玲音さんのレビュー一覧
投稿者:玲音
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そのときは彼によろしく
2004/12/07 22:56
…ふわっと、心が温かくなりました。
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15年前ゴミ山の中で出会った3人と1匹…。
彼らは『変わりモノ』と言われてしまう者たちでした。
水の中の世界を愛し、水辺の生き物に惚れ込んだ智史。
冬でもないのにアーミーコートを着込み、男っぽく振舞う花梨。
ぶかぶかの黒縁メガネをかけ、ゴミの絵を描き続ける佑司。
そして…『トラッシュ』と名づけられた犬。
この物語は、彼らの15年前を回想として書きながら、現在の智史を主として進んでいきます。
最初のうちは現在と回想の切りかわりについていけず、
『今はいつ?』と思うこともありました。しかし、読み進めていくと、なぜそのような書き方なのかの理由がわかります。半分くらいまで読むころには、その不思議な表現に『なるほど』と納得さえしていました。
なぜ彼らは離れてしまったのか?
一体、今どうしているのか?
そんな疑問を抱きながら、経ってしまった15年もの歳月。
その止まっていた彼らの関係と言う歯車が、
智史の元に現れた1人の女性、鈴音の影響で少しずつ動き出します。
『知ってる? 世界にはぼくらが知っていることの
100万倍もの知らないことがあるんだって』
そう言った佑司の言葉。
それが象徴するような、信じられない事実と共に…。
物語はゆっくりと進みます。
しかし、それにもかかわらず、会話の受け答えの面白さや智史を取り巻く人々の関わり合いに、ついついページをめくってしまいました。
15年も経てば人は変わります。いい意味でも悪い意味でも…。
そして、その年月の間に生まれた、たくさんの記憶や思い出は、心の中に残っているに違いありません。
目を閉じれば浮かんでくる懐かしい記憶や、優しい思い出たち…。
この物語を読みながら、そんな過去の世界に浸ってみるのも、
いいのではないでしょうか。
13カ月と13週と13日と満月の夜
2004/05/28 22:54
一番ひどい事は誰かの時間を盗む事。…だって時間は戻らないんだから。
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少し背が低く、そばかすで赤毛の少女カーリー。
彼女の身に起こる不思議な出来事の数々。
気づくといつの間にか、私は物語の中に惹き込まれていた。
『人を見かけで判断してはいけない。』
よく耳にするその言葉。
しかし、本当にその意味をを理解している人は、
この世の中にいったい何人いるというのだろうか…?
子供の体に大人の心。大人の体に子供の心。
ありえない事ではないはずなのに、
『そんなことあるはずがない』『馬鹿な話だ』
そう考えてしまう人が、今の世の中には多いのではないかと思う。
大人が子供じみたことをしたり、言ったりすると
『大人なんだから』と注意され、逆に子供が大人っぽいと
『子供の癖に』と言われてしまう…。
だけど…本当にそれでいいのだろうか?
人間なんて、元々みんな子供で…みんないつかは大人になる。
ただ、それが早いか遅いか、というだけなのに…。
…本当の自分を分かってもらえない『辛さ』や『もどかしさ』。
この物語からは、その思いがひしひしと伝わってくる。
読み終わった後も胸に残る、カーリーの言葉。
たくさんあるその言葉を羅列しようとまでは思わないが、
この本は、ずっと私の心に残るだろうと思った。
アナザヘヴン 下
2004/11/10 22:04
人間がいる限り「悪意」はなくならない。
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…ずっとドキドキが止まらなかった。
次々と予想を裏切る展開に引き込まれ、上下巻あるにもかかわらず、駆け抜けるように読んでしまった。
読み終わった瞬間に漏れたため息…。
それは内容の深さが身に染みたコトの証拠だった。
猟奇殺人事件の担当となった二人の刑事、飛鷹と早瀬を主役としてこの物語は進んでいく。人間を殺し、その脳を料理して食べる「マッドクック」彼らはそんな犯人を追う事となった。警察をあざ笑い、殺しを楽しむ…化け物としか言いようのない犯人を…。
自分の見たものしか信じない飛鷹。
見えない世界をも信じながら、社会にどこか馴染めない早瀬。
サスペンスを好み、精神世界の中にいる美冴。
柔らかな考えを持ちつつも、社会に疑問を抱くチカ。
現実にとらわれず、直感を信じ行動する朝子。
この物語には、彼らのようにまったく違った価値観を持つ人々が、衝突し、いがみ合いながらも、なんとか同じ世界に生きている。
…それは我々の生きるこの世界にも言えることではないだろうか。
「グロい」と言われてしまう表現が多く、読んでいる途中で目を背けたくなる人もいるだろう。しかしそこをグッとこらえ、最後まで読み進めて欲しい。この小説には恐怖があり、人間の醜さや、狂気がある。
しかし、その中には確かで深い「愛」と、すべてを包み込む深く壮大な「テーマ」があった。
読み終えてふと思うこと…。
それはきっと…自分たちの住む「この世界」の事であろう。
青空のむこう
2002/11/26 21:30
少年が見下ろした世界は…。
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自分を中心に考えていた少年が起こす、最後の“奇跡”…。
このお話の主人公であるハリーは、姉とケンカしたその日、交通事故で死んでしまいます。 ですが、それを認めたくない彼は、『あの世』で出会ったアーサーという少年と一緒に、自分のいた世界に行くことにしました。
ハリーは、『自分がいなくなって、みんなは悲しみに明け暮れているだろう』と考えていたのです。しかし、そこで彼が見たものは…。
ハリーの視点から書かれているので、彼の心情の移り変わってゆく様子が、よく伝わってきます。表紙にひかれてなんとなく買った本ですが、私の直感もなかなか捨てたものではなかったようです。
自分では、分かったような気になっている相手のココロ。
…実はまったく見えていなかったりするんですよね。
そんな当たり前のことを、この本を読んであらためて考えさせられました。
死んでしまったハリー。
しかし、彼はきっと『青空のむこう』にたどり着けるのではないでしょうか。
きっと、いつの日にか…。
クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子
2003/02/21 22:02
『ぼく』こといーちゃん=戯言遣いor詐欺師?!
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…人を殺す理由はあっても、
人を殺してはいけない理由などない。
ふとその文章を読んだ時、『なるほどその通りだ』と思った自分がいた。
そんなことに納得するな!という方もいるかもしれないが、
とどのつまりは、その『殺す理由』を持たなければ良い、というだけの話だ。
何せこのシリーズは堅苦しい言い回しが多い。
内容は単純…のはずなのだが、語り部である主人公が矛盾を並べ立て、
話をこんがらがらせていく。
…まぁ、そこがこの本の面白いところなのだから仕方ない…。
さて、第三弾となった今回は《首吊り高校》で起こる事件のお話。
外からは分かるはずもない、その学校の真実。
そこで起こった、理事長の密室殺人。
そして…普通という枠から外れた生徒たち。
この話を読めば、人は比べるものや人がいてはじめて、
善悪の区別がつくのだということを、改めて感じることができるだろう。
ただし、『可愛い絵だなぁ』と言う理由だけで読み始めた方は、表紙からは想像できもしない内容に、ビックリするかもしれないが…。
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