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赤木春都さんのレビュー一覧

投稿者:赤木春都

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本八月の博物館

2004/04/12 23:02

物語の博物館。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


今頃になって、この作品に書評を書く必要なんてどこにも無いのかもしれないけれど、とても好きなので折角の機会に書かせて頂きます。書評というのは初めてになります、赤木春都と申します。
先に予防線のように断っておきますが、あくまでも個人的な意見であり、否定する方々を否定するわけではありません。作品への視点や思想というのはいつでも、沢山あるのだと思います。
書評内では、できるだけ中身の細部には触れないで書こうと思います。

読み終わった瞬間は、ただ高揚。
物語が締められた脱力感も無く、世界観が終わってしまった寂しさを感じる暇も無いまま、とにかく醒めない興奮に包まれ続けました。
“これはなんだ?”という途方も無い疑問を感じて、すぐさま冒頭部分を読み返し、気分が落ち着いてきたところでようやく本を閉じることができました。
物語があって、その外にも更に物語が広がっているような感覚。作中に散りばめられた「作者と物語の関係」のことだけではなく、更にその外側にまで物語が広がっているように感じたのです。
判りにくいでしょうね。ぼく自身、言葉に表せる感覚では無いと思っています。

見る方向から見れば、よくできた小説というのはほとんどが良作であり駄作です。この作品ももちろん、二つを抱えているように思います。
ただとにかく、「物語」という捉え所の無い存在を心から好きなら、この可能性の広さと、際限無い(それこそ作中の博物館のように)イマジネーションの“限りなさ”というのが堪らなく大切で素敵なものだと感じられるんじゃないかな、と思っています。

「物語」は多種多様だから一意的な答えなんて無いんでしょう。それは「物語」が好きなら誰しもが知っていることだと思います。
ぼくも「物語」が好きで、できる限り沢山の作品に触れてきました。その中でも断トツに大切で大好きなのが、この「八月の博物館」です。
もしも読んでみて気に入らなかったり、訳が判らなかったりしたなら。
沢山の物語に触れて、「物語って素敵だな」と思えたら改めて、手にとって欲しい作品です。
心から、心の底の底からお勧めします。
過剰に響くかも知れませんが、比べようも無いほど膨大な作品が出ている中で、ぼくはこの作品を比類なく素晴らしい作品だと信じています。

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紙の本聖遺の天使

2004/06/14 00:44

「魔術的」を覆す。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書評を書こう、と思い立てる作品というのは、実際のところあまり数多いとは思えない。
しかもミステリとなると、迂闊なことを書くと楽しさも半減。実に損をしたような気分になってしまうので、書評を書くのならそう言ったことに気をつけなければいけないし、それはとても面倒なので書評を書く気が削がれていく。
そんな苦労をしてでも誰かに勧めたい! と強く願える作品。そういうものに出会ったら、ぼくはとにかくいろんな人に読んで欲しいと思う。
この作品も間違いなく、そういう意味で一級品だろう。
作者はライトノベルや推理小説分野で活躍しているだけあって、かなり文章がしっかりしている。そのおかげで、レオナルド・ダ・ヴィンチの居た中世の、魔術的な現実が驚くほど巧く描き出されている。
ぼくは(当たり前ながら)その時代を実際には知らないが、その「雰囲気」を何となく読むようなことはできる。ダ・ヴィンチの描いた有名な「最後の晩餐」のように、宗教的で荘厳な、ファンタジーではない「魔術的」な雰囲気。
情景の美麗さ、中世の怪しさ、人間の怪異さが見事に相俟っているように思う。良い意味で宗教的で、表現は悪いが「宗教かぶれ」の人間じゃなくても楽しむことができる。
ええと、こういう感じ、判ってもらえるだろうか。

一線を画した、頭脳というよりは神がかりな主人公。しかしいわゆる「探偵小説」ではなく、あくまでも「推理小説」として楽しむことができる。その「読者への余地」の残し方も実に一流で、嫌味も作為性も無く、自然に受け入れられる。もちろん、ダ・ヴィンチの鮮やかな立ち回りに真っ直ぐ驚くこともできるだろう。

何よりもぼくとしては、宗教や聖なる物がたくさん要因として重なってくるにも関わらず、「これは神の魔法だ!」なんて言葉で済まさない、「魔術的」な世界で「真実」を追い詰めてしまう無謀で格好良い姿勢が大好きだ。
これはもう是非とも読んでいただきたい。
「神秘」という意味のミステリはこうできているのか! と、きっとたくさんの人を圧倒させてくれるだろう。

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紙の本虹果て村の秘密

2004/04/16 22:37

「虹果て村の秘密」の秘密。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ぼくなんかが書評を書いちゃっていいのかしら、という思いが無いわけでも無い。いつも感想や書評を書く時に思うけれど、感想というのは言葉に表すのがひどく難しい。
この作品を簡潔に表すとすれば、「とてつもない」とか「すさまじい」なんて言葉は似合わないとも思うのだけど、そういう考え方もあるのかもなぁなんて考えてしまい、やっぱりぼくごときの感想なんて誰も見ちゃいないんじゃないかと思ったりもする。ここは日記を書くところでは決して無いので進めると、ぼくはこの物語を「とっても良い」物語と形容したいと思う。

確かに素晴らしい小説であり、見る角度を少し変えるだけでエンターテイメントから深い文学書に変わるような凄さも兼ね備えている。子供向けらしく作られた本なのだけど(確かに装丁は見やすく判りやすく絵も小学校の教科書に載ってそうな絵だけれども)、これは本を読まない子供も、もしくは(ぼくの願いを込めれば)、多くの大人に読んで欲しい本になっているように思う。
当たり前に知っていたことが沢山書かれているのに、そんなのは教科書でも他の本でも沢山書かれていることなのに、何故かこの本を読んだ時だけ、すごく強く響いてきた。耳元で除夜の鐘が鳴っているような感じで、もうずっと響きっぱなしだった。
これは有栖川有栖さんの筆力の力でもあるのだろう。言葉も表現も、文章の使い方も場面の描き出し方もプロフェッショナルを一途に追いかけているからこそ、余計な言葉や文章が無い。すっきりとしていて、飲み込みやすく、それなのに人間的・感情的なのだ。こんな書評とは本当に比べ物にならない程、綺麗に日本語を操ってしまう。
そんな文章で書かれるからこそ、登場人物の言葉の重さも、静けさも、持っている雰囲気も全て伝わってきて“じん”と来る。

ミステリとしては、子供向けという面もあって、その気になって読めば推理できてしまうレベルだろう。ちなみにぼくは犯人までは判ったけれど、トリックなんてさっぱりだった。

お気に入りの場面というか言葉は、作中に登場する作家が主人公に向けて言った“推理小説の在り方”を示す言葉。
推理小説を読んでいると、面白いのだけど、人が死んでその殺し方をじっくり考えるばかりの小説を読む自分に、時折嫌気が差してくる。それはミステリに限った話じゃなく、ファンタジーでも戦記小説でも、あるいは人が死ぬ場面があっさり挿入される恋愛小説でも純文学でも、物語が扱う「死」の軽さに目眩を覚えてしまうことがある。多分ぼくだけじゃないと思うのだけど、どうだろう。
そんな目眩に決着をつけてくれる、とても良い言葉が出てくる。もちろんそれを逃げ言葉にしてはいけないので、噛み締めてじっくりと「死」を考える必要が出てくるのだけど。
具体的にそれがどんな言葉だったのかは、ここには書かない。
「とっても良い」物語が沢山語っているのだから、是非ともじっくりと腰を据えて、各々のスタイルで一気に集中して読みまくって確認して欲しいと思う。むしろ願う。
ぼくはこの本のおかげで、ベッドの上で夜が明けてしまった。だからできれば夜中に読み始めないことだけ、読み方としてお勧めしておきたい。

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