みこさんのレビュー一覧
投稿者:みこ
半日村
2002/06/28 22:20
一人の少年の行動が村全体を動かした
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一方を高い山、その反対に湖を持つ村。
朝がきても高い山に阻まれて一日のうちで半分しか太陽が出てこないから半日村と名付けられた。
半日しか日が照らないうえに夜になると湖の方角から冷たい風がビュービュー吹いてしまうために、半日村の稲は周りの村の半分しか収穫できない。
その村に住む一平の両親は「悪い村に生まれたとあきらめるしかない」と話していた。
私ならここで彼らと同じようにため息をついて愚痴をこぼすだけだったろうが、一平は意志の強い少年だった。
その次の日から一平は山頂の土を湖へと移す作業を黙々とし始める。
それを見て最初は馬鹿にしていた友達達も一緒になって山を削っていく。
最後には大人たちまでもが一平達に協力していき、何十年も経って山は半分の高さにまでなるのだ。
今ではショベルカーで短時間のうちに山を削ることができるが、そんな物が無かった時代、村人同士が協力して山の高さを半分にしてしまうなんて凄いの一言につきる。
しかもそれが達成できたのは最初に行動を起こした一人の少年ということに人間の力強さを感じた。
三国志 1
2002/07/16 21:25
乱世の英傑たち
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三国志を読もうと思って図書館で見つけたのが吉川英治のシリーズだった。
年期が経っており所々に折り目まで付けられていたものだったが、それは大勢の人が支持して読んだからだろうと思って多くある三国志の本の中から選んだのは正解だった。
今の若者から思えば少々古めかしい言い回しも何だか登場人物達の威厳を増長する効果となって、読み手を惹きつける。
本書では蜀の劉備を中心とした視点で進められていくが、魏の曹操や呉の孫堅も登場し彼らの近辺の様子も語られている。三国志の一般的な知識しか知らなかった私にとっては、どういう流れによって彼らが自国を建てていったかが次々に分かってくるのでありがたかった。そうはいっても物語なので著者の創作の部分もあるということらしいが、そこがあるからこそより一層楽しめるというものだろう。
五十近い父の代では有名らしいが、十代の私でもとても楽しく読めるものだった。
スーホの白い馬 モンゴル民話
2002/05/31 19:42
馬頭琴の音色
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初めて読んだとき大泣きをして母を困らせたのを良く覚えている。
スーホにとって馬はかけがえのない友達であり、家族だったのだ。
家族を奪われることを拒んでどうして殴られなければいけないのか、どうして皆スーホを苦しめるのかが分からなくて、ただただ理不尽な現実が悲しかった。
そして馬の死は本当に辛かった。
けれども、最愛の者との悲しい別れが一つの楽器を生み出した。
それはスーホの馬への愛情と生きる意思の象徴だと思える。
馬頭琴の音色を聞いたことがあるが、まさにそれを伝えんがせんとする心に染み入る音だった。
モチモチの木
2002/05/26 00:49
少年の勇気
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きっと多くの人が小学生のうちに読んだだろう、とても印象強く思い出に残っている絵本だ。
初めて読んだころは泊まりに行っていた祖父母の家が、まだ母屋とトイレの場所が離れていたから、この絵本の内容はとても身近に感じられたのだ。
昼間は平気なのに、夜になると途端に闇と沈黙に包まれた世界になってしまうのが子供のころはとても怖かったのが思い出される。
母にこの絵本を読んでもらうたびに、幼少の私は、この少年はなんて勇気があるんだろうと感心したものだった。
愛する家族のために闇の中を必死になって走った少年の姿は今でも私の心で輝いている。
自分が守りたい者のために自分の恐怖心に立ち向かう勇気を分け与えられたような気持ちになる。
エイズと闘った少年の記録
2002/05/24 12:56
涙のわけは
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小学生の時に読んでいたのを、久しぶりに手にとって読み返して涙が出た。
幼いころはわけも分からず悲しかった覚えしかなかったのだが、今はその涙の理由が分かる気がした。
主人公の少年が、ちょっと転んだだけでも命に関わってくる自分のからだをどう感じていたのだろうか。
私は今のところは健康体だが、もし、ひとたび何かしらの病気になって死の恐怖と対面したなら、と思うと少年のひたむきな姿がすごく悲しく思えると同時に誇らしい。
時には非難をあびたこともあるだろうし、周りと違う自分の体を悔しく思う日もあったかもしれない。
それでも、温かい家族の支え、見返りを求めない友達の援助、多くの心優しい人たちに囲まれて彼は戦い抜いたのだ。
少年の年齢を上回った現在、エイズやその他の治療法のない病気、そしてその患者への接し方について考えさせられる。
トラベリング・パンツ
2002/06/25 11:52
ジーンズと共に過ごした夏休み
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古着屋で何の気なしに購入した不思議なジーンズ。
それを初めて夏を別々に過ごすことになった親友四人でまわし合って履くことにした少女達。
一番最初に履くことになったレーナは美人だけど内気で意気地なし。
その次にジーンズを履くティビーは鼻ピアスをして外見で誤解されやすい子。
三番目のカルメンは数学が得意で大きな胸とお尻にコンプレックスを持っている。
最後のブリジットはひたむきだけど時にはそれが過ぎてしまう抜群のサッカーセンスの持ち主。
彼女達がそれぞれの場所で夏休みを過ごす間、またそれぞれに事件が起こっていく。
レーナは祖父母が住むギリシャでそこに住む人たちから愛され誇りに思われている青年と会う。ティビーは面倒なスーパーの仕事中に白血病の少女と友達になる。母と離婚した父親と夏を過ごすはずだったカルメンは突然父親の新しい家族を紹介される。サマーキャンプに参加したブリジットは副コーチの大学生に一目惚れする。
思春期の少女達のありのままの姿がそこには表れている。
それを一つ一つ見ていたのが不思議なジーンズなのだ。
彼女達はそのジーンズの力を借りて自らの思いを告げ、勇気を搾り出し目の前の出来事に立ち向かっていく。例え四人が離れ離れでもジーンズを履けば、他の三人のことを思い出し絆を確かめあう。
読んでいてその友情の素敵さと少女達のありのままの姿に感動する本である。
夏の庭−The Friends−
2002/06/13 21:12
友情に年の差はない
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最初は表紙の美しさに惹かれて手に取ったのだけれど、すぐに夢中になってしまった。
何の予備知識のないまま、仲良し三人組の冒険みたいな内容なのかと思っていたら、その三人の少年達が三人とも個性が強くて本当に仲が良いのか疑ってしまう所がいくつもある。
しかもワクワクとした冒険活劇的イメージが吹っ飛んでしまうほど、彼等は多少子供っぽい発想があるけれども現実的で人間臭い。
さらに一人の老人が現れてからは家庭や精神にぽっかりとした穴が開いていた少年達の成長がひしひしと感じられる。
彼等は胸躍る冒険などしなかったが、それを通して得ること以上のものを掴んだように思える。
特に老人と少年達の関係はすごく憧れる。彼等は傍から見れば奇妙だったろうが、彼等は真の友達だったのだ。
夏の暑い日になると彼らが自然と思い出される。
きょうはなんのひ?
2002/06/06 21:33
このワクワク感がたまらない
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子供にも大人にも読んで欲しい絵本である。
大人にとっても主人公の少女の愛らしさはとても魅力的だろう。
もちろんそれは子供にとってもだ。
彼女は家のあちこちに手紙を隠して置く。
それを読んで母親は書いてある指示に従って次の行動をする。
そしてまた新たな手紙を見つける。
実はそこにとても面白い魔法がかけてある。
手紙を探すというごく単純な作業をしているのだが、読んでいくうちに見慣れた家の中が途端にダンジョンのような気がしてくるのだ。
手紙という名の宝物を探して家を探検しているような錯覚に陥るのだ。
次の手紙はどこにあるのか?
どんなことが書かれてあるのか?
全部集めたらどんなことになるのか?
そんなことを考えながら子供達は絵本を読むと同時に小さな冒険者のつもりになるのではないだろうか。
子供達が惹かれるのはここではないだろうかと私は思う。
きっと読んだ後、自分の周りが新鮮に映るだろう。
そして話の最後には自然と微笑んでしまうのである。
ちいちゃんのかげおくり
2002/05/26 01:23
私もやっていたかげおくり
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初めて読んだのはまだ保育園に通っていたころだった。
そのころはかげおくりという遊びは知っていたが、この本に託された思いが読み取れなかった。
それはきっと幼い私は、まだ死というもの、戦争というものを理解できなかったのだろう。
だからちいちゃんがかげおくりをして空まで上がってしまったのはどういう事か分かっていなかった。
小学生になってこの本を読み返したとき、ポロポロと涙が出た。
そのときになってようやく、
ああ、ちいちゃんは死んでしまったんだ…
と分かった。
くしくも、その当時私が通っていた小学校でかげおくがはやっていた。
戦争が奪った小さな命、その家族の命、知り合いの命。
そして出会うこともなく消えてしまった命があっただろう。
毎年夏になって日差しが強くなるころ、目に残像がうつるたび、幼い少女のかげおくりを思い出さずにはいられない。
同時に平和について考えさせられる。
螢川・泥の河
2002/05/23 17:38
匂いまで伝わってきそうな臨場感
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どちらも描写が生々しく、妙に人間くさくて最初は少し抵抗感を感じるだろう。
けれど、それがかえって臨場感を増し、話の中に引きずり込まれるようだ。
「泥の川」では最初から馬車引きの死という印象に強い物から始まり、少年の視点から見る全ての物が特別に、そして歪曲した物に感じられる。
移り変わろうとしている時代への不安が巧みに表現されていると思う。
「蛍川」にもその描写が際立っていて、友の死と蛍火を通して主人公が生と死の感覚を掴んでいく様子が強く書かれている。
泣いた赤おに
2002/05/31 20:12
二人の鬼と村人たち
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赤鬼と青鬼がうった芝居は人間の心理をよく描いていると思った。
村で暴れる青鬼を退治したという格好で赤鬼はようやく村の人たちから受け入れられる。しかし、その芝居がなかったら村の人たちは赤鬼を拒絶したままだったろう。
彼等は外見の怖さに気を取られて、心の優しい赤鬼の本質をみていなかったのだ。
そして赤鬼は受け入れられることになったが、今度は赤鬼と同じように心の優しい青鬼がその存在を否定されることになった。
いったん悪い印象をもたれるとそれはなかなか消えない。
だから青鬼は去っていったのだが、彼からの残された手紙を読んだ赤鬼はどうして泣いたのだろう。
自分の幸福の犠牲にさせてしまったこと、村人には分かってもらえない自分たち本当の心、そして何より大切な親友がいなくなってしまったことを嘆き涙したのだろう。
保育園のころ、この本を題材に劇をした覚えがある。
私は町の子供役で赤鬼と楽しそうに遊ぶ演技をした。
そのときは見えなかったこの本の真意が今現在の私に重くのしかかってくる。
イタリアからの手紙
2002/05/21 13:23
美しく愉快なイタリア
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作者のイタリアが好きだ!という気持ちが強く感じられる。
だからと言って何も観光のパンフレットのように良い事ばかりではなく、手厳しく批判したり冗談めいたものの書き方で紹介してあるからすごく爽やかな印象を受ける。
筆者の何でも前向きにとらえようとする姿勢があまりにも自然で、少々失礼かもしれないがまるで外国の人の日記を覗き見ているような錯覚さえ覚える。
イタリアの医者の卵である青年を書いた短編もおもしろい。
イタリアの大雑把な気質と日本人の几帳面な気質の違いについ笑ってしまいそうになる。
初めてエッセーを読むにせよ、もう何冊も読んでいるにせよ、手にとって地中海の風を感じてもらいたい。
孟嘗君 3
2002/07/08 16:13
孫子の兵法
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孟嘗君誕生から続いていた物語だが、この巻から今まで育ての親である風洪(後に白桂)を中心としたものから文(後の孟嘗君)の視点へと転換期を迎えた。
育ての親である白桂と軍師の才に秀でた孫ピンの計らいにより、赤子の時に殺されそうになって逃げ出た田氏の家に戻ることとなった文だが、実の両親より育ての親に思いを寄せる日々が続く。成人し初陣に出ることとなる彼だが、まだその手腕は未知の物だった。
その代わり活躍したのが孫ピンである。
彼は旧知の仲であった魏のホウ涓に裏切られ無実の罪に問われて両足を失い額に罪人の刺青をされていた。が、白桂に助けられたことにより斉の軍師として復讐の機会が巡ってきたのだ。
漢文の授業に良く取り入れられる部分でもあるから知っている方も多いと思うが、屈強と謳われた魏軍を孫ピンは思いも寄らない戦略で打ち倒す。
今でも言われる「孫子(孫武・孫ピン)の兵法」のうちの孫ピンの天才ぶりを目の当たりにしたかのようで不思議だ。
その後彼は戦いには出ず兵書を書きつづけたと言うが、文の視点を通してそのあたりのことも語られるのだろうと思うとこれからの展開に胸が躍る。
もちろん文の成長ぶりもますます楽しみである。
サーカス!
2002/06/27 20:55
サーカス大好き!
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開いた途端にこまやかな線とカラフルな色が目の中に飛び込んでくる。
始めはサーカスの人たちとその日常の紹介で、これがまた国際色豊かな顔ぶれなのだ。ハンガリー、日本、イタリア、ニュージーランド、オランダ、スペイン…etc.
ひとたびショーが始まれば、馬やカバや象たちの曲芸やかるわざ、皿回しなどが次々と繰り出される。
ひときは印象深いのが空中ブランコ!
パッとライトが空中を飛ぶ人たちを照らす姿が綺麗な青を背景に描かれていて、なんとも目をひく。
ページを捲るたびにどんどん絵本の中に入り込んでしまうようだ。
読み終わった瞬間は本当にサーカスを見てきたかのように興奮した。
子ども達が読んだなら、きっとサーカスを見させてくれとねだるだろう。
それほどグイグイと引っ張られるように惹きつけられる内容と絵柄である。
おしいれのぼうけん
2002/06/18 23:01
狭いおしいれの中での少年達の大冒険
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初めて読んだときはすごく怖い印象が強かった。
しかしどれと同時にドキドキとした興奮があった。
子どものころは両親や先生の言うことなど聞かずに遊んでいたという人は多いだろう。その中でこの本にでてくる少年達のように怒られておしいれに閉じ込められた人もきっといるに違いない。
子どものころにそんな経験した人ならその怖さは充分分かるはずだ。
暗い、湿気の多い、妙に静かなおしいれの中は子どもにとってただの闇夜よりも恐ろしい。
そんなおしいれの中にに罰として入ることになった二人の少年がそこから大冒険をするのだから面白い。
怖いネズミばあさんや少年の大好きな機関車が出てきたりして次から次へと興奮がさめない。
いつしか自分もこんな冒険がしてみたいと思って、家のおしいれに入ってみたのだが残念ながらネズミばあさんには出会えなかった。
けれど今でも読み返せばドキドキと胸が躍る。
子どもに限らず大人さえ惹きつける魅力を持っている。
