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高橋波子さんのレビュー一覧

投稿者:高橋波子

23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本四〇歳からの勉強法

2005/12/17 17:17

時間の下に人は平等

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

六〇歳を人生の放物線のピークに、と学んでいるそのまんま東さんに私は共感している。したがって前向きである。遅すぎるという言い訳もない。サラリーマンだが、出世などの上昇志向もなければ、ひがみもねたみもない。加島祥造に老子の思想を教わったせいもある。考課制度で給料が下がったとぼやく同年代の同僚に、これ以上給料が上がっても税金に取られるだけだよと、慰めてみたりもする。そして来年か再来年は大学院へ行って研究をしたいな、税務関係の、などとおもっている。だから自分なりに時間管理などについては確立した考えを持って生活しているつもりだ。それでも勉強術の本をみると立ち読んだり、買ったりしてしまう。この本は本屋で衝動買いだ。ほぼ同世代の著者は総合商社勤務であるから、よもや中学英語事典などを手元において40歳以降学習したとはおもえないが、推薦している。新聞雑誌との付き合い方は、月刊文春の切り抜き読みが効果的としているがこれは事実で、特集記事ひとつが雑誌一冊の値段としても1、000円以下だから、それほど高いわけではないだろう。下手なセミナーに参加するのに比べてもいい。さて時間は誰の下にも平等に24時間が与えられているが、それを自由に使える人とそうでない人がいるので、一概に著者のいうとおりにはならないが、酒が好きならやめる必要もなく、さっさと飲んで寝ちゃってその代わり朝は早く起きるというのは、こと時間に関してはこれ以外のうまい方法はないのだろうなと私もおもい、安心したところである。

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紙の本

年齢は宝物

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この雑誌を読むと老けるなとリリー・フランキーはおもったという。ベクトルは若さには向かわないけれど、現在年齢を磨いて光らせる働きがあるようだ。例えば新たな出会いの一つであるメイ・サートンが「私から年齢を奪わないでください。働いてようやく手に入れたのですから」と語る。68歳を過ぎて自転車乗りを始めた伊藤礼。私は現在57歳だけど、若造の可能性を大きく自覚させてくれた。何もわからないで生きるのは嫌だと言ったのはアンパンマンだったなとおもうのである。

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紙の本

紙の本花の歳月

2004/06/12 23:02

初恋のちから

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

小説との出会いはいつも偶然である。

花の歳月の広国(こうこく)は、6歳年上の姉の猗房(きぼう)が、住んでる村の有力者の推薦により、国王の后候補として家を出発したその日、人攫いの手によって連れ去られ、奴隷として売られた。一方姉の猗房(きぼう)は、何人かの候補を破り后となった。后の弟であることがわかった広国は、奴隷から国の貴族へと変身した。

広国がラストシーンで再会する藺(りん)は、奴隷として働いたときの仲間であり、初恋の人である。司馬遷は『史記』に姉と弟の感動的な再会を、「待御左右、皆、地に伏して泣き、皇后の悲哀を助く。」と書いたが、私は「花の歳月」ではラストシーンに泣いた。

老子の思想よりも私は初恋の思いの強さを感じ、思いを忘れないでいる人の強さと弱さを逆に感じたりしたのである。

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紙の本

紙の本月の満ち欠け

2017/08/04 11:20

螺旋階段の踊り場で

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ごくごく平凡な男が平凡な生活の中でときおり垣間見る不自然現象は人間の心の奥底に広がる草むらのような山林のような場所を歩く中で体験したり感じたりするものであろう。一つ一つを全身で受け止めることもせずに、仕事やそれがらみの野暮にかまけて家族を受け流すこともしばしばで、それが取り返しのつかないことになったりもする。そうして人は老いていくのだろう。楽しみも悲しみも繰り返し訪れ、中島みゆきが歌う時代のように笑って話せる日はなかなか来ないものである。僕がこの「月の満ち欠け」を支持する理由はやはり愛の物語だからだろう。主人公の小山内堅(つよし)と妻の梢のラブストリーが全編を結果的に支えており、小山内の娘である瑠璃の既視感のような現実をそれぞれのるりと哲彦(あきひこ)が螺旋階段を登ったり降りたりする。いくつかの踊り場で一息つく余裕がそこに与えられていて、例えば僕は涙する。いい小説を読ませてもらったと、閉じた本に頬ずりするのである。

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紙の本

紙の本日本の歴史をよみなおす

2004/06/13 12:29

日記帳を読み直そう

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

+★(←120点ということです)
今年の2月になくなった網野喜彦が書いた本である。日本史を考える上で、14世紀が大きな転換期になるという視点から、わかりやすい文章で解説や問題提起をしたりしている。BK1によると利用対象は中学生とあるが、多分歴史を専攻する大学生にも有用だろう。

文字の社会における役割を述べ、明治になって急にカタカナ混じり文が増えたことに言及し、明治国家の本質に触れる問題があるのではないかと問題を投げかけている。それを考えるだけでも年号を覚えるより勉強になる。あの商法の読みづらいしかしすべてが誤り無く包括されているカナ混じり文をすぐに思い出した。

また、様々な差別やエタ、非人、乞食について紹介している。つい最近小学生の女児が同級生を殺す事件があった。これは現代における特徴的な事件ではなく、おそらく古くから繰り返された事件だろう。そして事件を犯した子供やその親はどんな時代でもこれまでどおりの生活はできないわけで、村八分的な扱いを受け、もしかしたら逃げ出し、新しい生活の場所を探し出そうとするが、どこの地域でもよそ者を気前良く受け入れるはずも無いから、そこで彼らは人として生活することをあきらめてしまう、というようなことがあり、ひとつの差別ができて、被差別人種が新しくできてしまうのだろうと私は思う。

最後は天皇についてだが、これはあまりにもナーバスな問題だ。日本が国家として立ち続けるためには避けられないところがあって、刺激的なのは「日本人の意思によって、天皇が消える条件は、そう遠からず生まれるといってよい」とあるところだ。歴史は人類の日記帳である。事実の積み重ねの集大成なのである。その事実を史実というが、創作や捏造も交じって不可解なところもある。それでも創作と創作の間に脈が無ければ創作だし、史実と創作の間に関係性が見つかれば、事実はどこかに隠れているわけなのである。創作も事実だと仮説を証明できないまま天皇制は存続している。第9条よりも大きな問題なのかもしれない。


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紙の本

紙の本泥棒国家の完成

2004/05/02 20:39

ソクラテスの悲劇

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

われわれはどこへ向かって進んでいるのか。もとい、ビジョンとは何か。基準はどこに置くのか。企業か、団体か、地域か、国か、地球か。グローバル化が叫ばれて久しいこの現代社会において、競争相手は誰なのかを考えてみると、なんだか悲しくなってくる。

悲しくなってくる理由は、泥棒国家に住んでいることをこの著者に決め付けられてぐうの音もでないからだ。

それはさておき、この本を読むと、さすがに選挙には行きたくなる。あるいは、あらためて、世の中で行われていることを噛みしめることができる。たとえば、国民年金保険料を政治家が払わない。なぜかといえば、議員年金という効率のいい年金が税金で支払われるからということなどが晒される。

ルールは強いものの都合の良いように作られる。そして弱者はそのルールにしたがうことで、弱者なりのスタンダードライフが過ごせるというのは、紀元前に哲学者が生まれたときからの普遍的なものだ。気がつかない振りをして、階段を上り、階下をながめてみる。そこからはいろんなことが見える。見えた人はたいてい強者となり、都合のいいルールを作る準備を始めるのだろう。

私たちはせめて学問を武器に、考えることをもう一度学び、矜持を持ってそこ、ここに立つことをいよいよ決断するべきときに来ているのではないだろうか。

最後に、この本の四重表記は気に入った。というか便利な表記でありがたい。

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紙の本

紙の本日本国憲法

2004/04/24 11:18

たったひとつの武器

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

福岡地裁が小泉首相の靖国参拝を憲法違反とした。

昨年暮れ12月9日、彼は、記者会見で日本国憲法前文の一説を読み上げた。憲法全文中最も重要な前段の文章20行400字を故意に省いてである。そしてそれを自衛隊のイラク派兵の正当性を訴える論拠とした。憲法違反者が国民に対して憲法をよく読めというのである。もしかしたら戦後史上国民にとっては最も屈辱的なときではないだろうか。

福岡地裁の判決に、彼はなぜ違反なのかわからないとコメントした。司法、立法、行政の三権分立さえもかれはわからないというのであろうか。

読めというなら、読もうじゃないか憲法ということで、最適な憲法は本書であろう。当時写楽編集部にいた小学館の島本修二さんが作ったビジュアルな憲法である。ポイントを大きくして読みやすい文字、戦後の日本の平和な風景などを散りばめて、世界を想像させるような作りになっている。一家に一冊この本は必須だろう。税金を使ってでも、国として配布すべきだ。われわれ日本人にとってたった一つの武器がこの憲法なのだから。

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紙の本

紙の本読書からはじまる

2004/04/04 21:46

言葉の宝箱そして矜持

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

電子書籍の登場でわれわれの読書はどうなるだろう。

私は本に書き込みをする。統一性を持たせようとしたこともあるが、今では気分でなんでも書く。辞書で調べた言葉の意味なども書いてしまう。これらは、ハードが紙だから気軽にできるが、電子媒体ならどこまでが本体で、どこまでが書き込みかを後で見たときに分からないから、多分困る。マーカーでだらしなく線を引くこともある。これは電子の得意とするところだろう。修正も簡単だ。ページを引用するときは、書き写すしかないが、電子ならコピーアンドペーストという便利な手法が使える。

紙の本と電子の本といづれ選択を余儀なくされたらどうしよう。

そんなことを考えていたら、本棚に2年前の正月に買った本書の背表紙が目に留まり再び手にとってみた。

長田は最後に言うのである。
自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが読書です。

この本の裏表紙に私の書き込みがある。この本を買った店のことを書いてある。
「銀座の伊東屋の帰り、教文館書店に寄ってこの本を入れた。長田弘というと、みすず書房と返ってくる店員の質の高さが見事だった。近頃こんな本屋は少ない。カラフルで厚手の丈夫そうなカバーも装着するのが当然とばかりに丁寧につけてくれた。・・・、ただしこの本はNHK出版のもの。」

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紙の本

綱渡りの日々の武器

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

無償で得たコピー機を減価償却資産にするというから、「ほんとに?」と主任部員に聞き返した。「ただでもそうしなければならないのです」と彼は言う。
数ヶ月前に、主に経費支出の管理をする部門から、予算決算納税などを所管する部門に移ってひやひやの毎日を過ごしている。国税、税理士法人、法人税、資本的支出などの単語が自然に飛び交い、それでも平然と座っている私だが、心強い味方が本書だ。仕訳例もわかりやすいし、法人税の知識でフォローしてくれる。あいまいな改良と修繕のフローチャートもありがたい。
ただし役職柄職場で堂々と開きにくいので、かばんに入れとくかポケットに入れてトイレで見るとかしたいので、コンパクト版だともっとありがたい。
無償で得たコピー機については本書により、残存価格を確認し、できれば経費処理したいという私なりの結論がでたことを報告します。

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紙の本

桜は必ず咲く、そして散る、ならば・・・

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ニートになりかけの高校生(あるいは中学生)がこの本を読んで、あたりまえの受験テクニックを知って、受験に挑み、そして東大でなくても明大あたりに入って就職部の援護を得て、とりあえず正社(せいしゃ)にでもなったら、いいんじゃない、とそうおもった。勇気をくれる漫画だとおもうな。続きが楽しみだし・・・。
五人のニートが通う東京立川市の特定非営利活動法人の「育て上げ」ネットの石山事務局長はこういってるよ。
「若者たちは自信さえ持てれば、働きたいと考えている」
二人の高校生が一人の教師を得て、ニートへ続く道から正社員(とりあえず)の道へと軌道修正を図る衝撃的なドラマといえる。ニートに象徴される若年層の非正社員化は、中高年の雇用を守る日本の社会制度の対極にあり、それは彼らの通う高校の教師たちに代表させて興味深い。

漫画のようにやって東大理科に入れるかどうかは別として、東大に入るような学生の大部分は、受験テクニックとして多かれ少なかれ同様の指導と考えを持っているのだろう。まあ、これは東大に限らないけれど・・・。

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紙の本

紙の本一日一文 英知のことば

2004/02/14 11:33

367人の精神と文章

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「一体この強国が、多くの理由でわれわれに素晴らしい思い出を残してくれたあの同じアメリカ合衆国なのだろうか。これが寛大なマーシャルプランを恵んでくれた寄贈者、民主主義という教科を気長に教えてくれた先生、自己自身にとらわれずに批判するものであったあの同じアメリカなのだろうか」ドイツの作家ギュンター・グラスがブッシュの戦争に寄せたコメントである。これを読んだとき、共感を覚えたものの、ギュンター・グラスについての知識はなく、それを調べることもなかった。再会は、本書である木田元の「一日一文」によってもたらされた。1927年10月16日生まれのグラスは、10月16日の一文に登場している。
1月7日岡本太郎が面白い。サルトルに「あなたの説には共感するが、びっしり息もつまるほど組み込まれた活字のボリュームを読んでいる間、いったい人は実存しているのだろうか」と言ったというのである。
なるほど…。
たまたま枝折紐がはさまっていた7月11日のハイゼンベルク。「悪の戦いに許されない手段も、善のためにはすべて許されるという原則を適用してもよいのだろうか?」
いいわけないだろうブッシュ…。
「一日一文」は日めくりカレンダーのように、一日毎に作家あるいは思想家などの文章を暦年で並べている。登場する一日は、誕生日だったり、命日だったりで、おそらく定義はないようだ。掲載される文章の選定は木田の独断と偏見である。並べる前のこの膨大な作業はおそらく木田の教養のさせる技であろう。読者としてはその教養にまず敬意を表し、しかしだからといって一日一文というわけにも行かないので一通り目を通す。心に染み入ったり、反発したり、それでどうしたのだったり、理解できなかったり、意味さえわからないものがあったりする。すると改めてその教養の質に驚き、自分自身と見比べて唖然としてしまうのである。
そういうわけでいったん本を閉じ、ふたたび表紙を眺め、おもむろにページをめくってみる。そして一日一日そしていたるところで木田の教養あるいは366人の精神と文章に向き合ってみようと誓ってみたのである。

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紙の本

紙の本すき好きノート

2015/09/01 15:51

一番好きな人は誰ですか

3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

メイサートンは自分から年齢を奪わないでほしいと懇願した。誰に頼んだのかは知らないが、おそらく自分自身に対してのオマージュのようなものなんだろうとおもう。さて一番好きな年齢はと聞かれたら、僕は21歳と答えるだろう。僕は22歳で結婚した。まだその時は大学生だった。21歳の僕は単位を修了するため、就職するために過激に勉強に励んでいた。そういう目標に邁進していた頃の自分がたまらない。だけどそれなのに一番好きな人はという問いには谷川さんと同様保留ということにしてしまいます。

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紙の本

紙の本常用字解

2004/02/01 20:46

シービスケットのように

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

四十五歳になってふと考えた。
私の会社員生活は残りを全うするとしてあと十五年である。十五年は時間として多いか少ないか。そのころに住宅ローンは返済を終え、運がよければ退職金が手に入り、厚生年金を受け取ることを期待するのだろう。
しかし会社の定年で人生は終わることはない。十歳の子供が夢を持ってそれに向かい、職業として起つのに、それは遅くとも三十歳のころには成就できる計算が成り立つだろう。すると私も学んで目標に向かおうという気持ちになった。
「字解」の白川静は苦学の人である。かれはこの本で、多くの優れた古典を持つ日本があるいは日本人が、古典の理解を失い受容の機会を狭められていることに対して、文化継承の点から危機意識を持っている。さらりと編集についてという前文を読めばその深刻さが伝わってくる。そして私も字解を手に入れ、あらためて漢字を学んでいる。
そして私ももう一回学問をがんばってみようと思った。学生時代に立てた仮説を自分なりに立証してみようと思う。実は今春から大学の三年生に編入して会計を学ぶ。この二年間の大学で学ぼうとしていることとは、関係は薄いが、学生時代にやりのこした学問と社会人生活を経てこれから吸収しようとする学問と合い和して、挑戦してみようと思うのである。
今日日曜日妻と二人でアメリカの映画「シービスケット」をみてきた。あきらめは禁物である。

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紙の本

紙の本きんぎょが にげた

2004/05/15 15:30

ほんとに逃げた!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

事実は絵本と同じように奇なりである。
金魚はほんとに逃げたのである。

ある日のこと、朝の通勤電車である。かばんの中の本を取り出そうと手を入れるとぬるっとした感触が気持ち悪く、さては昨晩飲み屋で粗相をしたのだっけと考えてみるが、そんなこともない。

思い切って中を見ると、そこに金魚がいる。

玄関に置いたままのかばんに、水槽を飛び跳ねた金魚が、飛び込んじゃったらしい。ぴくっと動く。生きてる。私の頭のなかは、水のあるところへ逃がしてやろうであり、どこにそれがあるのだろうであった。
下車駅が有楽町線の永田町駅だったので、お濠に逃がそうと決断した。長い駅の階段をエレ-ベーターで駆け上がり、タクシーを拾う。水のあるところへお願いします、なんて言ってしまう。運転手さんはびっくりしたらしい。交通量の多いお濠そばに停車してもらって、金魚を逃がしてタクシーにもどると、安堵した表情でよかったですね、わたしゃ何か自殺でもする人なのかと思っちゃいましたよ、と笑った。

金魚はほんとに逃げたのだった。小学生の娘はその金魚に鯉太郎という名前を付けてえさを与えていたが、幼い頃読んだ、見た絵本の不思議さを思い出したに違いない。週末この絵本を買って子供たちに読んであげた妻と読んでもらった4人のこどもたちが揃った家族の食卓で、何度もそのはなしをしてしまう私もこの本のファンだったのである。

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紙の本

現在史の渦の中で

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

みんなにこの本を読んでみたらどうだろうと勧めてみたい。なぜならここでしかわからない現在進行中の社会とそれを取り巻く渦の解説が見事にされているからである。

田中宇は新型の少し乾いたジャーナリストだろう。日本のメディアからは得られない情報をネットを駆使して、獲得し、読み込み、冷静に解説してくれる。こういった個人的なツールを得ると新聞だって、ニュースだって理解の度が広がったり、深まったりする。
ここには、日本のメディアが見逃してたり、気が付かない振りをしていたり、あるいは隠しているのか、あえて意識的に言及しないのかといった事柄も丁寧に話してくれている。日本のメディアは第一に商売だから、スポンサーを敵に回して事実を報道することはかなり難しい。スポンサーというのは、元をだどると国家だろう。そのもとは国民のはずだが、実際はアメリカである。

日本がイラク戦争の解を求めて自衛隊を派遣したのならいいけれど、アメリカの戦略の一環なわけである。フセインが倒れ、それでもイラクは闇の中にある。世界中の非難はおそらくアメリカに向けられてくるだろうが、その責任は、日本も応分に負担せざるを得ないのである。

アメリカという国を舞台に演出をしていた勢力が、アメリカという手をつかわないで存続を考えている、それでも何の支障もない。中国でもいいのだ。その現実の流れの中で日本という国が表面上のアメリカという国家だけを見て行動すれば、その答えは、本書を読めば少しわかるというものである。

さらに言えば、解を求めようと国家としてするなら、石原都知事のような独自でかつ自分の頭で考えたものでなければならないはずである。たとえば、パレスチナに北方領土を譲っちゃう、とか…。

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