神田めろんさんのレビュー一覧
投稿者:神田めろん
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紙の本沈黙博物館
2004/09/12 16:09
沈黙博物館
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形見を展示する博物館の「技師」の物語。
博物館の仕事に誇りをもっている主人公に好感がもて、個性爆発の老婆も、ちょっと可愛い。小さな村では穏やかに時間が過ぎているように見えたのだが、殺人事件や爆発事件が起き、「技師」は「死」と向き合わざるを得なくなる。形見を収集するために、葬式や住んでいたアパートを訪れる「技師」は「生」を感じながら、「死」を知っていく。
やがて「技師」が住んでいるのが「生」の世界なのか、「死」の世界なのかわからなくなるほど、「この世」と「あの世」の境界がぼんやりしてくる。
柔らかな「小川ワールド」に、いつのまにか引っ張り込まれていた。とても重いテーマだが、読んでいて苦しくならないのは、著者のふんわりした文章と、個性的な登場人物のせいかもしれない。優しく、作品の世界に導かれている感じが心地良かった。
本を読み終わった後には、自分が生きた「証」を「技師」が収集しに来てくれることを願っていた。
紙の本サッカーの国際政治学
2004/09/15 16:03
サッカーの国際政治学
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現役の日本人FIFA理事が、今まで携わってきたJリーグ設立や、日韓共同開催のW杯の裏側を明かした「サッカーの歴史書」。
裏では様々な交渉、取り引きが行われていたことを、「大丈夫なの?」とこっちが心配するほど率直に書いている。こういうことは、テレビや新聞は決して教えてくれない。だからこそ、こういう本は必要。
サッカーが特別好きでなくても、充分楽しめそうなのは、ここで書かれているのはどこにでもあることだから。
どこの会社にもあるよね、社長派と会長派に別れてたり、一人の独裁者に翻弄されたりってこと。
それが国際的で、動く金が莫大になればなるほど、話はこみいってくる。暴露本として読むより、「ある、ある、そういうこと」って感じで、身近なネタに転写できるのが、この本の良さだと思う。
ルールいまいちの、にわかサポーターでも大丈夫なほどすらすら読める文章なので、タイトルの真面目さに引かずに、ぜひ。
野球界のゴッドファーザーにも、オススメしたい一冊。
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