こうたろうさんのレビュー一覧
投稿者:こうたろう
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二十億光年の孤独 詩集
2003/07/21 18:26
谷川俊太郎が宮沢賢治だったころ
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何度そらを見上げたのだろうか。東京の空からこのような言葉たちが降りてきたとは信じがたい。でも『二十億光年の孤独』は、たしかにそこにある。青年だった1人の男は、はるか宇宙へと昇り、そこからこの世界を見透かした。
思うにそのとき青年は、宮沢賢治だった。「ネリリ」し「キルル」し「ハララ」したのは青年だったが、そうさせたのは宮沢賢治だった。
しかし詩を書いたとき青年は、谷川俊太郎以外の何ものでもなくなった。彼は「思わずくしゃみを」した。
谷川俊太郎が宮沢賢治だった。そんなことがわかるのは、この処女詩集をおいてほかにはない。
ひとはなぜ服を着るのか
2003/07/21 18:09
わたしは個(ひとり)か?
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自分のことを考えることが、他人のことを考えることにつながる。著者の作品群を読むことは、世界のことを考えるひとつの態度として、たぶん私以外の人にも必要なんじゃないかなぁ?
「じぶん」とか「自己」とかいうとすぐに、自意識過剰な暗いヤツだぜと、私は思っちゃいます。「サルトルの実存主義が云々」なんて言われても、正直しんどい。
でも「じぶん」って、何? ココロ? それって本当にあるの? 見たことないのに? 身体? 風呂に入ってない人は、存在自体がすべて汚いの?
『じぶん〜この不思議な存在〜』や他の著書に代表されるように、著者の態度は一貫して「じぶん」を問い続けます。服のポケットに手を突っ込まれて不快になるのはなぜ? 《顔》という,自分では見ることの出来ないモノが他人にとっての《じぶん》だとしたら、《じぶん》とは何か? …etc。
自分に問う哲学のような形式でありながら、私たちに問い掛けてくる著者のことば。
私たちは、本当にひとりか?
はるかな国からやってきた
2003/07/21 17:37
いつもそこに、詩が。
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詩って、つまりはことばなんですよね。現代詩文庫シリーズに代表される詩のカタチに慣れてしまった私は、書かれた文字の羅列としての一面でしか、詩のことを知らなかった。
口に出したっていいじゃん。っていうか出そうよ。そんなメッセージが伝わってくる谷川俊太郎さんの詩を読むと、知らず知らずの内にいつも「申し訳ない!」と反省してました。
『はるかな国からやってきた』。いいトコ取りの詩集ですよね。こんなにもいい詩編ばかり集められちゃったら、収集家としては口惜しい思いにさせられます。
詩というものは、読んだり書いたりするだけじゃなく、口に出していい。だからこそこの、ポケットにスッとしのばせておけるようなサイズの詩集は、それだけで、《詩》という行為のひとつのカタチなのではないでしょうか。
お昼休みにサッとポケットから取り出し、謳う。幸せで、思わず涙が出ます。
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