戦争と平和さんのレビュー一覧
投稿者:戦争と平和
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聖書の暗号 2
2003/01/25 14:22
いまからヘブライ語でもならってみようか、いや時間の無駄だ。あと三年の命かもしれないから。
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「聖書の暗号」を肯定的に評価するという事は、普通の日本人(いや、世界の殆んどの人々)にとって、不可能に近い難事業だと思う。まず、当然の事ながらヘブライ語が読めなければならない。同時に、「群論」などの先端数学をマスターしており、暗号の発見者リップス博士と、暗号解読プログラムを書いたローテンバーグ博士の意図するところを理解出来ること。そして最後に、世界史や地理、国際情勢にも通じており、ただのクロスワードパズルに過ぎない暗号表から、未来の出来事を前もって引き出す能力(こういうのをセレンディピティというそうだ)を有すること。これだけの条件の揃った人間でなければ、この現象に対して、本来肯定も否定も言うことは許されないのだ。
だが、そんな人間はこの地上に百人とはいるまい。つまり、「聖書の暗号」を信ずるか、手のこんだ悪戯と無視するかは、我々読者の胸三寸と言える。私個人は、一冊目の「聖書の暗号」を読んだ時から一貫して、この現象の意味するものを評価する側に回っている。クリスチャンでない自分が、旧約聖書に歴史の全てが書かれているという事を信じるという事は、自他に誠実であろうとすればするほど、困難になる。自分は仏教の教えも信じ、神道の清々しさにも心引かれている者だ。このジレンマをどう克服するかというのが、ここ数年私にとって最大の課題となっていたのだ。
そこへこの続編の登場である。一冊目の本を要約すれば、1996年の夏、イスラエルに核攻撃が迫っているという暗号を見つけた著者ドロズニンが、東奔西走の結果、無事にその危機を回避することが出来たという事である。ここには、はっきりと書いてはいないが、「自分の活躍によってイスラエルと世界は救われた」と言いたげなドロズニンの自己満足が見え隠れしている。
ところが、この続編ではそんな見栄も吹っ飛ぶような緊急事態になっている。あと三年後、二○○六年に、イスラエルもしくはニューヨークに核攻撃の危機が迫っており、その成り行き次第では、世界核戦争も起こりうるという結論である。
私達の記憶に新しいのは、ノストラダムスの一九九九年の予言が「はずれた」事実である。私個人としては、はずれたのではなく、何かの働きがそこにあったような気がしているが、これでまた三年後に私達は存亡の危機を迎えなければならないようだ。
予言は確かにこの世界の中でもっとも神秘的で不可思議な謎を解き明かしてくれる「秘密の鍵」である。それは人間と、人間を超えた存在の相互作用によってなされる業だと思う。それは神からの、あるいはこの続編に出てくる地球外生命体からの、私達地球人類に向けた警告のメッセージなのだろう。いま、あらゆる規範が轟音とともに崩れ始めたこの国で、私たちの越し方行く末を思いめぐらすのも、決して無駄なことではあるまい。したがって、本当は星五つをつけたいのだが、冒頭に述べた理由から、私はとてもこの現象を云々する資格がないので、「評価保留」とさせて頂きました。世界は必ず救われる、救いうるからこのような本が出たのではないか、それが私の結論です。草々。
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