ジャンバラヤさんのレビュー一覧
投稿者:ジャンバラヤ
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新民法大系 5 事務管理・不当利得・不法行為
2002/12/07 01:10
著者の業績の集大成
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民法の研究者で著者の名を知らぬものは皆無であろう。それほど知られている学者である著者が自らの集大成として挑んだのが“新民法大系”シリーズである。今までは比較的研究書の位置付けを専門としていた著者が初めてその領域から脱し、学生の理解度も考慮して作成されたものである。そのため、加藤博士の著作には珍しく図が多用されており、理解の手助けに一役買っているのも本書の魅力の一つである。ただ、あくまで専門書なので一般の読者の手に負えないのは言うまでもないが、資格試験を目指そうとなさっておられる読者にもいささか高度である感も否めない。本書は加藤説の総整理であり、不当利得の分野における転用物訴権はまだ良いとしても、箱庭説を理解するのは至難の業であるからである。要するに、加藤説は時代を先取りしすぎており、周知されるまでに多くの歳月を要するということである。現に、有名な転用物訴権論は加藤博士が提唱されてのち、最高裁の判例となるまで実に20年の歳月を要している。加藤説の魅力を既にご存知の方と興味を引かれた方にぜひお勧めしたい名著である。このシリーズが50年先、100年先も読み継がれていくのは間違いないのであるから…。
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