みらいさんのレビュー一覧
投稿者:みらい
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本黒い瞳
2002/10/23 22:35
強さと優しさを兼ね備えた女性、マリーナがとても魅力的です。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
差別や恐怖政治がおこなわれたソヴィエトで、ひとりの女性がつらい目にあいながらも、強く生きてゆくお話です。主人公マリーナは歌手にありたいと思いながらも、夢がかなわず貧しく不幸な生活をおくります。また、ユダヤ系というだけで、差別を受け父親は強制収容所に送られます。それでも、マリーナは何とか自分を失わずに強く生きていきます。その姿はまさしく「強い女性」で、読んでてこんな女性になりたいと何度も思いました。
強い女性なだけに、気の強い一面が前に出過ぎるような場面もありますが、恋人や周囲のひとびとから愛情をもらううちに、マリーナも他人に対する優しさや寛容さを身につけるようになります。第六部の最後の場面で見せるマリーナの優しさは涙を誘います。
作品のなかでも、恋人のヴォロトケーヴィチがマリーナに教えた「神は苦しみとともに、それに耐える力も与えてくださる」という言葉がとても印象に残りました。マリーナの生き方を見ていると、まさにぴったりの言葉です。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |