ケンツ軍曹さんのレビュー一覧
投稿者:ケンツ軍曹
星座を見つけよう
2002/05/16 04:55
おサルのジョージの作者による天文解説
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
学生時代の夏休みとある地方のある山小屋でアルバイトをしました。
そのときに見た夜空の星々といったら…。
“下界”で見る夜空とは比べものにならないすさまじいものでした。
そんな夜空では流れ星も一晩に何個も見ることが出来ました。
でも、私は天文学はまるで詳しくなかったので、
毎晩そんな夜空を眺めつつ、
「もっと星について詳しかったらよかったのになあ」
と思ったのがきっかけで、
山を下りてすぐに購入したのがこの本だったのです。
ただ、この本が『おさるのジョージ』や『どうながのプレッツェル』などの
A・H・レイだと気づいたのは随分経ってからのことでしたが。
ではなぜこの本をそのときに選んだのかといえば
ちょっと眺めただけでも、とてもわかりやすかったからです。
難しいと思っていた天文学もこの本でよ〜くわかります。
星座にまつわる神話などのお話や、
四季それぞれの星図がわかりやすく載っているので
おとなも子どもも一緒に楽しめます。
星空を眺めながら
「あの星は○○星、あれが○○座っていうんだよ」
なんてサラリという事ができたらとても素敵とおもいませんか。
この本があれば、それも不可能じゃないような気がします。
シュナの旅
2002/04/30 20:38
宮崎駿の隠れ名作
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この本がいまいち他のアニメ作品に比べて知られていないのは、
アニメージュ文庫という、人によっては本屋では普段あまり目にしない
類の本の棚に置いてある事が多いからだと思うのですが、
そんなふうに埋もれさせてしまわないで、
と全国の本屋に大声で言いたい宮崎駿監督の傑作絵物語。
未来とも過去とも異国ともわからない独特の世界でくりひろげられる
少年と少女の喪失と成長のお話。
この作品が書かれたのはまだ宮崎監督が映画監督のキャリアを
スタートさせて間も無いころのものであるにかかわらず、
「ナウシカ」から「千と千尋」に至るまで
監督の作品すべてに共通する自然・人間・文明に対するテーマや、
宮崎ワールドとも呼べる独特の世界観がすでに描かれていて
宮崎作品が、色あせることの無い作品としての強さを持っている理由が
わかるような本です。
もっともっと知られてもいい、隠れ名作なんて紹介するには
あまりにもったいない、素晴らしい一冊。
森の絵本
2002/05/16 04:30
自然が教えてくれること
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この本は何度も開いて、そのたびに
いろんな楽しみ方ができる本です。
読むも良いだろうし、眺めるも良い。
詩人の長田弘さんのお話に荒井さんの
ほのぼのとした絵がぴったりとはまった、大傑作です。
荒井さんによる、きれいな緑色の表紙に惹かれページをめくると、
長田さんの優しくゆったりと語られるような、
お話にまた惹かれて、ゆったりとなんとも言えない
優しい気持ちになります。
「ゆたかな沈黙」と、「ゆたかな時間」
その二つを存分に孕んでいる “森”
本の最後のページで問いかけられる
「——だいじなものは 何ですか?」
「——たいせつなものは 何ですか?」
という言葉がとても心に響いてきます。
ふと、生活の中で緑を顧みることを忘れていることに
気づきました。
ちょっとペースを落としてゆっくりとしたい人におすすめです。
どこかにいってしまったものたち
2002/05/14 15:15
丁寧に作られた雑貨のような本
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大学に入学したときのときにこの本を本屋で見かけて、
この本は買わなければいけない、と思って衝動買いしました。
一冊しか売っていなかったので、
これは私の為にあるのだ、と勝手に思い込んでしまったり…。
写真も文章もものすごく良くて隅から隅まで私好みです。
明治、大正、昭和初期、なんていい時代なのでしょう。
浪漫、浪漫、浪漫…。私はその中でも特に大正浪漫にめっぽう弱いのです。
一番に目に入ったのは「月光光線銃」。
姿を変える月とともにその力を変幻させる光線銃。
あえかなる光は果たして何を撃つのか—。
月光を吸収し内部に蓄えたのちに発射するという仕組みなのだそうです。
しかし何の為に作られたにせよ月光が必要なのは月のない夜なので、
つまるところ無意味な商品であり、月は闇の中でこそ太陽光を反射して美しく光る。
「月光」とは光であると同時に闇でもあるのです。
この「光」でも「闇」でもあるものを手の内にすることが、
この商品の目的であったのではないでしょうか。
きっとその銃口からは光でも闇でもないただ「美しい」ものが、
音もなく発射されたに違いありません。
その他にもこの本には夢のような商品がたくさん載っています。
たとえば「流星シラップソーダ」
青い夕べのグラスの中で流れ来たる星は、ゆっくりとまわる。
その味は、あなたの中で長い尾を引き、そして2度とあらわれない。
そんな時代の流れの中で何処かに行ってしまったものたちが、この本の中にあります。
それはもしかしたら、あなたの引き出しの奥にあるものたちでもあるのかもしれません。
ドラえもん 6 (てんとう虫コミックス)
2002/04/30 01:35
いい涙を流したい人に
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
文学、評論、漫画、色々と本を読んできましたが
自分にとって一生忘れることのできない本だと思います。
ドラえもんのコミックは数多く出版されていますが
この六巻に特別な思いを持っている人はとても多いと思います。
台風のフー子、のび太の結婚前夜、という泣ける名作はもちろん、
なんといっても、さようならドラえもん、をおいては語れません。
たった数ページの短編にどれだけ多くの人の涙が流されたことでしょう。
近年映画版としてアニメ化もされましたが、
これだけは、このページ数で見事なまでの短編としての構成を持った
コミック版で読んで欲しい!
こんなに切なくて気持ちのイイ感動は後にも先にも味わったことがありません。
この少ないページの中に藤子先生のまんが家としての比類なき才能と、
そして子供たちへのとても大きな愛情を感じることのできる特別な一話です。
にぐるまひいて
2002/05/16 05:06
淡くやさしいクーニーの絵
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
クーニーの本の中で、私のでいちばんのお気に入りです。
田舎町に住むとある家族の一年間が、
季節の変化とともに淡々と綴られています。
アメリカの古き良き時代を描いた絵本、ということになるのでしょうか。
有名な『大草原の小さな家』と似た雰囲気があります。
ページ、ページがそれだけで一枚の絵として独立するほど素敵な絵本。
中でも家族四人が暖炉を囲んでいる絵は、とくにお気に入りです。
クーニーはだいぶ大きくなってから知った作家の一人で
実は某書店でこのお気に入りの絵のポストカードを
買ったのがきっかけで、興味を持ちました。
その時までは、この『にぐるまひいて』という作品も、
バーバラ・クーニーという絵本作家の名前も知らなくて。
全てがこの一枚のポストカードがはじまりでした
(今でも黄ばんでちょっと角が欠けてしまった
このポストカードは大切に取ってあります)。
後に偶然、本屋でこの絵本を手にすることがあり、
大好きな絵があるのを発見して、大感激!! 大騒ぎしてしまいました。
クーニーの絵は原色使いがあまり無くて
優しい中間色をふんだんに使って細かに丁寧に描かれています…。
こればかりは一度ぜひ目にしてみて下さい。
素晴らしいです。
みちくさ劇場
2002/05/16 04:21
大きな声で!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
いまや人気絵本作家になってしまった荒井さんの本。
テレビなどでもおなじみの絵です。
なので彼の作品を知っている人も多いと思うのですが
私が特に知ってもらいたい大好きな本がコレ。
この本はとにかく楽しい本!! もうこの一言に尽きると思います。
もしお子さんがいる方なら、ぜひ読んであげてください。
この本は声に出して読むと、よりいっそうイイのです。
子どもたちにも大ウケ、読んでる私も愉快で愉快で、
ほのぼのと、とっても幸せな気分になれます。
帯紙にもちゃんと
“のんびり あかるい 12のおはなし
のんびりよみましょう ゆっくりよんであげましょう”
と書いてあるぐらいですから、
やっぱり、この本は声に出して読むのがいいのです!
「○○さんは かいもののとちゅうです。」から始まって、
最後は「○○のおはなしです。」で締める12のお話。
どれもこれもみんなみんな、ほのぼの感いっぱいのお話です。
すぐそこの遠い場所 The dictionary of Azoth
2002/05/14 15:23
もうひとつの世界の事典
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
筑摩書房から出版された「クラウド・コレクター/雲をつかむような話」の姉妹作です。
「アゾット」という不思議な世界のことについて記述された、
「アゾット事典」なるものの翻訳なのだそうです。
私の印象では「アゾット」は晴れているということが無く、
強い太陽の光よりももっとやさしいものが世界を覆っている、という感じがします。
懐かしくどこか淋しくて、輪郭がはっきりとしなような…。
そんな世界の事典だからなのか、見る度に中身が変化し永遠に未完なのだそうです。
私はこの本の独自の世界にどんどん引き込まれてしまいました。
写真、挿絵、文体、レイアウト、どれを取っても本当に「アゾット」そのものなのです。
仮に私が「アゾット」に迷い込んでしまったとしたらどうなるだろう…。
自分は世界にとって、まったくの過客にすぎないのか、と淋しくなってしまうかもしれません。
「アゾット」は、排他的、過客だからこそ許される行為も淋しく思えてきます。
それでもやはり魅力的な世界であることに変わりはありません。
ただ、姉妹作「クラウド・コレクター」あってのこの作品というきがします。
あちらの本を読んだ「アゾット」のことを知っている人でないと、
ちょっと訳のわからない作品なのかもしれません。
「クラウド・コレクター」を先に読んでみることを、
できれば続けてセットで読んでみることをオススメします。
まっくろネリノ
2002/05/10 17:45
私の宝物の絵本
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この本は幼稚園のとき、病気で入院した私に、
当時の担任の先生が持ってきて下さった絵本です。
もしかしたらクラスにあまりなじんでいない様子だった
私を心配して持ってきて下さったのかも知れないです。
ふくろう(でいいのでしょうか?)の子ネリノは色がまっくろだから、
きれいな色をしたお兄さんたちが一緒には遊んでくれません。
でもそのお兄さんたちの窮地を救うことになるのは、
ネリノのその「まっくろ」という特性でした。
幼稚園時代からコンプレックスの塊で人見知りだった私がこの本を戴いたときは
先生にそれを指摘されたようなとまどいがあったのですが、、
今となってはそれがとてもいい思い出でになっています。
そんなこともあって、ずっと私の宝物の絵本になっていて
時々開いてみては、子供のころの気持ちを思い出しています。
元祖コテコテ・デラックス Groove,funk & soul
2002/04/30 01:22
笑えるレコードガイド!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ファンク度、ノリノリ度、いなせ度、IQ低そう度、血圧アップ度、焼肉度…?
じつはコレがこの本での、音楽の評価の仕方なのです。
かつてはジャズファンの間ではB級扱いされる事の多かった
オルガンジャズやソウルジャズ。
クラブミュージックやレア・グルーヴといった過去の音楽を
新しい視点で見直す動きの中で最近でこそやっと評価されていますが、
そんな理屈は抜きにして、もっと気楽に楽しんだらエエやないの、という勢いで
黒人のファンキーサウンドの新しい楽しみ方を教えてくれます。
ファンキー独特の脂汗滴るような雰囲気をコテコテと名づけたコレこそが
この本が音楽に聞き方の新しい一ページを作ったといっても過言ではない
なんて思ってしまうほど、ファンキージャズの魅力と笑いを提供してくれます。
ちなみに「柔道マンボで一直線」と解説されたジミースミスのアルバムは
アドリブ度4、若さの特権度4、驚天動地度4.5だそうです。
中古レコード屋の500円コーナーにお宝を発見できる一冊。
電子音楽in JAPAN
2002/04/26 15:13
エレクトリック総括!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
まず驚くのが、まるで辞典のようなその厚さ。
さらに驚くのが、まるで昔の岩波文庫のような文字の小ささ。
この尋常ではない内容の濃さに、ここ最近の産物と思われた電子音楽が
トランジスタのノイズから始まり、21世紀のサンプラーまで、
実は深く長い歴史を持ったものだということを改めて知ります。
ピコピコという軽い音のイメージとは裏腹に
開発者たちの夢と努力の重さの詰まった、電子音楽の決定的一冊!
ぼくはくまのままでいたかったのに
2002/05/17 21:26
独特な環境問題の表現
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ながい冬眠から覚めたクマは、開発されきった山並みを見つめてただ呆然としてしまいます。
「おい、おまえ、とっとと仕事につけ!」
工場の職長に呼びとめられたクマは、そのまま人間の工場ではたらくことに…。
はてさて一体どんな目に遭うことやら?
人間のエゴをテーマにした絵本としてはすこし珍しいかたちでえがかれた作品です。
環境問題について、自然の被害をストレートに語ったりするよりこう云う形で表現した作品のほうが、深く心に残るのかもしれない、と感心させられました。
今までにない形での警告だと思います。
冒頭の文でも感じられると思いますが、文・挿絵・共に非常にシュールにまとめられています。
これはかなりのお奨めです!
わたしと雨のふたりだけ
2002/05/17 21:19
雨の日が楽しくなる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
しずかにうみに ふるあめの、
やさしいちいさな あのおとが、
さかなたちにも きこえるかしら
わたしは めを つぶってきいてみた。
ざぶんとよせる なみのおとを。
ぱたぱたすなじをたたく あめのおとを。
全体的にしっとりとおさえた色合いの挿絵と、静かにハミングするような文章が印象的な作品です。
子供のころはとても楽しかった 雨の日のイタズラ遊び。
水たまりに映るじぶんの姿とか、屋根や窓ガラスをたたく雨の音とか、けっこうワクワクしませんでしたか?
雨の中を楽しく跳ねまわる主人公の姿が とても躍動的に描かれていて愛らしいです。
大人になると雨がいつのまにかわずらわしいものになってしまった気がしますが、こんな本を読むと何かを思い出したようなきがして、雨の日も楽しくなってくるから不思議です。
せいめいのれきし
2002/05/16 04:46
もっと早く出会いたかった!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『ちいさいおうち』で有名なのバートンの絵本です。
私はこの本を大人になってから手にした本なのですが、
もっと早く知っていれば、違う人生を送っていたかも?
なんて思うくらいの衝撃でした。
もっともっと大きな視点で科学に興味を
持つことができていたかもしれないのになぁ…と。
というのもこの本、遠い遠い太古からからいま現代までの
“生命の歴史”(タイトルそのままですが)を学問書としてではなく
とても身近で分かりやすい絵巻き物として
絵本にしてしまったのですから、バートンに脱帽です!!
初めて手に取ったときは「すごい! すごい!」と
ここ近年無いほどに大感動してしまいました。
『ちいさいおうち』でも、小さなお家を取り囲む環境の
長い時間の移り変わりを描いてはいますが、
こちらはもっともっと広大な時間の流れをこの
一冊に詰めこんでいるのです…。
古代史や地学など詳しくないひとでも、
私達人類がどんなふうに誕生し、そして今現在までに
至っているのかをつぶさに感じ取ることが出来ます。
むしろそう行った分野に興味の薄かった人や
苦手な意識を持っていた人が読んでこそ感動するのかもしれません。
長いなが〜い時間を絵本で表現した「すごい!」一冊。
子供はもちろん大人にもおすすめの素晴らしい本です。
ピギー・スニードを救う話
2002/05/16 04:07
アーヴィングの「短編」(!)
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
アメリカの現代作家のなかでもとくに日本人になじみのある名前は
スティーブン・キングとそしてこのジョン・アーヴィングでしょう。
彼の作品はどれも上・下巻と分かれるほどの大作が多いので
それでしりごみしてしまう人も多いようですが、
そんなふうに読まずに終わってしまうにはあまりにもったいないです。
そこでオススメしたいのがアーヴィングの作品の中では珍しいこの「短編」小説集。
この本は7つの短編小説と、
アーヴィングが尊敬してやまない19世紀イギリスの小説家、
文豪チャールズ・ディケンズ論から成り立っています。
訳者である小川高義氏はあとがきの中で、
「この本はアーヴィング世界のショーケースである」と書いていますが、
まさにその通りで、アーヴィングのエッセンスが程よい分量で
手軽に楽しめるような作りになっています。
その中にはアーヴィングが小説家を目指すようになった原体験や
現在の小説化としてのスタンスを小説という形であらわしたものもあり
彼の文章の世界を読む上でのヒント等も多く含まれていて
短編とはいえとても興味深い内容が多いです。
長編小説ではその構成の見事さや、読ませる力に圧倒されますが
短編という事もあって、一行一行の言葉の選び方の素晴らしさを楽しめ
また幅広い年代の作品が収められているので
作家としての成長も見ることができたりと、
楽しみ方が多い本ではないかと思います。
そういう意味ではアーヴィングの訳されている本の中では
もっとも特別な存在なのかもしれません。
アーヴィングに興味を持っている方にはぜひこの本から読んでみてください。
「入門書」として最適な一冊だとおもいます。
そしてもちろんファンは必携です。
