オリオンさんのレビュー一覧
投稿者:オリオン
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おとこ友達との会話
2005/04/11 21:05
精神の律動
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
対談でも討論でもなく会話、テーマや決まり事があるわけではない会話。この本を読んで何かためになる知識や情報、気の利いた思想の手掛かりなどが得られるわけではない。得られないわけでもないが、この本を読むことの意味はそういうところにあるのではない。ここに収められているのは良質のワインの香りや最高級の料理の匂いの記憶のようなもので、その残り香をたよりに白洲正子と九人の「おとこ友達」との会話をいまここに立ち上げ、そこに流れていた贅沢で創造的な時間を反芻し追体験すること、そして読み終えて何も残らないことそのものを味わうのでなければこの本を読む意味はない。
たとえば多田富雄との対話「お能と臨死体験」に次のやりとりが出てくる。多田「匂いだけで、すごい物語のある情景が思い浮かぶことがあります」。白洲「あります、すごく。私、お香だなんてきっとそういうもんだと思う。反魂香[はんごんこう]だなんて、幽霊をほんとに見てしまうんですから」。多田「反魂香というのは、お香の匂いで死者と過した情景、その上性的なことまで思い浮かべさせるんでしょうね」。
良いソムリエは、素人の客との会話の中で「客に合わせてそれまでにないワインについての語り方を生み出すことができる」。茂木健一郎さんが『脳と創造性』でそう書いている。つまり「よいソムリエというのは、客が何かを言った時に、その場で口から出任せを発することができるクリエーターなのである」。この「口から出任せ」こそ会話がもつ創造性の基点であって、「私たちは脳から外に言葉を出力してはじめて、自分が何を喋りたかったのかが判るのである」。
白洲正子の文章を読み、白洲正子の会話録を繙くことは、そのような創造、発見の現場に立ち会うことだ。裂帛の気合いで他者の人品骨柄と向かい合う真剣勝負のなかから白洲正子の言葉は発せられる。そこに真正の批評が立ち上がる。この人の言葉は生きている。本人はすでに鬼籍に入っているが、その魂は文章が読まれるたび、いまここに立ちあがる。かつて白洲正子の口から発せられた言葉は精神の律動として、ひとつの出来事としていまなお響いている。
恋のオプショナル・ツアー
2002/05/10 20:34
絶対オトす!!
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主人公稲森は、今のところ泣かず飛ばずのトラベル・プランナー。今度こそヒットさせたい! と企画したのが、高級会員制ホテルを組み込んだプラン。今までどこの旅行社が頼んでもオトせなかったホテルだけど、自分は絶対オトしてみせる!とがんばる稲森。正攻法で断られ、なんとか考え出した方法でやっと会えたオーナー氷室は、稲森の想い出のファーストキスの相手に、輝く目だけがとても似ていて…。
この二人は両想いに違いない!ってわかるのに、すれ違ってばかりでなかなかくっつかない二人に、やきもき。でも、そこが読んでて楽しかったのも事実です。なんともオイシイ設定で、氷室が稲森を好きなのは最初から読者にはバレバレなので、にやにやしながら読んじゃいました。稲森のほうは、出会い頭のキスのせいで、氷室を警戒していたけれど、だんだん彼に惹かれていって…。はじめは氷室が想い出の人と似てるからどきどきしていたのに、そのうち「氷室」そのひとにときめくようになっていって…。心の動きがとても自然で、稲森と一緒にドキドキしながら読めちゃいました。とても面白かったけど、ちょっと淡白な印象。二人だけのシーンがもっとあれば嬉しかったかな。
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