ATIさんのレビュー一覧
投稿者:ATI
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紙の本一神教VS多神教
2002/10/09 15:11
被差別者が生み出した一神教
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ユダヤ、キリスト、イスラムといった一神教は、差別され抑圧された人々によって生み出されたという
著者の分析は非常に説得力がある。多神教といえるわが国では明治維新によって、天皇を頂点とした一神教的体制を急きょ作り上げることで、西欧列強のキリスト一神教に対抗しようとした。しかし、長い歴史の中で根付いた多神教文化は敗戦後の今、盆休みとクリスマスと初もうでが共存してしまうまさに多神教そのものの文化として存在している。
異教をおおらかに受け入れる多神教と違い、異教を認めない一神教は排他的であるうえ、戦いにめっぽう強い。ナチズムや共産主義体制なども一神教と見ることができるのではないだろうか。イスラエルーパレスチナ(イスラム)問題はこの一神教どうしの戦いだけに激烈であるのも納得がゆく。
宗教に対する意識が希薄な日本人に理解しやすい本である。
紙の本不幸論
2002/10/22 13:52
逆さ幸福論
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者は不幸論を論じるために、幸福の4条件をあげる。
1.自分の特定の欲望がかなえられていること。
2.その欲望が自分の一般的信念にかなっていること。
3.その欲望が世間から承認されていること。
4.その欲望の実現に関して、他人を不幸に陥れない(傷つけない、苦しめない)こと。
この条件で検証していくと、条件すべてをそなえた幸福などあり得ないと説く。
人は生まれながらにして死という絶対的不幸を全員が持っているうえ、
4条件すべてを満たすことができない相対的不幸をも抱えていというのだ。
ホームレスも金持ちも、その不幸のかたちが違うだけで不幸であることには変わりがない。
ほとんどの人はそこまで考えないし、その手前の表層的幸福や不幸で思考麻痺しているというのだ。
私には身もふたも無い真実を、真正面から語る人であると感じた。
著者の不幸論をそのまま承認するのは困難であり、苦痛ですらある。
いや、その前に否定や無視をする人が大半なのではなかろうか。
にもかかわらず、賛否ありながらも著者の本はけっこう売れているようだ。
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