休日の手帖さんのレビュー一覧
投稿者:休日の手帖
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
ライトニング
2003/06/17 15:48
未来は変えられる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
《ジャンルを超えた傑作スーパー・スリラー》(カバーの解説)。
確かに最後までハラハラドキドキ、超弩級のジェットコースター・ストーリーであり、少なくとも後半に入れば「巻を措く」ことなどまったく不可能になります。もちろんスリラーとしての色合いが一番濃いのでしょうが、同時にSFであり、シンデレラ・ストーリーであり、家族の絆を求める物語であり、女性の友情物語であり、一部はアメリカ文化論、歴史解説書としても読めます。私自身は、時空を超えて堪え忍ぶ愛の物語の部分に心ひかれました。他の作品を読んでいないので何ともいえませんが、クーンツさん、思いのほかロマンチストのようです。
とはいうものの、そのロマンチシズム一番奥に隠し持たれているもので、外側に現れてきているものは、過去は変えられないが未来は変えられることを信じ、執拗に構想の復元をくわだてる運命に立ち向かい、それにうち克つ強い意志と果敢な行動です。思わず「かっこいい」「がんばれよ」と声をかけたくなります。
落ち着いて考えればつじつまの合わないところもあるでしょうし、そもそも自分が愛する人であっても、そしてその人を幸福にするためであっても、あらかじめ定められたその人の運命を変えてしまってよいのだろうかなどという倫理的な(?)疑問も浮かび上がってきますが、しょせんそんなことはささいなこと、しばし現実を忘れ、ただひたすらこの作品の迫力と魅力に身をゆだねればよいと思います。
成果主義は怖くない 「仕事人生」を幸せにするキャリア創造
2002/10/07 22:05
「成果主義」時代に生きる者への貴重なアドバイス
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『成果主義は怖くない』−このタイトルが成果主義が今一般的にどのような文脈で語られているかを示している。成果主義は怖い、能力主義・成果主義の浸透、リストラによって(多くの場合、これらは一緒くたに語られる)、サラリーマン、特に中高年サラリーマンのストレスが増大している、ひいては中高年男性の自殺の増加の一つの原因になっている、というような言われ方である。副題(「仕事人生」を幸せにするキャリア創造)に「幸せ」を入れなければいけなかったゆえんであり、たとえ副題に「創造」を入れたとしても、タイトルをネガティブ表現にしなければいけなかったところで、著者はすでに受身になってしまっている。
日本の《知識産業の生産性の低さは危機的状況》にあり、成果主義をとりいれなければ日本の企業は滅びるという著者の状況認識は切実でありたぶん正しいだろう。あなたは今まで年功序列体制の中で働いて本当に幸せでしたかという著者の問いかけにも重みがある。それなのに、一方的に「成果主義は怖い」と思われ、導入された時は必ずといっていいほどゆがみを生じている。英語では “Happy Career Under High Performance Pressure”と言えるのに、日本語のタイトルでは『成果主義は怖くない』にせざるをえない現実、著者の焦りは悲鳴に近くなっているように感じられる。
著者の最後のよりどころは読者。悪しき成果主義に振り回されないで、自分自身のキャリアをそれこそ自立的に構築していくことを期待している。そのための処方箋は、《生活の損益分岐点を下げ、報酬の制約条件を少なくする》《“青い鳥”は自分のまわりで見つける》など。生活を質素なものにし、高望みせずもう一度自分の近くを見回そう、ほら幸せがあるではないか、時には幸運がまいこんでくるかもしれない。きわめて有効な解毒剤であり、貴重なアドバイス、温かい励ましといえる。著者は今一歩で、《「仕事人生」を幸せにする》から「人生を幸せにする」に進むことができる。
現在の日本を覆う閉塞感、そしてその中で何が大切かを考えるのに格好の書。
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
