ウラジーミルさんのレビュー一覧
投稿者:ウラジーミル
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紙の本廻想庭園 3
2002/09/18 22:36
感情描写と人間関係の構成がすごいです!
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いよいよ面白くなってきた3巻です。全体的にシリアスな展開であることは変わりませんが、この巻から物語の道筋に光が差してきたような気がします。いろいろあって、ついに絵を描くことを決めた時弥の、その頑なな決意が切ないです。
私のお気に入りのシーンは2つ。ラルフが、過去に時弥の描いた絵を見て、心を慰められるあたり。そんなに長々と書かれている訳ではありませんが、感情描写は圧巻です。また、時弥と彼に恋する少女ドリスの花壇の前でのやりとりは、お互いの性格のせいでとげとげしかったりもするのですが、とても微笑ましいです。このドリスのパーソナリティーがなかなか素敵なのです。
時弥たち生きている者だけではなく、既に亡くなった人々の思いも複雑に交錯して大きく動いた物語が、最後にどこに辿り着くか、作家さん自ら最終巻だという次巻がとても楽しみです。
紙の本廻想庭園 1
2002/03/13 22:22
なんだかんだいってアンディが魅力的。
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地味ながら良質の作品を書くことで知る人ぞ知る作家さんお得意のイギリスものであり、ミステリー風味作品であり、オカルト風味作品。この方の書くイギリスは本物っぽくて素敵です。そして「一年以内に昔なくなった肖像画を探せ」って命題も、伏線や構成のうまい方なのできっと思わぬ展開を見せてくれるでしょう。で、幽霊のアンディが素晴らしい。少女への無垢な愛情と、取り憑いた時弥への傍若無人さのギャップが魅力的。今のところ時弥が人生最初の挫折を経験している最中なので、物語は決して明るくはないのですが、続きの楽しみな作品です。
紙の本廻想庭園 2
2002/03/13 22:01
読んで、私は元気になりました。
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なんていうかスゴイ。なかなかこうは書けない。私は「人は努力して幸せになる義務がある」というメッセージを受け取りました。
誰のせいでもなく、人生のどこかでボタンをかけまちがえた少年、時弥。彼が自分に取り憑いた幽霊との交流で少しずつ変わっていく話なのですが、お涙頂戴小説になっていないところが良い。それは幽霊の性格が素晴らしく悪いところに因ると思われます。また、2巻こそかなり不幸なエピソードも多いけど、そんな中でもくすぐりの効いたシーンもあり、バランスは絶妙。続きの待ち遠しい作品です。
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