくのだから。
楽しくて、おかしくて、すごく変な絵本。
紙の本ともだちは海のにおい
2002/06/10 21:23
いつもいっしょに。
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コドクの好きな、くじらといるかがであい、
ともだちになる、その長い日常。
好きなものも趣味もだいぶちがうが、
いるかはくじらが好きで、くじらはいるかが好き。
いるかはちいさくてながれ星のようである。
くじらは大きくて山のようである。
いるかは詩を読んでもらうのが好きで、
くじらは詩を作るのが好き。
いるかはお茶が好きで、くじらはビールが好き。
いるかは頭をなでてもらうのが好きで、
くじらは頭をなでるのが好き。
イカにおどろかれて、
吐かれたスミで真っ黒になったいるかは、
くじらのつもりになる。
ホットケーキを作って、小麦粉でまっしろになったので、
くじらはいるかのつもりになる。
そんな日常。
くじらの作った「うみとなみ」の詩のようにゆらゆらと、
しあわせそうに暮らしている。
二人で。皆で。
そうして、いつか好きなひともみつけて一緒に、海で。
暮らすのだ。
紙の本金色のガッシュ!! 1
2002/07/31 14:52
考える前に走り出せ!
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自分ではどうしようもないことで「決めつけられる」のは
辛いものだ。「頭がいい」というそれだけの理由で、
周囲から孤立した清麿は、記憶を失い、
清麿の父に助けられたという、不思議な子供
ガッシュの言葉によって救われる。
自分をいつわらずに行動すること。
多少むちゃくちゃだが、まっすぐなガッシュに影響されて、
友達も増えていく清麿だが、ガッシュの持っていた本により
魔界の王を決める戦いに、巻き込まれていく……。
随所に入る笑いもまた楽しい。
いい意味で、古き良き少年漫画の世界を描き出している。
紙の本オオカミのともだち
2002/07/31 14:06
と、も、だ、ち。
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一人がいいと、オオカミが思う気持ちはよくわかる。
自分の気持ちだけ考えていればいいんだから、楽チンだ。
でもたまに、なんだかわからないけれど、
どうしても、気になるやつがいるんだよな……。
自分より極端に弱そうだとか、
逆に自分より、めちゃくちゃ強そうだとか。
何だか自分とおんなじぐらいすぎて、惹かれるとか。
ようはタイミングが問題で、波長が合うか合わないか。
クマはなんだか、強そうだったけれど、おかしくて。
つまりは、ともだちだ。ひとりもいいけれど、
あれも悪くないと、なつかしくなるなら、ともだちだ。
2002/07/29 18:04
潜水日記。
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勝手に乗ったボートで、漂流した「ボク」を助けてくれたのは、
潜水艦に乗った海賊だった……!船長「キャプテン・グック」以下
乗組員一同、及び、この潜水艦の不思議は、海賊の筈なのに、
何故だか軍に、感謝状なんかもらっているっていうこと……??
ボランティアって、一体何???
ユーモラスな海賊たちと、「ぼく」との会話も愉快。
けれど、何より「ぼく」が、ちゃんと、彼らの仲間にしてもらえた事が、
読んでいる子供にはうらやましいだろうなあ。
別れぎわにくれたアジトの場所を知らせる手紙の文面も心憎い。
「いつでも行っていい。用がなくでも行っていい」。
夏休みと丸々引き換えにしたっていい!あの本拠地で、一緒に……でも
「アレ」と戦うのは嫌だなあ……(笑)