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さやかさんのレビュー一覧

投稿者:さやか

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カウンターでの盗み聞き

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 小料理屋のカウンターで一人で飲んでいると、隣で女将とお客さんが話しているのが聞こえる。お客さんは仕事帰りらしいが、くたびれた様子はなく、機嫌が良い。
 「お仕事が上手くいったのかな?」と思いつつ、ビールを口にしながら耳はその話の内容に向けるてみる。「はしたないな。」と思いつつ、それでもお話に引き込まれて行くのだ。
 
この本は装丁からして、訓辞本・蘊蓄本のように“教えよう”と言う意志が前面に押し出されたようなものではない。
 “気楽”に、そして“こっそり”と自分のお仕事のことを話しているような本。
 だが、侮ってはいけない。
 隣で話している他人の、自分の守備範囲と全く違う分野の、その話が自分に思わぬ切り口を与えることがあるのだ。
 昔から、「仕事は教えてもらうものじゃない。背中を見て覚えるものだ。」と言うが、そのとおり。全く関連のない話から、様々な事を学ぶことが出来る。そう言う本だ。
 
 気が付いたら思わず、その全く見ず知らずのお客さんに、唐突に問うている自分がいるのだ。「それで? そういうときはどうするの?」驚きもせずに振り向いた彼はにこりと笑って、やっぱりこっそりと続きを教えてくれる。聞く者すべてを、秘密の仲間に入れてくれるのだ。
 
 デートに成功したい人、お仕事の接待をしたい人、自分の気分を盛り上げたい人、いろいろな理由が飲食店を求めるだろう。
 でも、そう言う時には自分や相手だけを見てはいけない。そのロケーションであるお店とのつきあいが、それらを成功させる秘訣なのだ。
 と、彼はこっそり教えてくれるのだ。

 もうすぐ、バレンタイン。そうでなくても、誰か(自分でも)をもてなしたい時には、万全を期するかっこいい方法をこっそり盗み聞きしてしまおう。

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