武蔵野詩人さんのレビュー一覧
投稿者:武蔵野詩人
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鎮魂歌 茨木のり子詩集
2002/07/29 16:08
りゅうりぇんれんの物語という長詩が印象的です!
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全体の構成は、1と2の2つの章で分かれていて「りゅうりぇんれんの物語」を
含めて14の詩で成り立っている。
印象に残った詩をあげるとまず「女の子のマーチ」です。
「男の子をいじめるのは好き」といきなり驚くようなことが書いてあって
お医者のパパが「女の子は暴れちゃいけない からだの中に大事な部屋が
あるんだから」という言葉にほっとしたのもつかの間、パン屋のおじさんが
「強くなったは女と靴下ア」と叫んで妙に納得してしまった。
それで最後は「あしたはどの子を泣かせてやろうか」ときて戦後女性は強く
なったのだなと思った。
長詩の「りゅうりぇんれんの物語」は中国人の「劉連仁」が昭和19年9月
ある朝に中国の山東省の草泊という村で強制労働のために日本軍にさらわれて
苦難の末に昭和33年4月白山丸で祖国に帰る話ですが、この中で「おいら
が今 日本で見聞きし怒るものは かつての祖国に在ったもの おいらの国
では歴史の中に畳みこまれてしまったものがこの国じゃ」というところが
印象的です。
国は違えども歴史は繰り返されるのでしょうか
ポケット詩集 2
2002/07/02 20:57
子どもでも読めそうです!
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本書の趣旨は「子どもたち、いい詩を読みなさい」と「ぼくたちの心には、
もともとやさしい気持ちがあって、いい詩を読むとそのやさしさが現れて
くる」ということです。
高村光太郎の「道程」から始まり吉野弘の「奈々子に」まで43編の有名な
詩人による詩が掲載されている。
本書に集められている詩はおおむね子どもが読んでも理解できる内容であり
子どもから大人まで読めそうである。
一般的に詩集といえば、ある特定の詩人のものばかりを集めて構成されて
いるが、本書のようにいろんな詩人の有名な詩を集めているのは学校の教科書
的な感じがしないでもないが、いろんな人のを読むことによりそれぞれの詩人
の特徴を知ることができるのはいいと思う。
表札など 石垣りん詩集
2002/07/25 13:11
インパクトのある詩集です!
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本書には、「表札」を含めて37の詩で成り立っています。
この中でもとくに人間や動物などの死をテーマにした作品が
インパクトのある表現によって読む人をひきつけるようです。
夜中に目をさますとゆうべ買った「シジミ」が口をあけて
生きているが、それを夜があけたら「クッテヤル」と笑い
ながら言うのですが、それを鬼ババの笑いとコミカルに
表現しながら、また寝るときに今度は「シジミ」のように
口をあけて寝るというおもしろい表現で結んでいます。
これは「シジミ」と自分を対比しておもしろおかしく表現
しているようで笑ってしまいました。
また「表札」では「他人がかけてくれる表札はいつもろくな
ことがない」と言ってますが、確かに「焼き場のかまにはいる
ととじた扉の上に石垣りん殿と札が下がるだろう そのとき私が
こばめるか?」と書いていて妙に納得してしまいます。
チョコレート革命
2002/07/10 09:42
甘くて苦い恋愛の歌です!
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「サラダ記念日」から10年の時が流れて俵万智さんが、チョコレートの斬新な
表紙で甘くて苦い恋愛を包み込んだ短歌集です。
「チョコレート革命」という題名は「男ではなくて大人の返事する君にチョコレート
革命起こす」という短歌の言葉から選ばれたものである。
同じようにいくつかの短歌をまとめて「だあれもいない」から「ポン・ヌフに風」まで
21のタイトルがつけられているが、これらも短歌の言葉から選ばれたものである。
内容は恋愛や家族のこと、時事的な話題などで構成されている。
「スモーキーマウンテン」、「十七歳−山田かまちへ捧ぐ」には詳細な説明がついて
いて著者の強い思い入れがあるからだと思う。
この本を読むと顔にあどけなさを残しつつ著者の大人としての顔が垣間見られていい
と思う。
私の前にある鍋とお釜と燃える火と 石垣りん詩集
2002/07/25 15:20
哀愁をおびた詩ですね
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ちょっと悲しくなる詩が多い。
それは戦争についての生々しい記述のせいだろうか
全体の構成は、5つの章に分かれていてタイトルになっている
「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」を含めて43編の詩で
成り立っている。
とくに印象の残った詩をあげると、まず「原子童話」である。
2つの国から飛び立った飛行機が同時に敵国に原子爆弾を
落とした結果生き残ったのは2機の乗組員だけという「童話」
てある。
それを「新しい神話」とも表現している。
これは原爆の恐ろしさを風刺的に表現したものであろう。
そこには生き残った「彼らがどんなにかなしくまたむつまじく
暮らしたか」という究極の表現があります。
また「雪崩のとき」、「挨拶」、「繭」、「夜話」、「日記より」
などでも原爆や原爆実験のことに対する記述がある。
「挨拶」において原爆で「一瞬にして死んだ25万人」の顔について
「なぜそんなにも安らかに あなたは美しいのか」と表現したあとで
「やすらかに 美しく 油断していた」と表現している。
なんとも悲しくなる詩である。そしてこのような悲惨なことはもう
2度と起こしてはいけないと訴えているようである。
対話 茨木のり子詩集
2002/07/29 17:07
もっと強く生きようとする気概を見た
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タイトルにもなった「対話」を含む18編の詩で構成されている。
この中で印象に残ったのは、まず「対話」という詩です。
戦時下の様子が詩に生々と刻印されているようである。
「地と天のふしぎな意志の交歓を見た! たばしる戦慄の美しさ」
「のけ者にされた少女は防空頭巾をかぶっていた」
これらの表現は空襲とそれに対する応戦を思わせます。
その中で防空頭巾をかぶった少女が地と天の交歓から隔離されていた
という意味でしょうか
また「こどもたち」からはこどもたちが視るものはそれだけではなんの
意味もなさない断片だけどそれらがとても新鮮なもので永く記憶に残り
こどもたちが成長していく過程ですべての記憶がまとまってくると
大人の世界や日本のことがゆがんだイメージで形成されていくとしたら
こんなに哀しいものはないから「こどもたち」が小さいからといって
安心したり油断してはならないという戒めだろう。
詩集全体から戦時下や今後の日本の将来に対するやや不安げな心情が
よく現れているといえよう。
見えない配達夫 茨木のり子詩集
2002/07/29 15:27
女性とは思えない力強い詩集です!
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全体の章は1と2の2つに分けられていて、「見えない配達夫」を含めて
27の詩から成り立っている。
とくに印象に残った詩をあげます。
まず「悪童たち」は、春休みに悪童たちが「わが家の塀に石を投げる」と
「ガラス窓に命中する」のであるが、石を投げる理由が「キャッとばかり
飛び出してゆく私の姿を見ようがための悪戯」で捕まった子どもたちは
逃げた首謀者の子どもをかばって黙っているというのを「抵抗運動の仲間」
と表現しているのは笑える。
「悪童の顔ぶれは毎日違い私は毎日出てゆかなければならない」のに
「おまわりさんを呼んでくるという一言をぐっと押さえ」「やさしい言葉
で人を征服する」、つまり「悪童たち」に言ってきかせるところはまさに
大人の子どもに対する接し方として見習わなければならないだろう。
「わたしが一番きれいだったとき」に「わたしの国は戦争に負け」
「とてもふしあわせ」だったから「できれば長生きすることに」決めた
というのは逆説的だが、長生きして幸せな人生を送りたいという願望が
見て取れる。
全体を見ると本音がいっぱいつまっていて男性的な力強い詩である。
やさしい言葉 石垣りん詩集
2002/07/23 13:31
時代に対する鋭い洞察がありますね
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まず目を引くのはピンク地に白い花が描かれたカバーデザインである。
これはまるで着物のようである。
作者の石垣りんが着物を着ているような気がした。
本書の構成は、39の詩で成り立っている。
タイトルの「やさしい言葉」というのは同名の詩からとってあるようだ。
これは「祝いごと」に赤い花をもらって「独り占め欲」により心が赤く
なってきたことから年下の詩人に花を分け与えようとした時、
「みんなとっておきなさいよ こんどもらうのは白い花だよ」と言われて
「目をつむって心おきなく赤い花を抱いた」ことから若い詩人の「やさし
い言葉」で自らの欲求を満たしたということだろう。
石垣りんのこの詩集はどちらかといえば世相や人間、時代の流れに対して
ストレートな言葉、言い換えれば本音を綴っているようだ。
それが僕としてはかなり冷静でかつ沈着な詩人であるという印象を感じた。
あなたと読む恋の歌百首
2002/07/12 14:05
101首の歌を鑑賞しよう
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本書は古今東西の歌人が詠んだ恋の歌101首に俵万智さんが
エッセイという形で解説されている画期的な本である。
もともと朝日新聞の日曜版において2年間で100首の歌を
取り上げて解説するということであったが、うるう年の関係で
101首になったということだ。
最後の一首が俵さんの「チョコレート革命」という歌になった
というのがいい。
また歌人のプロフィールが掲載されているもいいと思う。
「愛などとは言わず抱きあう原人を好色と呼ばぬ山河のありき」
という歌は「『愛』のないセックスは時代とともに増えている
はずだ」という解説を読むと現代の世相を表しているといえ
ちょっと寂しい気がする。
流奈詩集 あなたの幸せがみんなを幸せにする
2002/07/12 12:49
宇宙からのメッセージのようですね
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作者が脳障害児であることはこの本を読めばよくわかる。
ドーマン博士のプログラムにより自分の意思を文字盤で言葉として伝えて
いることも。
でもこの詩集を読むとそういうことよりも心の中に内在する想いが見事に
表現されているという点だ。
「私はルナ。月の名前を授かりし時から、私の運命は月と共にある」という
詩から読みとれるのは彼は宇宙からのメッセージを伝えているのだろうかと
漠然と感じてしまうことだ。
「人々の心を映し出す鏡として、月は存在するのだ」という言葉の意味を
よく考えてみると、彼は人々の心を映し出す鏡なのかもしれないと僕は思った。
確かにこの詩集を見ると不思議な気分になるのだ。
かぜのてのひら 俵万智歌集
2002/07/09 15:24
ボリュームのある歌集です!
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「サラダ記念日」から4年後に発表された俵万智さんの歌集です。
いくつかの短歌に「まもなくの冬」、「天気あめ」、「ユリ」などの
タイトルがついているが、これは短歌の中の言葉からとったものである。
そして「かぜのてのひら」という本書の題名も「四万十に光の粒をまき
ながら川面をなでる風のてのひら」という短歌の言葉から来ている。
全体を見ると春、夏、秋、冬という四季それぞれの季節感と自然の風景が
垣間見られる。
また本書で「心が鳴る」という作者を心情を味わっていきたいと思う。
みだれ髪 チョコレート語訳 2
2002/07/09 14:33
みだれ髪の俵万智訳の後編です!
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本書は「みだれ髪 チョコレート語訳」の下巻である。
上巻に比べると下巻の方が与謝野晶子から与謝野鉄幹への情熱が
強くなっているようだ。
あとがきに書いてあるように「『はたち妻』と、短歌のなかで
自分を呼んでいる時点で、昌子はまだ正式には鉄幹と結婚して
いない」にもかかわらず「昌子の気持ちは『はたち妻』以外の
なにものでもなかったのだ」と俵万智は感じてその思いを訳した
短歌でうまく伝えていると思う。
まさしく「後半は、自分自身が昌子になりきって、その思いを
歌につむぐ」ということだ。
上巻・下巻を比較して読むと実におもしろいと思う。
みだれ髪 チョコレート語訳
2002/07/09 13:02
与謝野晶子のみだれ髪の俵万智語訳です!
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「みだれ髪」というのは俵万智さんが言われているように「半分も意味がわからない」
のである。
それは俵さんの師である佐佐木幸綱さんが「『みだれ髪』には事実、意味が曖昧で
難解な歌が多い。独特の言いまわし、思い切った省略、論理的飛躍、下足らずな表現、
曖昧な用語等が少なくなく、ときには文法的誤用さえ見られるのである」と言われている。
しかし、「技巧的な未熟さがマイナス点ばかりにならなかった。未熟さが大胆さを引き出し
もした」のである。
そこで画期的な本書の登場である。
なんと「みだれ髪」を俵万智さんの感性を用いて短歌で訳してしまったのである。
チョコレート語訳という表現もおもしろい。
なんでも「甘くて、ちょっぴり苦くて、食べすぎはよくないと思いつつ、つい手を出して
しまう」という意味の言葉を使った訳だそうだ。
本編は上編で「みだれ髪」の前半の3つの章で構成されている。
各人でいろんな味わい方をしてほしい。
すみれの花の砂糖づけ 江国香織詩集
2002/07/09 11:16
江國香織の本音が見える詩集だね
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この詩集を読むと江國香織さんを知る手がかりになりますね。
「すみれの花の砂糖づけを食べると」少女になるってことは
子どもの頃すみれの花の砂糖づけが好きだったのかな。
江國さん夫婦の「結婚生活」というのは「反抗期の中学生」
と「生意気な小学生」が「一緒に暮らしているみたい」なのか。
でも「あなたが泣けばあたしが抱きしめてあげる」ことや
「あたしがなにをしてもあなたはそばにいてくれる」って
いいな。
この作品を読むと江國さんの少女時代、家族のこと、夫婦の
ことがよくわかって江國ファンにはたまらないと思います。
ふだん彼女の小説やエッセイを読んでいる人には新たな
感動を与えるのではないでしょうか。
ポケット詩集
2002/07/02 20:34
子どもが読むには少し難しいかも
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宮沢賢治の「雨ニモマケズ」で始まり茨木のり子の「自分の感受性くらい」
までいろんな詩人の詩が33編掲載されています。
中には子どもの頃学校の教科書で習ったような懐かしいものもあれば今回
初めて読んだものもあります。
詩についてはすべて漢字に読み仮名がふってあるので子どもでも十分読める
と思います。
編者の田中和雄さんが「この詩集ほ、ほんとうの子どもたちと、子どもの心
を持った大人たちに捧げます。」と書いているのを見るとその趣旨がよく
わかりますが、中には与謝野晶子さんの「君死にたもうことなかれ」のように
当時の歴史的背景がかわらないと意味がよくわからないものもあります。
だからどちらかいえば子どもの心を持った大人たちが読む対象なのかなと
思いました。
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