ダイスさんのレビュー一覧
投稿者:ダイス
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神様のボート
2002/07/04 14:00
言葉の浸透圧
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一度ハードカバーで読んだことがあったのだけど、なにか海岸をよく歩く小説だなとしか覚えてなくて、文庫になったついでに買ってみた。やっぱり海岸歩いてた(笑)、それだけじゃなかったけど。僕の後に読んだ彼女は草子ちゃんのほうに肩入れしてて、「あんなに引越しばかりでかわいそう」と言っていた。なるほどね、そういう解釈もあるのかぁと素直に嬉しかったのだけど、僕はといえば葉子さんのほうで、ああいう生き方を素敵だと思う一方で、これはこの作品だから成立する条件で、もし現実であっても、それが人事なら「素敵だね」といえるのだろうけど。反実仮想の世界で。とかなんとか言いながら、やっぱりこの人の本を読むのは言葉の綺麗さが温い風呂に浸かってる皮膚に浸透する感じを受けたいからなんだと。
『上記のような書評やってます。出来立てですが。neue Geschichte』
取り扱い注意
2002/07/04 13:42
『取り扱い注意』に注意
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同じ男として、この主人公の「もてさぶり」には、羨望と嫉妬と滑稽さが綯い交ぜになった気持ちにさせられる。もてすぎるあまり問題が降って湧いてくるけども、そんな人生も一瞬あってもいいかなと思う。
巧妙なストーリー展開と、一癖も二癖もある人物描写、おもしろくないはずがないが、なにより大事なのは、もてすぎる男を疑似体験させ、少しずれた非現実へと『ジャンプ』させる点にある。本を閉じて、冷静になると、「おもしろそうだけど、やっぱりあれは御免だね」、なんて馬鹿げたことまで考えさせられるんだ。
花粉の部屋
2002/07/04 13:38
花粉の部屋
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1974年生まれのスイス人の女性が書いた処女作。ドイツ語圏で新人賞を総なめにしたと書かれている。そして、実体験にもとづいた新しい家庭像を描いている、らしい。簡潔にときに冷静過ぎる目線で事象だけを描き、そこに付随する感情はそこには書かれていない。主人公ヨーは、離婚した両親を他者として見ている。しかし同時に彼女は彼らに振り回されている。勝手気ままな精神異常の母親と、やさしい言葉を投げかけるだけの再婚した父に。だが、むしろ彼女はそれを望んでいるかのように思えてならない。誰かに依存して流れている間は。だから彼女は母親がいなくなり、父親の家には自分の置き場がないと感じた時、溶ける瞬間の雪を待つ。溶ける、そして白く変わる、その変化の只中に彼女はいたいのだと思う。
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