LYUTAさんのレビュー一覧
投稿者:LYUTA
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紙の本草迷宮
2005/04/13 14:45
美しい日本語の極地
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寺山修司が映画化したことでもマニアには知られる、泉鏡花の名作中の名作。「そうめいきゅう」ではなく「くさめいきゅう」と読む。
耳に残る、幼き日に母が歌った手鞠唄の文句を求めて彷徨う青年が辿りついたのは、妖怪に護られた美女の棲む荒屋敷。
時間・空間が織り重なり、幻想文学の元祖とも言える鏡花独特の迷宮世界が顕現する。
物語りの妖しく奥深い世界もあまりに独特で素晴らしいのだが、漢字の美しさと日本語に固有のリズム、つまり日本語本来の美しさの極みに達しているという点でも、泉鏡花こそ日本文学の頂点に立つ作家だと言っても過言ではない。音読すると、良さがよく分かる。
漢字文化が急速に失われつつある今の時代に読み継がれるべき、文化の指標のひとつとして、推薦したい。
2002/10/22 13:14
耽美再考
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「あゝ亡びゆくものよ。自分は愛惜という情なくしては亡びゆくものを思う事が出来ない」。
と、自ら亡びゆくことを願うように破滅的な退廃を愛した山崎俊夫は、大正から昭和にかけて活躍し、そして文壇から忘れ去られた。過剰なまでのデカダンスの香りは日本文学の中で突出した異彩を放つ。花々の匂うが如くに薫り漂う耽美と倒錯の華。文学の極限をこの才能に見るような気がする。
紙の本周恩来と池田大作
2002/10/22 13:23
対話が拓く世界平和
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マスコミが報道して来なかった歴史がある。
そのひとつが本書に記されている。
日中国交正常化交渉の際、なぜ周恩来は窓口として公明党を選んだのか、当時は最大の謎とされていた。本書に描かれる周恩来と池田大作の「民衆の指導者」としての深い信頼関係が、その背後にあったのだ。一個の人間としてふたりの指導者がどれほど民衆を愛し、民衆の幸福のために身を削って闘ったかが、本書を通じて理解できる。
人間と人間との信頼が国家の壁を超えて、世界を変えたのである。
対話によってこそ平和は実現されるということを、この書はわれわれに教えてくれる。日中国交正常化30周年を迎えた今の、必読書だ。
2002/10/22 13:03
忘れ去らないで!
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多くのすぐれた作家や作品が、時代の流れから溢れるようにこぼれて行き、忘れ去られて行く。悲しいことだが、そのひとりが戦前の流行作家、龍胆寺雄だ。
龍胆寺の日本語は飾らずに自然で、美しい。
登場人物は世間の掟に縛られないありのままの自由な人間ばかり。心はまっすぐだ。
大正浪漫の名残を感じさせる昭和初期の先端を歩んだ龍胆寺の作品を、今の若者に読んで欲しい。そして「日常」を見つめなおして欲しいと思う。
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