大空アゲハさんのレビュー一覧
投稿者:大空アゲハ
紙の本痴人の愛 改版
2002/07/15 17:07
無邪気な女の持つ、サディズム。優しすぎる男の持つ、マゾヒズム。
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■なかみ■
◎この本に出てくるのは、「少女とおじさん」。
◎ナオミと譲治。これが主人公。
*
◎電気工場で働くサラリーマン譲治は、15歳のナオミをカフエエで見かけて以来、漠然と、この娘を立派に育ててやりたいと思いはじめる。しばらくしてから、その願いを叶えるべく、彼女を自分のところに引き取って、ふたりで暮らすようになる。
◎一流の女しようと思って、ナオミに英語を習わせたものの、いっこうに上達しない。無駄遣いはする。服はたくさん買う。買ったら買ったで気に入らないものは、そこら辺に放り投げておく。掃除はしないし、わがままを言う。料理もろくにしない。性格に女らしいところがひとつもない。
◎しかし、体だけは成長するにしたがって、美しさを増していく。そんなナオミの言うことを、なんでも聞いて甘やかす譲治。初めは、ナオミを大切にしたいという、暖かい父親のような思いから、次第にどうやっても離したくない、狂おしいまでに思う気持ちに変わっていってしまう。
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■読んでみて■
◎ひとの感情は、昔からひとつも進歩してない。不思議です。
◎かの某有名作家がある小説の中で、こう言ってました。「人間は、誰しもどうしようもないアホな部分をもっているんだ」。まさに、これでしょう。人間の、どうしようもないアホな部分がよく現れている小説だと思います。
◎さて、ナオミは、譲治さんの思いどうりに成長したのでしょうか。続きは、読んでみてからのお楽しみです。
2002/07/15 21:22
実録!人間・沢木耕太郎
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◎千五百ドルのトラベラーズチェックと四百ドルの現金を作り、仕事のすべてを抛擲にして旅に出る。泥臭く土臭い旅のはじまりである。著者は、インドのデリーからイギリスのロンドンまでを乗り合いバスで行く、という普通の頭で考えるととんでもないことを企てる。乗り合いバスって、あの普通のバス? 日本では、おじいちゃんとか、おばあちゃんとかが利用客の大半である、ガタガタ揺れてお世辞にも乗り心地が良いとは言えないあの乗り物ですか。はあ…。
◎ まず、舞台はインドのデリーのから始まる。インドから、ロンドンへ乗り合いバスで行くのがこの旅の目的であり、すぐにでも日本からインドへと直行するつもりだったらしい。しかし、寄り道をしても航空券の価格が変わらないことを代理店の案内人に教えてもらうと、デリーへ行く途中、香港とバンコクに寄ることに決めた。
◎ 香港で泊まった宿の名前は黄金宮殿(ゴールデン・パレス・ゲストハウス)。この名前から、読者はさぞかし豪華なホテルを想像するだろうが、そこは実は《連れ込み旅館》であった。ようするに、売春宿みたいなもんである。マカオでのカジノの場面は白熱する。カジノに行く時のに参考になるかもしれない。心構えというか…。
◎ 本というのは、「何かやりたい」という気持ちを引き出すのにすばらしい効果があるものであると思う。この本を読んで、どこかに行きたくなった。単純に。日本のまだ行ったことのない秘境を探検するも良い。もちろん、南の島でゆっくり夕陽を眺めるのも良い。きっと、こう思ってすぐ行動するのが、ほんとうなのであろうが、私にはまだその思い切りがない。でも、いつか必ず行こうと思う。自分がその時行きたいところへ、思いついた時すぐに。「深夜特急2」が楽しみである。著者と一緒に旅を追体験できるので、わくわくする。
2002/07/15 21:29
これを読んで、エバれる隠れ家的カフェを見つけよう。
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■なかみ■
【代官山のたくさんのステキをアナタヘ】
どこから何処までが代官山なのでしょう?
代官山はすこしずつ広がっているように感じます。
それでも、独特の空気が流れ、
素敵な魅力に包まれています。
皆さんが“ステキ”と感じられるところが
代官山なのでしょう。
代官山は今日も変化を続けていますが、
代官山を愛する方々のおかげでステキな魅力は増してます。
このガイドブックは地元の人たちが
みんなでつくった代官山の今を伝える
ステキな“自己紹介”です。
どうぞ、代官山のステキな時間とステキな空気を
あなたの足で、あなたの目で、あなたの心で
お楽しみください。
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■読んでみて■
通販のカタログを見るのが好きなひと
インテリアのカタログを見るのが好きなひと
新聞のラジオ・テレビ欄を眺めるのが好きなひと
など、カタログを眺めるのが好きなひとにとっては
面白いとおもいます。
おしゃれに興味を持ちはじめたあなた。友達よりも先に
サラッと代官山のことを知っときましょう。
この本は部屋のスミに隠しておいた方がイイでしょう。
2002/07/15 21:27
どうしこんなに「生きづらいの?」それはね…
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「わたしなんて、まだまだ甘い。虐待されたわけじゃないし。どちらかというと、裕福な方だし。お父さんがアル中なわけではないし。お母さんも、元気だし。なのに、どうしてこんなに『生きづらい』って、思うんだろう…。」
実は、こういう人のほうが多いのではないかと思う。めちゃくちゃへヴィな、それこそみなしごで、親戚のうちをたらい回しにされて、そこではイジめられ、というような小公女セーラばりの人はめったにいない。少なくともわたしのまわりでは…。
本書は、カテゴライズされた一ジャンルであるAC(アダルトチルドレン)についてだけではなく「生きづらさ」を感じたことのあるすべての人へおくる「生きかた」のヒントである。
こんなに生きづらいのは、親がわたしを甘やかして育てたせいだ。その甘やかして育ててしまった親も昔は子供だった。
そんな自分の家族の物語もひも解いてみよう。
2002/07/15 17:25
ロビンソン・クルーソーには、実在するモデルがいた!?
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■内容
◎きっかけは、『世界探検史』を翻訳していた時に見つけたわずか400語足らずの囲み記事だった。「ロビンソン・クルーソーには実在するモデルがいた!?」 著者は直感する。この記事は自分に大きな夢と可能性を与えてくれるものだ、と。
◎バックパックを担いで、世界中の6大陸を放浪してきた著者の旅の最大のテーマは「自然と人間」であった。人間は大自然の中でどこまでうまくやっていけるのか? ロビンソン・クルーソーのモデルとなる人物の冒険と生涯を追いながら、著者自身もまた彼と同じ生活に挑戦する。
■書評
◎子供の頃感じたような、心の中がざわざわした「ワクワク感」。これって、すごいパワーがあるように思う。この本は、ワクワクする気持ちを引き出してくれる本だ。
◎ロビンソン・クルーソーには、実在するモデルがいた。
名前は、「アレクサンダー・セルカーク」。事実、南太平洋の無人島に置き去りにされ、4年にも渡って自分ひとりだけの世界で生き続けた男である。そのセルカークの足跡を、著者は長きにわたり追い続ける。彼が生まれたイギリスに行ったり、実際置き去りにされた島で生活してみたり。自分の足で歩き回って、セルカークの生きた跡をたどる。
◎探検。冒険。ワクワクする。古い時代の、秘密を求めて。あっち行ったり、こっち行ったり。ヒトを訪ねたり。文献を読みあさったり。断片的なピースとピースをつなぎ、「アレクサンダー・セルカーク」という人生のパズルを完成させていく。
何が面白いって、セルカークの人生のプロセスを、順に一緒に追っていきながら、自分もセルカークの秘密を探る「わくわく感」を感じることができることだと思う。
2002/07/15 17:14
「もものかんづめ」の対極に位置する戦うエッセイ。
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■内容
◎ゴミを愛する人たち、池袋通り魔事件、酒鬼薔薇聖斗事件。当時世間を騒がせた大ニュースの他にも、彼女自身が実際に出会った様々な出来事、例えばビルとビルの間の15cmのすきまにぴったりと挟まった女の話、など現代の社会が抱える様々な問題を独自のフィルターを通して語った名コラム。
■書評
◎この人の本の中には、終電を逃して居酒屋で飲んでて知り合った人の話やら、道端で意気投合してそのまま飲みに行く話が、やたら出てくる。なぜ、この田口ランディという人は、いとも簡単に道で出会った人とすぐに友達になれるのか。よく読んでみると、彼女は銀座のホステスをしていた時代があったそうである。水商売をしていると、お酒が入ってるせいかよくわからないけれど、やたらと人に話し掛けたくなってくる。全然知らない人にもいきなり話しかけられる。毎日が会話の臨戦体制に入っているからだ。話すのがものすごく楽しいのだ。この人は、もともと物おじしない性格なのかもしれないけれど。
◎彼女はものすごく真面目な人なのだろうな、と思う。その文章からふつふつと伝わってくる。正義感があるというか。生きてきた中でいっぱいいっぱい失敗をくり返して、損をして、それでもひたむきに生きてきた、そんな彼女の姿が思い浮かぶ。そんな彼女だからこそ、この世の中で起きている事件を実生活の延長線上にあるものだととらえて、これほどまでにリアルで興味深い文章がかけるのだと思う。こんな私が言うのもかなりおこがましいことだけれども。
◎この本と並行して読んでいたさくらももこの「もものかんづめ」。「もう消費すら快楽じゃない彼女へ」も「もものかんづめ」もどちらも、コラムというかエッセイだが、カラーが全然違いすぎる。かたや、深刻な現代の底辺にある社会問題を真面目に斬り、考えさせられる真剣コラム。かたや、ぐーたらな日常の中に楽しみを発見している抱腹絶倒の爆笑エッセイ。本を切り替えるたびに頭の中もアホモードと真面目モードに切り替わる、このおもしろさ。皆さんにも、全然正反対のカラーの本を並行して読むことをおすすめする。
◎ちなみに彼女の著作の中の「ひかりのあめふるしま 屋久島」が読んでみたい。きっと屋久島に行きたくなるのだろうな…。
■関連図書
縁切り神社
忘れないよ!ヴェトナム
ひかりのあめふるしま 屋久島
コンセント
もう消費すら快楽じゃない彼女へ
スカートの中の秘密の生活
紙の本金子みすゞ童謡集
2002/07/15 17:23
素直なほんとうのじぶんを引き出してくれる本
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■内容
<見えぬものでもあるんだよ>(「星とたんぽぽ)。
大正末期、彗星のごとく登場し、非運の果てに若くし
て命を断った天才童謡詩人・金子みすゞ。彼女は子供達
の無垢な世界や、自然や宇宙の成り立ちをやさしい詩の
言葉に託し、大切な心のありかを歌った。いま、歴史の
闇に散逸した幻の名詩が再び発掘者の手でテーマ別に編
まれた。殺伐たる時代の中で、もう一度目に見えぬ「や
さしさ」や「心」を見つめなおすために。
■書評
わたしはこの詩が好きだ。
『私と小鳥と鈴と』
私が両手を広げても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(ぢべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴はわたしのように、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
この詩を初めて読んだその時、たしか私は、
自分と誰かを比べてなんて私はちっぽけなんだ−、
と悩んでいたようにおもう。具体的なことは忘
れてしまったけれど。
ものすごく、いいんである。この詩。
小鳥だとか、鈴だとか、ちいさなことを歌ってい
るのだけれど、愛すべきというか、なんだか「これ
でいいんだ。大丈夫。」だと、否応無しに思えた。
普段の生活のなかで、愛すべきくだらないこと、
だけどとても宝物であるひとつひとつのコト、モノ。
こういうものを掘りだしていけたらなー。きっと、
すばらしいのだろうと思うし、やっていこうとおもう。
そんな気持ちを引き出してくれた一書であった。
紙の本スカートの中の秘密の生活
2002/07/15 17:19
赤裸々な女子の生態を覗き見すること。なんてスリリング!
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■なかみ
◎「女は命がけでHする」やら、「みんな妄想をもとうぜ」やら、目次を聞いただけで読みたくなる。繊細なようでいて、実は意外にたくましい図太さをもっている女の本能っていうものがよく描かれている。
■書評
◎田口ランディさんの本をなぜか手にとってしまう。
なぜ、なぜ、なぜ?
◎「面白いから。」と言ってしまえばそれまでなのだけれど、何かある気がするのです。それは、なんなのだろうか…。
◎その「何か」のひとつとして考えられるのは、彼女が扱っているモノが、すごく、自分の心のレベルに近いところにあるテーマであるということ。「心のレベルに近い」というのは、その時に自分が興味あること、感じていること、知りたいことの心情レベルに近いというか、そんなかんじのモノ。
◎興味あることというのは、たいがい「ひとの心のなか。」のような気がする。人は、どんなことを考えているのだろうか。知りたい、知りたい、を満足させてくれるモノが読みたい。 彼女の本の中には、知りたいことがたくさん書いてあるから読みたくなるのだと思う。
◎いろいろな人との出会いから、彼女なりに汲み取り、分析された真実。ほんとうに、ランディさんにはいろいろ知り合いがいて、びっくりする。それこそ、たまたま街で知り合って、朝まで飲む。そんな出会いが、彼女にはごろごろある。
彼女の本を読むと、自分が外に出て、いろいろなモノに遭遇して、様々な人としゃべって面白い経験を積みたくなる。じぶんも、それを実行していこうと思う。