野口均さんのレビュー一覧
投稿者:野口均
家康くんの経済学入門 おカネと貯蓄の神秘をさぐる
2001/07/23 18:15
日経ベンチャー2001/07/01
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本書は、経済学の入門書として、画期的な名著なのかもしれない。貨幣経済の本質を、徳川時代を題材に、理路整然と、かつ面白く説明していることに驚かされる。例えば、通貨供給量と実物経済の関係については、八代将軍吉宗の「享保の改革」を例にとり、とてもわかりやすく解説している。
本書は、高校生や大学生が経済学を学ぶ時に利用する副読本に最適だと思う。しかし、柳生一族が経済政策の極意を幕府に授けたという設定など、フィクションの部分も多いので、歴史の知識がない読者が、万が一にも全部を信じてしまわないよう注意したほうがいいだろう。
Copyright (c)1998-2001 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.
大倒産 淘汰される業界・生き残る会社
2001/07/23 18:15
日経ベンチャー2001/06/01
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本書は、日々、企業の倒産情報を提供している帝国データバンクの情報部長が書いた「警告の書」である。
著者は、今年が過去最悪の倒産ラッシュの年になると予測している。銀行の支援打ち切りで起きる「そごう型」の大型倒産が増加するうえに、長引く不況による業績不振を原因とする倒産も急増する気配があるからだ。そこに中小企業金融安定化特別保証制度による倒産先送り策の反動が追い討ちをかけるという。
一九九八年秋にスタートしたこの制度によって一時的に中小零細企業の倒産は激減した。しかし、融資を受けて事業の立て直しに成功したケースはほんの一握りにすぎず、いつ倒産してもおかしくない「死に体」企業が一〇〇万社はあると著者は推定している。こうした大倒産時代に会社を生き延びさせることができるのは、「ケチで頑固で無口な経営者」というのが著者の主張だ。
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問題は経営者だ!
2001/07/23 18:15
日経ベンチャー2001/06/01
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本書は、インパクトのあるタイトルでベストセラーをたびたび出す堀場製作所会長の本。経営書によく出てくる専門用語はほとんど使わず、こなれた言葉で体験に裏打ちされた経営者論を展開している。
日本の企業は、従来あまりにも経営者と社員のためのものでありすぎたのではではないか、今後も家族主義的経営のままでいいのかといった経営者にとって悩ましい問題にズバリ結論を出していく。誰が読んでもわかる明快さが本書の魅力だ。
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小さな会社のIT活用法 どうすれば「仕事の幅」を広げられるか
2001/07/23 18:15
日経ベンチャー2001/06/01
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本書は、中小企業のIT活用事例を詳しく紹介している。中小企業の製造現場を知悉している著者だけに、どのケースもツボを押さえ、しかも堅苦しくならないようにうまくまとめている。
五つのケースの中で、凄いなと感心させられたのが金型づくりを一変させたインクスの取り組み。「職人の技」を解析してデジタル情報に変換することで、製造にかかる時間を一気に短縮しただけでなく、技能の継承も容易にした。他の分野でも同様の手法をとれば、多くの優れた技能が継承でき、さらに発展させることが可能になるだろう。
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ビジネスに生かすギャンブルの鉄則
2001/07/23 18:15
日経ベンチャー2001/06/01
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本書は、まじめな人は敬遠する書名かも知れないが、ビジネスマン全員に読んで欲しい本。本書でギャンブルの鉄則といっているのは、リスクに対してどう対処すべきかについての法則であり、ビジネスに必ず役立つ知識だからだ。
最近、よく「リスクをとれ」という人がいるが、それを真に受けてしまったら大変だ。リスクはあえてとらなくても自分の周囲に常に存在する。それをいち早く認識し、回避することで勝負が決まるわけで、積極的にとるのはばかげている。
リスクを減らしてリターンを増やすための知恵は、既存のギャンブルのセオリーの中に具現化されているというのが著者の主張だ。
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学習する会社のナレッジ・コラボレーション 全社をあげてノウハウを進化させよう!
2001/07/23 18:15
日経ベンチャー2001/07/01
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本書は、企業や個人が、様々なナレッジ(知識)をいかに集約し、どのように活用すべきかを説明している。その具体例としてあげているインターネットによるナレッジの集約事例が興味深い。
「Kスクエア」というホームページは、ある会員の質問に対して、それに詳しい別の会員が回答を寄せるというシステムを構築している。多数の人間がアクセスするインターネットを用いることで、どのような質問に対しても、誰かが知恵を貸してくれる仕組みをつくったわけだ。
「ビジパ」(ビジネス・パートナーズ・ネットワーク)は、中小企業経営者にとって頼りになりそうなコンサルティング・サービスだ。登録料を支払って会員になれば、企業経営のあらゆる質問に、弁護士、公認会計士、税理士といった専門家が、ネットを通じて回答してくれる。過去の質問と回答が蓄積されていくうちに、会員独自のナレッジ・データベースができるという。
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失敗学のすすめ
2001/05/09 12:18
日経ベンチャー2001/05/01
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著者は、日本社会には、失敗を恐れ、失敗を恥じ、失敗を隠そうとし、失敗に学ばないという欠点があると主張している。その原因は、明治以来、欧米のマネをすることで失敗を避け、効率よくキャッチアップしてきたために、失敗を真摯に見つめ謙虚に学ぶ文化やシステムが生まれなかったことにあるという。
著者は、東大で機械工学を教えているが、こうした問題意識があるため、最初はあえて学生に手本を示さずに課題を与え、挫折を経験させる。すると学生の勉学に対する態度が変わり、習得した知識の応用も利くようになるという。
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「全員経営」のすすめ アサツーDK創業者稲垣正夫が明かす グローバル時代に生きる経営理念と実践
2001/05/09 12:18
日経ベンチャー2001/05/01
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広告業界第三位アサツーディ・ケイの創業者、稲垣正夫氏の経営戦略や人となりを紹介した本。
著者は、広告業界の世界的な再編成の中で、積極果敢に国際化を推し進める稲垣氏の経営の根本に、東洋思想と満州体験があることを指摘する。そしてそこから発する稲垣流の経営手法には、適材適所による人材活用、経営者意識の共有、努力に報いる公平な成果配分という三つの原則があると解説している。
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日本は、よみがえる ドラッカーの箴言
2001/04/04 12:16
日経ベンチャー2001/04/01
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社会生態学者、ピーター・ドラッカーの言葉をわかりやすく解説した本である。大企業の関連会社で取締役を務めていた著者は九二年、母校、慶応大学の同窓生たちとドラッカーの著作を読む勉強会を始めた。バブル崩壊後の日本経済の大変動、大混乱を読み解く手がかりを得るためである。
ドラッカーの考えを、様々な実例を挙げてここまで平明な言葉でわかりやすく説明できたということは、著者のグループが、それだけ真剣にドラッカーを読み、討論し、自分たちのものにしたということだろう。
いまや流行語になって軽薄な感じすらするナレッジ(知識)という言葉を、ドラッカーが非常に早くから経済の変化を語るキーワードとして使っていることなどを挙げ、その先見性を詳しく説明している。
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北条家の叡知 日本最強の一族
2001/04/04 12:16
日経ベンチャー2001/04/01
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鎌倉幕府を題材に、現代のビジネスに生かすべき教訓を導き出している本だ。
著者は、鎌倉幕府が成立した様子を、複数の企業が、時勢に押されて業務提携、あるいは合併して、連合組織をつくった状況になぞらえている。そして、北条氏が、そんな組織をいかにまとめ、主導権を握っていったのか、どうやって後継者を育成したのかなどを分析している。
それによって、現代の企業経営者にも役立つ、組織のまとめ方、事業承継のやり方などの原理、原則を明らかにしている。
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価格の見える家づくり 家づくりの不満を解消していったらオープンシステムになった こうすればいい家が安く建つ
2001/04/04 12:16
日経ベンチャー2001/04/01
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オープンシステムというバブル崩壊後に出てきた新しい家の建て方について説明している。
元請けの工務店を中抜きして、大工、基礎工事、屋根、内装などそれぞれの専門業者と直接契約するので、彼らの顔も工事価格も見えるようになるからオープンというわけだ。工務店に払っていた費用が必要なくなるので建築費は安くなる。
この手法をとるうえでネックだったのは、設計と施工監理をやってくれる設計士がどこにいるのか、一般の人には見つけにくかったこと。それを著者は、設計士と家を建てたいという人の出会いのためのサイト「オープンネット」をインターネット上に設けて解決した。変化の見えなかった建設業界もかなり変わりはじめているようだ。
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脱税調査マニュアル
2001/04/04 12:16
日経ベンチャー2001/04/01
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元国税局調査官が書いた脱税に関する本である。大企業から中小零細企業まで、実際に使われている様々な脱税のテクニックを詳しく紹介している。本書を読むと、ついまねをしたくなる誘惑にかられるかもしれないが、やめたほうが賢明だろう。ここに書かれている脱税法は、すでに国税局調査官にとって既知のものだからだ。
本書は、実用書というよりも、税金を取るほうも取られるほうも、大変な思いをしているものだなあと、自己を戒めつつ感慨にふけるのにちょうどいい本といえる。
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どんどん捨てる情報活用術
2001/02/10 00:16
日経ベンチャー2001/2/1
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『どんどん捨てる情報活用術』は『捨てる!技術』の便乗本ではない。インターネット時代、あふれる情報をどう整理するかは、誰にとっても切実な問題だ。著者はまず、新聞やテレビのニュースのように、状況の変化に対応して刻々と変化するフロー情報はどんどん捨ててかまわないと言う。さらに、情報そのものには価値はないと断ずる。価値は、得た情報を活用することではじめて生まれるからだ。「自分に活用できない情報には価値がない」と見切ることができれば、無意味な情報に振り回されることもなくなるだろう。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.
私たちはこうして倒産会社を再建した
2001/02/10 00:16
日経ベンチャー2001/2/1
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『私たちはこうして倒産会社を再建した』は、一度は失敗者の烙印を押されながら、倒産企業の再建、新会社の設立を通じて復活した一四人の経営者を紹介している。
ホームレスになった後、そこからはい上がって一億円以上の借金を一九年かかって完済した経営者。ぶら下がり健康器の通信販売で当てたものの、遊び仲間に頼まれて三億円の手形に裏書きして大借金を抱え、その返済のため起死回生の新規事業に乗り出して成功を収めた経営者…。どの倒産経験者も、失敗の原因をまずは自分に求めて反省するところから出発している。それが立ち直りのための最低条件なのだろう。
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佐藤社長の決算書自習帳 読み方がわかる、数字のドラマが見える体験的入門書
2001/01/10 21:16
日経ベンチャー2000/11/1
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決算書がよく読めないが、いまさら部下には聞けないという経営者や管理職の方にオススメだ。著者は元NHKアナウンサーで、プロ用オーディオ機器専門商社を興し、優良企業に育て上げた異色の経歴の持ち主。会社設立当初は決算書の読み方がわからずに、何冊も解説書を買い込んでは悪戦苦闘したという。その体験に基づいてまとめられた本書は、一般の入門書が見過ごしがちな基本中の基本を徹底的に解説している。「損益計算書は三幕五場の芝居だ」など、たとえ話も元アナウンサーらしくうまい。社長が決算書を理解することで、どれだけ経営が改善されるかを体験的に語っているので、読者も学習に熱が入るだろう。
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