KCさんのレビュー一覧
投稿者:KC
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Fine days 恋愛小説
2003/04/04 02:57
前に進む力をくれる一冊。
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デビュー作『MISSING』以来、本多孝好さんの作品は、その繊細で端正な文章とともに、時間とともに取り返しがつかなくなるもの、失われてしまうものがある、という現実を一種冷酷なまでに突きつけます。しかし、それでも読後感はあくまで心地良いのは何故でしょうか。
本書は、恋愛にまつわる物語を集めた短編集ですが、登場人物たちは、大人になることで、或いは今居る位置から一歩踏み出すことで何かを確実に失ったり、リスクを背負うことになったりします。
しかし、彼らは、失われたものや過去への想いを胸に、様々な不安に怯えつつも今を懸命に生き、前に踏み出そうとします。
そんな主人公達の姿が、何かを失うことの怖さよりも、前に進むことの大切さを決して押し付けがましくなく、清々しく思い知らせてくれるのです。まさにこの点が、本多作品の「心地良さ」の源なのだと思います。
そして、そんな彼らの姿を目にし、本を閉じたときには、大人になることが、或いは今居る位置から一歩踏み出すことが、なんだか怖くなくなっている筈です。
「癒し」などという薄っぺらな言葉で片付けたくはない、前を向いて進んでいく力をくれる一冊です。
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