rutsuさんのレビュー一覧
投稿者:rutsu
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光あるうちに 改版
2002/11/07 15:08
まだ足跡のない道。
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
クリスチャンの作家、故・三浦綾子氏による信仰入門書。キリスト教という枠を超えて、人生で大切にすべきものは何かという問いに指標を与えてくれる一冊です。
三浦氏は、若い頃、敗戦や病によって、生きることに意味を見出せない虚無的な生活をしていたそうです。当時は大のキリスト教ぎらいで、「死んでもクリスチャンにはならない」 と、豪語していたとのこと。そういう経歴をもつ著者ゆえに、キリスト教なんて自分には関係ないと思っている読者にも、同じ目線になって語りかけてくれます。
たとえば、人間の聴覚や視覚のおよぶ範囲がいかに限られたものであるかを、超音波や細菌などの分かりやすい例をあげて語り、人間の知り得ない世界が数多くあること、傲慢になってはいけないことをおしえてくれます(30年以上前に書かれた本ですが、現代のクローンや遺伝子操作の問題とも重なるようです)。
また、分かりにくい印象のあるキリスト教で言う「罪」については、
〈「神のほうを見ない」これが原罪なのだ。神を見ない、神を見たくない生き方、この姿勢を持って以来、人類はあるべき所から外れてしまったというが、自己中心は人間にとって正に根本問題なのだ。〉
と書かれています。他人の迷惑を顧みないふるまいが問題になっている昨今、本当の「正しさ」について考えさせられます。
妬み、エゴイズム、虚無など、描かれている人間の姿はひとつひとつ身につまされますが、本書によって自分の本当の姿をしっかりと見つめた時、目の前に新しい道がひらかれていることに気付くのではないでしょうか。
〈今までの生活が、どんなに疲れきった、あるいは人に言えない恥ずかしい生活であっても、または言いがたいほど苦しく悲しい毎日であったにしても、今、あなたの前に、まだあなたの足跡が一つも印されていない純白の布のような道があるのです。〉(終章より)
希望を失っている人、今の生き方を変えてみたいと思っている人に、手に取っていただきたい本です。
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