ひこ田中さんのレビュー一覧
投稿者:ひこ田中
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どんどん どんどん
2001/08/02 20:08
「こどもパワー」が全開の絵本。
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こどもがいます。おしめをした幼児かな。とにかくなんだか濃いィ、ガキです。
その子がどんどん、どんどん歩いていく。
「あるひ あるひ ひとりのこどもが どんどん どんどん ゆきました」。
「こどもは わきめも ふりません まっすぐ とおくを にらんだまんま どんどん どんどん ゆきました」。
もうその、どんどんぶりといったら、あなた、
砂煙をあげながら、トカゲも、カモも、ヘビも、カエルも、どんどん どんどん蹴散らしていく。そのスピードとパワーのものすごさ。森の木々をなぎ倒し、フクロウも逃げ去り、電柱も、ん? おいおいモスラだって・・・。
なんか、どんどん どんどん体もでかくなってないかい?
お、おおあわてで飛び出したのはガメラさんではないか。あらー、ホテルも傾いた。とうぜんゴジラもラドンも、かなわない。台風もクジラも目じゃない。
これって、気持ちまで真っ裸な、こどもの姿。見ていてとても気持ちいい。片山の絵のパワーがそのままこの子に乗り移った、いや逆かな。この子のパワーが片山の筆を動かしている。
この子がどこへ行くために歩いているのかって?
そんなこと誰も知らないよ。
どんどん、どんどん。
赤い鳥を追って
2001/08/31 17:30
アイデンティティは掘り起こすこと?
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ジニー・テイラーは一三歳の女の子。家族構成は父母、伯父夫妻、兄弟が六人。その中で兄弟姉妹の真ん中にいるジニーは目立たない。本人によれば、「わたしが無口なのは(略)ごく単純な理由—わたしのいいたいことのほとんどは、すでにだれかが口にしていることだからだ」となる。一方、姉メイによれば、「いちばん変わり者で、いちばんとるに足りない、あわれなみそっかす」。
そんなジニーは両親よりむしろ、伯父夫婦になついている。が、伯父夫婦がジニーを可愛がるのは、彼女自身を可愛がっているのでなくて、幼くして亡くした、ジニーと同い年のローズの代わりになのね。これって、つらい。悪いことに、ジニーはそれを知っている。
また、彼女に近づいてくる男の子もみんな姉のメイがお目当て。もちろんこれも知っている。
やれやれ。
結局ジニーは周りの人々にとってジニー自身として存在していないみたい。
そんな中、昔引っ越していった幼なじみのジェイクが舞い戻ってくる。彼はジニーに何かと語りかけ、プレゼントもくれるのだが、メイという「本命を射止めるまでのだし」であるかもしれないし…。母親も、ジェイクのお目当てはメイだと思っているのだから。
ここから物語は、ジニーがいかにして、自分像を構築していくかを描いていくのだけれど、それが、家族とも、BFともかかわりないのが、おもしろい。
彼女、地面の下に埋もれていたトレイル(昔使用されていた、古道)の一部を家の前で発見する。で、これをもう一方の端まで全部掘り起こそうと考える。何キロもあるのだから、どうせ挫折すると思っている周りを尻目に、ジニーは掘って掘って掘りまくる。
彼女の決心はすごく固くて、トレイルがよその牧場を通っていても迂回しなくて掘っていく。
「やり遂げる」喜びが伝わってきて、それが読んでいて心地いい。
「わたしはちがう自分を知ってほしかったのだと思う」とはジニーの弁。
まっすぐな物語。伯父夫妻がいいですよ!
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