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かいたろーさんのレビュー一覧

投稿者:かいたろー

24 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本木更津キャッツアイ

2002/07/10 22:50

映像の浮かぶ脚本のすごみを実感

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友人から「木更津キャッツアイ、最高なんだよ」と聞いていたが、初めを見逃したこともあり、ついついドラマは見ないで過ごしてしまった。
あーあ、見たかったなー、と思っていたら、シナリオが本で発売されると聞いて、即購入。
読んでみたら、面白いのなんの。
初めは読みずらかった文章も、慣れるにつれて、映像が浮かんでくるまでになって。
はっきり言って、読み始めと読み終わりの頃の読むスピードを比べてみたら、倍以上違っていた。
「このシナリオをもらった俳優は楽しみながら、どうやっらた面白さを損ねないか考えたろうなー」なんて、まったく自分に関係ない心配までしてしまった。
セリフを並べるだけで、人生までをも表現できる。脚本家のすごみをトコトン分からせられた。
本にはすでにビデオとDVDもリリースされていることが広告されていた。シナリオを見てからドラマを見る楽しみのため、この週末はTSUTAYAに行こうと決意した。

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紙の本洗礼 1

2002/07/10 22:36

あなたの見ている現実は、ゆがんでいませんか?

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母と娘。
いまの時代、ほとんどの女性は息子よりまず娘を欲しがるという。
確かに娘は母親と話をしたり一緒に遊んだり、優しい。
結婚しても年をとったら戻ってくるのは娘だし。
しかしその本心の部分には、なかなか言葉にできない感情があったりする。
本書は自分の美貌を保ちたいために、娘を産み、その若い身体を自分のものにしようとする、容色衰えたかつての美人女優が主人公だ。
とにかく怖い。しかしやめられない。読み手はいつか、主人公の狂気に翻弄され、冷静な判断力すら失わされる。これはマンガが成し遂げたひとつの奇跡だ。
はたしてあなたの見ている世界は現実なのか?
文庫の第1巻で解説を書いている手塚真さんの解説が、実に暗示的で印象に残る。

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紙の本iモード以前

2002/07/10 17:32

風呂はいれよー、倉田さん!

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iモード開発に大きな役割を果たしたことで知られる著者は、その前はリクルートの社員だった。
この本で描かれるのは、そのリクルートに入ってから退職するまでのお話。
ほぼ全編がリクルートという会社が舞台である。
情け容赦ない異動、たった一人の編集部での奮闘、リクルート事件に揺れた激動の1年…まるでフィクションのように次から次へと事件が起こり、異能な人々が登場する。
いまは大企業となったリクルートだが、著者が入社したころは、タイトルに 登場いただいた倉田さん(リクルートの創刊屋の異名をとる)はじめ、ゲームのキャラのような異才が闊歩する、まだまだベンチャーの会社だった。
そして、そういう会社と会社の仲間を愛した著者の、あふれるばかりの愛情が本書の隅から隅まで込められている。
「これじゃリクルートの宣伝じゃないか」などと言ってはいけない。こんなに社員に愛された会社なんかそうそうあるもんじゃないんだから。
今のリクルートの社員は、もしかしてこの本を読んだら、すごくうらやましがるのかもしれないなとちょっと思った。

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1巻で2回は嗚咽します…

13人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

雑誌よりも二回りも小さなサイズのコミックスを見ながら、嗚咽している自分にビックリした。
赤髪のシャンクスって、なんてかっこいいんだ!
ガイモンさんって、いいよね!
ウソップ! お前の気持ちはわかってるぞ!
42歳のサラリーマンである私は、気が付けば「海賊王に、オレはなる!」とドングリ目を輝かせる、ルフィーのクルーに(精神的に)なっていた。
ボクの心と身体のどこかに、こんな熱くなる夢も血もあったんだなー。
もしかしたら現実社会の中の自分も、もっと何かができるかもしれない。
そう思ったら元気が出た。
いま、ボクの行動の規範は「ルフィーだったらどうするか?」である。

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紙の上に刻み込まれた、不朽の名画

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 手塚治虫はディズニーになりたかったと聞いたことがある。アニメ映画を作りたくて、ほとんど採算割れの安い値段で、漫画家たちが不眠不休でスタッフとなり作ったのがテレビの「鉄腕アトム」だった。
 思えばときわ荘の漫画家たちは、みんな映画にあこがれて、映画が作りたかったのだろう。でも映画を作るお金がなくて、紙の上に世界を作り上げる漫画家になった。クリエイティブな才能がマンガ界に集中した結果、日本のマンガは世界の最高水準となった。マンガは日本のハリウッドであり、その頂点にいたのが手塚治虫なのだが、「火の鳥」「ブラックジャック」などの名作の中にあって、もっとも“映画”に近づいた瞬間が「アドルフに次ぐ」だ。
 舞台は第二次世界大戦前の神戸から始まる。主人公は2人のアドルフ。一人は神戸に住む、ドイツ人パン職人の気弱だが優しい少年。日本人の隣人たちと平和な日々を過ごしていたが、開戦をきっかけにドイツに帰国。いつしかナチスの元で冷酷な少年士卒となっていく。もう一人のアドルフは、いわずと知れたヒトラー。
 ドイツでスポーツ取材中のジャーナリストの行方不明事件が起こる。その真相を究明しようとする兄の行動から、物語は少しづつ動き始め、気が付けば世界を悲劇に導く。戦争が人の心をどう変え、どんな傷跡を残すのか。ありきたりだが、そんな切ないドラマを見せつけられる。
 驚くのは構成の巧みさと、一コマ一コマのアングルの絶妙さ。おそらくこのまま絵コンテとして、何の修正もなく映画ができ上がるはずだ。これは手塚治虫が紙のフィルムに刻み込んだ、マンガという形態の名作映画である。読み進めるごとに、あなたの心に広がる映像とサラウンドを実感してほしい。

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どこにでもあって、誰にも見えない東京がある

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 預言書のようなタイトルの意味を計りかねていると、日経の書評に「Red」とはノイズのレッドゾーンを表す、とあり何となく合点がいった。「幸せなんて、爆発の前のノイズに過ぎない」というような感じだろうか。
 この写真集に切り取られている東京の断片は、どこか居住まいを正して静謐である。汚いながら、使い込まれた街の風景には、きっと小さな幸せの跡がいっぱいあるに違いない。ページをめくるに連れ、自分の目が東京の奥深いところに、金村さんの目と一体化したかのように、分け入っていくことに気が付く。金村さんが見続けるのはどこにでもあって、実は目に留めていない街の一角だ。
 1枚1枚はなんでもない街の写真に見える。ところが写真集として連続してみていくと、私たちの目はヴァーチャルな東京を強制的に見せつけられてしまう。目を閉じることも逸らすことも許されない。テーマパークのアトラクションのように魅惑的で、同時になんと静かで、ノスタルジックな拷問であろうか。
 最後の駅の改札のショットにたどり着いたとき、ふと解放され、やっと家に帰れる気がした。

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紙の本陽だまりの樹 1

2002/03/24 21:24

日本という近代国家が、生まれた頃の熱き日記

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 幕末といえば歴史・時代小説の宝庫だ。江戸の封建社会と明治の文明開化と、鎖国と開国と、ちょんまげとざんばら髪と、あらゆる分野で暖流と寒流が交錯する、時代と人間のドラマの泡立つ漁場のような時代だ。ことに司馬遼太郎の作品群は出色で、「竜馬がゆく」をはじめ「翔ぶが如く」「花神」「坂の上の雲」「最後の将軍」など、どれも日本人の魂の作品と言えるだろう。そしてその作品群に匹敵する物語を、マンガに見つけてしまったのが本書だ。
 医師である手塚良庵(なんと手塚治虫氏の先祖であるらしい)と武士である伊部谷万次郎の二人の若者を軸に物語は進む。良庵は蒙昧な漢方医によって、助かるべき病人が死んでいくことに、新しい時代の必要性を感じ、万次郎は西洋人に対して日本という国を守ろうと立ち向かう。
 表面上は時代の流れの中で対立するかに見える2人が、いつしか同じ道をめざす。本書はそんな2人の青春小説であると同時に、日本という国家の青き時代の物語でもある。日本はどんな立国をめざしたのか? 初めの志はどこにあったのか? 方向性を見失ったかに見える21世紀の現代日本に、痛いほどストレートに迫ってくる物語だ。シーボルトや唐人お吉の物語なども折り込まれて、切ない。

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古く汚くなった街並みに感謝の花束を

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 たったひとつのカメラで、東京の街を撮り続ける。土門拳賞を獲りながら、いまだに生活のために、夕刊紙配達のバイトをしている。私がテレビ(トップランナー)で知った金村修に関する情報はそれだけだが、それだけで写真集がもうれつに欲しくなった。すごく大切で、急速に失われつつあるものが、そこに写し取られている予感がしたからだ。

 都会では家やビルが無くなると、かつてそこになにがあったのかすら思い出せない。毎日見ていたはずの光景でもだ。人はそれほどに街の風景に無関心である。変わったことにすら気が付かない。
 かつて、新宿ゴールデン街を再開発すると聞き、なんて惜しいことをするのだと憤ったことがある(その後、バブル崩壊で、中途半端にではあるが残ってしまい安心したが)。街の風景は、人の日々の営みが作る生き物のようなものだ。50年かけてできたゴールデン街は、一度なくしてしまえば、もう2度と再現できない。そこにあった文化も人も、時には記憶さえも消える。後に残るのはあっという間にスラム化してしまう、コンクリートとガラスのビルだ。

 金村のカメラは、そんな東京の片隅に、ひっそりと息をする街の風景を捉える。たとえそれが排泄物のような光景でも、排泄物がでるのは生きている印だ。人までもが風景になってしまったかのようなその写真には、何十年かけて熟成してきた、街の顔がある。

 古くて汚い町並みを綺麗にするのがいいことなのか? 捨てられてしまうものに価値はないのか? 人は生きて、みんな古く汚くなっていくのだから、古くて汚いものを慈しもうよ。そんなことを感じながらページをめくると、最後の桜のショットが打ち上げ花火にも墓標にも見えた。自分の生きてきた街に花を手向けたい。

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紙の本エール

2002/03/20 03:03

鈴木光司は日本のノーマン・メイラーか?

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 主人公は総合格闘技のカリスマ的格闘家と、結婚生活が冷え切っているのを仕事で紛らわしている、女性編集者。その二人の不器用な交流を横軸に、次第に惹かれていく恋愛模様を縦軸に、二人の挫折と成長が描かれていく。

 正直いって、前半は何が言いたいのか、まだるっこしい感が拭えない。ところが格闘家としてトップにたった主人公が、もっとも危険な、怪物のような格闘家との一騎打ちを決心するあたりから、物語はいきなり急流の中を進み始める。
 かえって静かな心境で最後の決戦を迎える男と、「どんなに罵声を浴びてもいい。試合が中止になってくれることを願う女。そのどちらの気持ちにも感情移入してしまうのは、作者の確かなストーリーテリングの妙であろう。試合のシーンの描写には、はっきりいって感服した。現実のプライドの最高の試合を見ているのと同等の緊張感を実感したと言ったら言い過ぎだろうか。しかしそれは事実だ。

 日本にかつてこれほどまで、小説において格闘技を活写した作家はいなかったと思う。ベストセラー作家である著者の、過去の実績をまったく捨てた分野でのチャレンジに、拍手を贈りたい。

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紙の本枝の折れた小さな樹

2002/03/19 20:53

愛しき死者とのラストダンスのような小品集

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 昨年来、ヨット小説「シーズ ザ デイ」、格闘技をテーマにした恋愛小説「エール」と、「リング」「らせん」の印象とは一線を画す生身の人間を描いた作品が相次いでいるが、これもその流れにある。
 7編の短編は、どれもが現代の市井に生きる、社会の激動で傷を負った善良な市民だ。表題作は、幼い妹を失った青年が、ビデオ画面の中にその後の妹を再生し、そのことで年老いた父母を癒そうとする物語。一瞬、現実離れしたホラーかと誤解しそうだが、読み終わってみれば家族の愛情や人間愛がテーマの、ほろ苦いドラマであることに安心する。子供の死に壊れてしまった夫婦に、そうであってはいけないのだと、青年は無言のうちに語りかける。
 「目覚めれば目の前は海」も、亡き妻のことを、男は大人になった娘に、まるでおとぎ話のように 語って聞かせる。そしてそのことで、男もまた自分を慰める。
 読めば読むほど、死は死んでしまう本人にではなく、残されるものにこそ訪れるモノなのだと実感させられる。死は生き残った者の心のうちにある。私たちは多くの愛しい死を抱えながら、自らが天国への階段を上る日まで、生きて、愛して、悲しまなければならない存在なのだ。
 それはほろ苦いけれど、決して悪いことではないな。最後のページを閉じた特、ふとそんな気がした。窓の外に覗く早咲きの桜が、ちょっとだけなまめかしく見えた気がした。

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紙の本見城徹編集者 魂の戦士

2002/03/18 20:47

小学生を指揮するコンダクターのような

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 雑誌の表紙やテレビ欄に「見城徹」の名前があると、なぜか手が伸びたり、リモコンでチャンネルを合わせてしまう。書籍の広告や本屋さんで「幻冬舎」の文字を見ると、どうしても手に取ってページを開きたくなってしまう。なぜだろうと、いつも思っていた。この本を読み、子供たちに日本一努力している編集者として、真剣に対峙する姿にふれたとき、深く合点がいった。

 「この人は絶対に読み手に届く本を、ちゃんと“編集”しているからだ」と。それは表紙から、インタビューの行間から、あるいは見城さんの顔から、ヴィヴィッドに伝わってくる。それに自分は反応したのだと。
 子供たちに向かうとき、見城さんはある種のおびえを隠そうとしない。「自分は彼らに“編集”を伝えられるか?」と悩む。そして同時に容赦なく、対等な表現者として子供に向かい、時には残酷なまでに切って捨てる。そして彼らに問いかける。「君は感動しているか?」と。

 見城さんの言葉を読んでいると、編集者は指揮者に似ている。自分の感動をどう聴衆に伝えるか? そのために楽器からアレンジから演奏のスピードまで、指揮者はすべてを「編集」するのだ。この本で見城さんは、小学校の1クラスというオーケストラを、見事に指揮して見せた。「編集は感動だ!」このコトバの向こうに、僕は割れんばかりのカーテンコールが聞こえた気がした。

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ボツの積み重ねのみが投稿を向上させる

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 投稿に関するハウツー本は過去にもあるが、本書はそういったものとは一線を画している。それは、エピソードのほとんどをしめるのが、実際に応募されたボツ投稿と、それを巡っての分析・検討にあるからだ。
 ボツ投稿などというのもは、まず日の目を見ることはないと思っていた。言ってみれば大量の廃棄物のようなもので、投稿者にとっても思いだしたくないものだったかもしれない。ところがこの本はそこに価値を見いだした。 「ボツ」という不良債権が、見事に投稿の宝の山に変わったのだ。
 読んでみると、なるほど、ボツを検討することの方が、入選作を見るよりも遙かに勉強になることが分かる。
 「何をすればボツか」を考えれば、それをしなければ入選の確率はグンと上がる。コロンブスの卵的発想がそこにある。
 そして入選の影には、山のようなボツがあることも分かる。そして、投稿の向こうにライター・作家・書籍出版といった夢の広野が広がっていることも、本書は具体的に示唆している。
 自分を表現したい。そう思う人には一読を薦める。

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快感のために人は生きるし、お金は動く

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 どういう銘柄の株を買えば儲かるか。ほとんどの株本はその1点で語られる。その視点がどうかで、読者に選ばれるのだが、本書のキーワードは快感だ。株価が上がるためには、企業が儲からなくてはいけない。そのためには付加価値の高い商品を生み出すことが大事だ。本当に欲しいものだったら高いお金を出しても買うし、企業は儲かる。そういう会社の株を買おう。
 「快感原則」として著者が語るのはそういうことだ。そのことは、刊行から半年あまりがたって、急速に現実社会で証明されつつある。たとえばソニーのバイオ。利益率の高い個人向けでは、アッという間に首位にたってしまった、パソコン界のスーパーブランドだ。バイオWはアッという間に売り切ってしまい、先日売り切れを巡って店員と口論をしている客を見た。ほかのメーカーのパソコンがフロアいっぱいに並んでいるのに、その人はケンカしてでもバイオWを買いたかったのだ。だからソニーの株は上がる。
 本書で語られる、著者の気持ちよさ経済理論は、21世紀に適合しているのかもしれないと感じた。焼き肉関連も、そろそろかもね。

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ソンをすることまでも許容した希有な株本

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 著者はダカーポで「ミニ株ゲットだぜ!」を連載する、ミニ株記者。会社から借りた100万円を元手に、ミニ株投資に奮闘する。特に経済の知識があるわけでもなく、日経新聞の読み方から勉強する始末だ。
 ところがそのまったくの素人が、素人ならではのルートで株の世界を理解していく。そのきっかけは妻や子供といった家族であったり、行きつけの居酒屋であったり、ふと道ばたで耳に飛び込んできた雑談だったりする。損得のために始めたはずのミニ株投資が、いつしか著者にとって、人生や生活のパートナーになっていく様が描かれていく。まるで音楽のようにリズムのいい文章で、つい読まされてしまう。

 内容のほとんどは失敗談だ。こうすれば儲かったのに、あのときこうしなければ…こんな後悔ばかりが語られるのだが、決して望みは失わない。株とはそういうものだと、著者は気付いたからなのだ。ソンをするときも得をするときもある。それが人生だし、株式取引だ。そんなことを思わされて、なぜか株をやりたくなる。この著者、もしかして上等の詐欺師かもしれない。

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紙の本ぼくんち 3巻セット

2002/03/16 21:15

マンガって直木賞は獲れないのだろうか?

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 一太、二太(なんていい加減な名付けだ、と思うだろうが、その理由は本書の中で語られる)の兄弟(中学と小学くらい?)とその姉・かのこ(この名前の由来も語られる。すごく投げやりで崇高な話だ)を中心とした、地方の小さくて、どうしようもなく貧しい街の一角を舞台に話は進む。
 登場するのは娼婦・ヤクザ(パートタイム含む)・浮浪者・知的障害者(なんてイヤないい方!)・アル中・薬物常用者・孤児・日本一まずい中華料理屋などなど…。底辺と呼ぶにはあまりに現実でエキサイティングな日常が、見開き2ページ単位の話で語られる。
 驚くのは、たった2ページの中で、必ず笑わされるか泣かされるかしてしまうこと。それも「ほろっ」とかではなく、心の奥から絞り出される笑いと涙だ。これは文学(マンガを文学などと言ったら、西原さんは怒るだろうか?)の暴力だ。圧倒的な表現の力だ。かつて文学が持っていたはずの、暴力的なまでのパワーが、なぜ西原作品に凝縮してあるのか? すべての作家は震撼して読むべき三冊だ。直木賞はこういう作品のためにあると思うのだが。

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