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紅町キョーさんのレビュー一覧

投稿者:紅町キョー

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本H.O.P.E.

2002/06/22 10:39

外科医へ命の唄を

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

初めてこの本を手にしたのは受験も間近と云う中学3年、夏の終わりの事だった。将来、外科医に成りたいと思って居た私にとって、この本との出会いは生涯忘れられないものと成った。「弱冠15歳の天才外科医」…当時15歳だった私は思わずその設定に跳び付いた。物語の中とは云え、漠然とした夢は有れど先の見えなかった不安定な私にとって同じ歳の男の子が、しかも天才外科医と呼ばれる彼が一体「何」を感じ、成して行くのか非常に興味が有ったのだ。そして実際、其処には予想を遥かに上回る主人公の「苦悩」「葛藤」「孤独」が在り、そして成長しゆく彼の姿が在った。「患者に飢えた医者」から人を本当の意味で救う医者へ。彼の成長は、唯漠然と医者に成りたいと考えていた私に、衝撃と感動を与えた。自分も、勇斗の様に。いつしか彼に自分の姿を重ね合わせて共に怒り、焦り、悩んでいた。読み終えると、さっきまでとは違う自分が居た。ただ医者に成るのでは無い、人を心の底から救いたいと思う、だからこそ医者に成る。勇斗の成長は自分の心の成長となった。絶対忘れられない物語となった。苦難だけでは無い、其処にはそんなものを遥かに上回る努力があると、教えてくれた。深く共感し、感動した。H.O.P.E.との出会いから2年。辛い時、迷った時、H.O.P.E.はいつも光、或いは道標となってくれた。彼らは、私の「H.O.P.E.」に成った。素晴らしい小説だ。

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