shinok30さんのレビュー一覧
投稿者:shinok30
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2002/08/02 08:46
真偽のほどが定かでない(どこかで聞いたような?)語源解説と,おそろしく凡庸な視点で描かれたつまらないエッセイで構成された,最低のブーム便乗本
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語源学(etymology)としての学問的な正確さも新しさもなく,随筆としての味わいも視点もない.
悪く言えば,「バカの干物が書いた,なんの価値もない本のクズ」である.
例えば,「チャンポン」の語源について著者は解説する.
「『ちゃんぽん』という言葉は,一見外来語のようだが,実はれっきとした大和言葉だ」.
「鉦(かね)を鳴らせば,チャンと音がする」「鼓(つづみ)を叩けばポン」で,「この鉦と鼓を“チャン,ポン”と合奏することを『ちゃんぽん』といったのがはじまりだ.そこから,違う種類のものを混ぜることを『ちゃんぽん』というようになったわけだ」.
そんなバカな語源があるものか!!(ひょっとすると,これに近い説を出している語源学者いるのかもしれないが)
全国のマレー語インドネシア語学習者のほとんどが気付いているように,「チャンポン」の語源はマレー語の「canpuran(canpur『混ぜる』『混ぜた』という意味の動詞・形容詞に,名詞化語尾-anが付いたもの)」である.沖縄料理の『豆腐チャンプル』『ゴーヤチャンプル』も,同様にマレー語の「canpur」が語源である.
江戸時代の「南蛮貿易」という言葉が示すように,西洋文化は,当時オランダの植民地だった東南アジアマレー語文化圏(現在のインドネシア)を経由して,日本にもたらされた.当然,日本語の中にはマレー語を語源とする外来語が少なくない(もちろん,もっと古い時代に伝わって,すっかり日本語化した畳言葉「バサバサ」「キラキラ」のようなマレー語起源の語もある).
どうも,東京大学名誉教授であるという,この著者にはそのような視点はまったくないようだ.
その他にも,明らかな間違いや不正確な説明,真偽のほどが定かでない「オハナシ」が散見される.
それでも買うという人を止めはしないが,少なくとも,『常識として知って』ほしくない,要注意の本だとは言えるでしょう.
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