etreさんのレビュー一覧
投稿者:etre
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2003/12/28 23:29
ありそうでなかった
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岡本太郎の人気に便乗した本は多いが、これはすごく真っ当な本。太郎の社会学・民俗学・哲学の思想的文脈や、そこから「沖縄文化論」など日本論を展開することの意味、あるいは漫画のような絵画の出自など、断片的にしか書かれなかったことが、はじめて総合的に分析されている。岡本太郎については、いろんなイメージが散乱しているが、まず正確な全体像を掴むために最初に手に取るべき一冊になっている。
コジェーブの「日本的スノビズム」など、現代思想的にアクチュアルな論点と岡本太郎が関わっていることがよくわかるし(太郎はコジェーブの講義を受けていた)、いまや国際敵文化人となった北野武=ビートたけしが、そもそも岡本太郎を芸術家/芸能人の臨界で消費していたことの指摘が切れ味鋭い。
あと太郎の絵を、赤塚不二夫とピカソのキュビズムを媒介にして挑戦的に説き明かそうとしているのも刺激的。
いつかだれかが書くとは思っていましたが、やはり「日本ゼロ年」、「日本・現代・美術」の椹木氏でした。岡本太郎のアクチュアリティを最大限に引き出してます。タイトルが分かりにくいが、手にとって納得。
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