胡柚子さんのレビュー一覧
投稿者:胡柚子
紙の本源氏 物の怪語り
2012/01/31 08:01
紫式部の秘密
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
主人公は紫式部。本書では、藤式部と呼ばれています。
藤式部は、身近な人たち(伊勢大輔など、古典の授業でおなじみのひとたち!)の「物の怪がらみの悩み」を次々解決していきます。その手助けをしているのが、なんと、亡き姉。ときどき、藤式部の娘にのりうつり、手助けをしていたのです……。
『陰陽ノ京』シリーズの大ファンなので、平安時代ものは待ってました!という感じ。
紫式部や彼女をとりまく人々が活き活きと描かれていて、楽しめました。
とくに紫式部は、物語作者としての悩みまで描かれていて、非常に面白かったです。
2012/01/24 13:27
恋は恋
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『テルマエ・ロマエ』などで大人気のヤマザキ マリさんの作品。イタリア、ブラジル、シリアなど6ヵ国を舞台に、中高年の恋が描かれた短編集です。国がちがっても、トシをとっても、人の心は変わらないよねと改めて感じます。素敵な恋をしたくなる一冊。
紙の本余韻を聞く
2006/08/16 08:55
白洲正子の魅力たっぷり
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
白洲正子という名前を聞いただけで「難しそう」「つまらないに決まってる」と敬遠してきました。
が、二年ほど前だったでしょうか。偶然、『能の物語』を読んで、この偏見が吹っ飛びました。面白いのなんの!今まで読まなかったことを後悔したほど。
以来、少しずつ、白洲正子の著作を読んできましたが、まさか今になって新刊が読めるとは思いませんでした。
随想25篇、図版百点余り、それに、未公開の手紙62通。
随想からは、美への想いと文章自体の美しさに圧倒され、酔います。豊富な図版は、何度見ても目を瞠るほど。カラーページがたっぷりで、贅沢な楽しさを味わえます。
そして、手紙。宇野千代や細川護煕氏など、送り先は実に多彩。白洲正子の生の声が聞こえてくるようで、本書で一番楽しめました。随想からはわからない、意外な一面も見えたりして……。
白洲正子の著作は読んだことかがないという方にも、本書はおすすめ。この本でも、「とっつきにくい」という印象が一気に吹っ飛ぶはず。
紙の本僕たちの好きなゲド戦記
2006/08/15 22:16
ゲドファンにお薦め
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
映画化されたことで、『ゲド戦記』関連の本がたくさん出版されているようです。全部読んだわけではありませんが、本書は、『ゲド戦記』ファンに特にお薦めできる本だと思います。
中でも翻訳家 清水眞砂子さんのインタビューは、ゲドファン必見ではないでしょうか。『ゲド戦記』への想いや、作者ル=グウィンの印象などが語られ、一言一言にワクワクしました。
「ル=グウィンに影響を与えた作家たち」や「『ゲド戦記』好きに薦める11の作品」、そして、「全巻のストーリーダイジェスト」……と、冒頭からラストまで読みごたえ十分! 『ゲド戦記』未読の方も、本書を読めば全巻読んでみたくなるのでは?
ただ、映画の『ゲド戦記』についての本をお探しの方には、本書は不向きだと思います。
2012/02/08 16:58
一話、一話が心に残る
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
鈴木 ジュリエッタさんは、『カラクリオデット』からのファン。本書は、作者初の短編集です。
甘くファンタジックな設定で絵もかわいいのですが、ストーリーは意外にビター。
思いがけない展開が楽しめます。
決してストレートではないけれど、「生きること」について、作者の想いが伝わってきました。
作者の鈴木ジュリエッタさんは、長編も面白いですが、また短編集もだしていただきたいなと思いました。
2012/02/08 16:36
ピーナッツ大ファンのための本
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
スヌーピーが好きな方なら、彼が小説を書いていたこともご存知のはず。屋根の上で、タイプライターで執筆する姿はおなじみ。
あの執筆シーンと出版後のようすが、まとれらめています。
前半70ページほどは、英語です。後半が、日本語訳付きのコミックと、小説だけのページ。
薄いのであっという間に読み終えました。
ピーナッツファンでない方には、ちょっと物足りないかも。
ピーナッツ大ファンのための、記念品のような印象です。
谷川俊太郎さんの「物書き仲間として」も、ピーナッツファンにうれしいあとがきでした。
本書は「小説シリーズ」第一弾ということで、次回は短編小説だそうです。
2012/02/02 13:09
コミックでもワクワク!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
映画化も決まった冲方丁の小説『天地明察』が原作。
原作ファンなので、正直不安もありましたが大満足です。
渋川春海が魅力的で、あらためてワクワクしながら読みました。
ストーリー的には、まだまだ始まったばかり。2巻からますます面白くなるところなので、楽しみで仕方ありません。
原作を読んでないという方にも、オススメです。
この作品が面白かったので、槇 えびしさんの他の作品も読んでみようと考えてます。
紙の本八潮と三雲 4
2012/01/26 08:46
恋する猫のラブコメ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
九つの命をもつ猫たちの物語。三雲の八潮への恋心に、ハラハラドキドキさせられます。今回はまさかの「ルール」に笑いました。ボスファンの方には、必見のシーンもアリ! しーくん再登場でキケンな展開に突入します。
2012/01/25 19:31
かるたって、かっこいい!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
友人からすすめられて読みました。一巻を読んだら止まらない面白さ! さすがは人気作品だと感じました。
かるたに出会い、ようやく自分の夢をみつけた主人公が、ひたむきに突き進む姿に共感します。
主人公をとりまくかるた部の生徒たちも、それぞれの想いを抱き競技にいどみます。
どの子も輝いて見える素敵なストーリー。
百人一首の素晴らしさも、再発見できた気がします。
この巻では、全国大会の団体戦決勝。いよいよ、勝負が決まります。最後までハラハラさせられるので、結末をここで書けないのがつらいぐらい。
まだの方は、ぜひ読んでみてください。
今後の千早たちも気になるので、続きを楽しみにしています。
紙の本平安朝の生活と文学
2012/01/25 09:39
平安時代を知りたければこの本
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
平安時代の生活について、こまかな項目ごとに書かれています。タイトルだけ見ると、ちょっと難しそうな気がしましたが、なるほど!がいっぱいで楽しく読めます。当時の人々がどのように考え、どんな生活をしていたか、いろいろな面から説明されていて親切。平安時代について知りたいことがあれば、まずはこの本を読んでみようと思いました。
2012/01/25 09:27
大人気ライトノベルです
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
NHKでアニメ化もされた大人気作品が、角川文庫で再登場。ライトノベルは手に取りづらかった方も、ぜひ読んでいただきたい作品。ちなみに、ビーンズ文庫の方では最近完結したばかり。架空の彩雲国が舞台で、中華風ファンタジーです。主人公の紅秀麗をはじめ、仙人も出てきて、謎の多い、あるいはクセの多い人物が多数登場。物語は、思いがけない展開をみせ、ラストまでハラハラさせられました。
紙の本群青シネマ 1
2012/01/24 19:02
想いはいつまでも
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
1961年、三人の男子高校生が8ミリ映画を撮るというストーリー。淡々と描かれていますが、読みすすむうち、三人の計画に参加してるような気持ちになります。さわやかなストーリーで、大人の男性にもおすすめ。全二巻。もっと読みたかった、ものこの作品世界にいたかったと思わせる作品です。
紙の本たかこ
2012/01/24 07:39
あっぱれ、たかこ!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
転校生は、平安貴族の姫君のような女の子。持ち物はもちろん、行動すべてが平安時代の貴族風。当然、同級生たちとは大きなズレがあります。それでもマイペースで頑張るたかこですが、ときにはつらいことも……。なかなか心が通じあわなくても、懸命に頑張るたかこに「あっぱれ!」と言いたくなります。読後感のさわやかな作品。大人にも是非おすすめです。
2006/08/16 13:24
「エマ」完結
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ヴィクトリア朝イギリスが舞台の、メイドと貴族の恋物語。アニメにもなった人気作品です。
前巻で、エマが謎の男にさらわれ、まさに危機一髪の事態。これからますます波乱万丈の展開に……と思ったら、なんと本書が完結編。他の巻よりやや厚めなのは救いですが、もっとながく続いてほしかった!その意味では、実は★四つにしたい気分です。
それでも★五つにしたのは、作品全体を通して、すばらしいと思ったから。映画のような美しい絵と、オーソドックスだけれど、ぐいぐいひきこまれるストーリー展開。そしてなにより、心に響くセリフの多さに惹かれました。他のコミック作品に比べ、セリフ自体はたいへん少ないと思いますが、だからこそよけいにセリフの重みを感じます。
これから連載される番外編はもちろん、作者の他の作品も楽しみにしています。
紙の本花の形見
2012/02/10 08:17
天文御用十一屋シリーズ第二作
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
江戸時代の大坂が舞台。
質屋十一屋の主人は、公儀天文方御用をつとめる天文学者でもあります。
その弟子である天文一筋の宗介と、店の用心棒、小次郎のコンビを中心に描かれたシリーズ。
待ちに待った二作目です。
蘭語にかかわることで思いがけない陰謀に巻き込まれ、危機に陥る宗介。
用心棒であり、隠密でもある小次郎が、さまざまな葛藤をかかえながらも、大活躍します。
変わり者ながら情に厚い宗介も魅力的ですが、まっすぐな性格の小次郎をますます好きになりました。
十一屋のことが、一巻の『星ぐるい』の時以上にくわしく描かれていて、面白かったです。このお店で、勉強してみたくなったほど。
当時の天文学に関する描写も非常に興味深く、ワクワクしました。
大坂を描いた築山桂氏の小説は、江戸が舞台の時代小説とは一味違う面白さ。
続きを楽しみにしています。