natsu-matsuriさんのレビュー一覧
投稿者:natsu-matsuri
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ぶっせん 1 (ワイドKCモーニング)
2003/01/25 06:11
仏教専門学園、ぶっせん!!
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つぶれかけの貧乏寺、仏物専寺が打ち出した策はなんと寺を学校にすることだった。個性豊かな8人の生徒に、寺の復興を画策する運信が教鞭をとり、仏物寺に住み着いている山伏の丸慶が体育(荒行)を教える。仏物専寺を潰しをもくろむ金々腹寺まで出てきて、愛あり、陰謀あり、トンチありの一風変わった青春学園コミックス。
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この漫画において秀逸なのは、なんといっても「オチ」である。一話一話のまとまりの中でストーリーは実にスムーズに展開され、そして見事にオチる。オチは、多様化する現在の漫画において、必然ではないのかもしれない。けれど、やはり読後感を左右し、作品にまとまりをもたせるのもまたオチであることは否めないだろう。何やら説教臭いオチ、感動感涙でまとめるオチ、それぞれ立派なオチではあるのだが、この『ぶっせん』のオチは、笑い。一番高度なオチである。にも関わらずそれが毎話毎話、あまりに良質なのだ。また、優等生的・模範的なストーリー運びは読み易く、広い読者層を捕らえ、一般受けする作品となっている。
絵に関していうと、雄雄しい筆致で描かれた人物がなんといっても魅力的だ。鎌倉時代の彫刻を思わせる筋肉質な肉体が、絶妙な角度から絶妙な構図で描かれ、更に墨字で書かれた効果音も相まって、迫力に満ちたコマを作っている(因みに作者・三宅乱丈は女性だそうだが、私はインテリな中年男性を想像していたので意外でした)。次に、背景のマメさにも注目してもらいたい。たとえば、レオが森で小動物を捕まえていたり、城が三条のシースルーに慌てていたり、台詞の無い背景においても雄弁にキャラクターが表現されている。作者のこういうイタズラを探すのも、けっこう面白いものである。
最後に、カバーに関して。映画の予告版みたいなノリでかっこいいのですが、初めて読む際はネタバレに注意してください。
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