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山地 進さんのレビュー一覧

投稿者:山地 進

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本検証遺伝子組み換え食品

2000/11/18 00:15

遺伝子組み換え食品に異議申し立て中の消費者・消費者団体の基本倫理を安全性評価に絞り共同研究した努力作

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 ヒトゲノム(全遺伝情報)の解明が終盤に近づき,創薬ビジネスを大きく刺激しているが,食料分野では一足早く,害虫抵抗性とか除草剤耐性,日持ち向上など,特定の目的に合わせて作出された遺伝子組み換え作物が流通し,ナタネ,トウモロコシ,などではすでに3割余に及ぶという。種類としては前記2種のほか,ダイズ,トマト,テンサイ,ワタ(綿実),ジャガイモがあり,7種類で29品種に達している。
 わが国に遺伝子組み換え食品が初めて登場したのは,1996年だから,その後の展開は,かなりの速度といっていいだろう。輸入先を含めて関係企業にすれば,通常の新品種販売にすぎなかったに違いないが,消費者・消費者団体は90年代に入って,クローン羊誕生から体外妊娠まで,それこそ生命科学関係ニュースのシャワーを浴び続けてきた状態だけに,遺伝子組み換え食品にも拒否反応的な言辞がふえていた。
 農水省が1999年,食料・農業・農村基本法の制定(同年7月)に伴う,包括的な農政改革の一環で食品表示のあり方を課題とした際,全国の県・市町村の約7割,2000余の議会が,遺伝子関係表示の厳格化を求めた要請ないし意見書を国に寄せたという。
 本書は,そういう消費者・消費者団体が抱えている遺伝子組み換え食品に対する不信感,それによる不安感の底辺にあるものを,消費者サイドから4人の研究者が1年かけて討議し,遺伝学,生態学,食品安全学から表示,安全基準,知的所有権,さらに生命倫理まで,関連するほとんどの論点について,分担して執筆したタイムリーな努力作である。
 著者らの遺伝子組み換え技術についての基本的な考え方は,開発派が主張するように,単なる「育種の延長」ではなく,「自然界では原則的にありえぬ<『種』(しゅ)の壁>を越えた現象の一般化」だけに,安全性の評価は数等の厳しさが要求される,という主張である。
 ただ,本書の著者らも遺伝子組み換え技術を基本的には,「21世紀を救う可能性を秘めた技術」と評価し,だからこそ慎重に育てるべきとしている。一応開発派と批判派の接点はできつつあるが,問題は開発派がこれまでの性急さを改め,安全性確保の厳格化にいかに力を入れるかである。
 その場合も,最近の消費者団体は遺伝子組み換え食品に対する分析力(最近,わが国で,仏アベンティス社開発の遺伝子組み換えトウモロコシの「ベーキングパウダー」への混入が問題化)が高くなっているので,対策もよほど説得的なものであることを要しよう。
 わが国の場合は,目下,遺伝組み換え技術のコメへの適用が精力的に進められている折だけに,安全性の確保について,広く市民と技術者がどう対話を交わすかが緊急の課題となっている。その点,開発技術者の代表的な発言として,桂直樹・農水省農業生物資源研究所長の,「生命科学新たな地平 農作物の開発競争し烈に」(日本経済新聞・経済教室欄,2000.9.20)を紹介しておく。
(C) ブッククレビュー社 2000

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輸入食料品を青果,水産物を重点に広範にとり上げ,市場への供給状況を解明した類書の少ない一般教養書

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 ラーメンも,ざるそばも,つまりはほとんど輸入原料(小麦,大豆,豚肉,もやしなど)であることは,もはや話題にもならない。ビール醸造の大麦,ホップも,国産ぶどう酒原料の果汁の大部も同様だ。
 国土が狭く,平地が少なく,にもかかわらず人口が多く,しかも高所得,海上輸送の便もいいいわが国が,食料輸入大国となるのは必然的な道。全食料品の品目番号1万4000のうち,実績なしはごくわずかにすぎまい。だが,食材の供給については,大まかにはともかく,例えば,つまみで人気の冷凍枝豆(輸入量6万トン)の輸入先が台湾から中国,タイ,さらにベトナム,インドネシアまで,ASEAN(東南ア諸国連合)全域からきていることなど,一歩踏み込んだものは資料も乏しい。「一般教養書」として,本書は10万〜100万トン単位の穀物(米,小麦,とうもろこし,大豆)や食肉(牛,豚,鶏肉)のスペースを押え,水産物や野菜,果実,それらの加工品に力点を置いている。
 著者は,輸入食品事典研究会のリーダーで,長く日本水産(株)勤務の経験をもつだけに,とりわけ「水産物」の分野はデータも豊富で,興味深い。ウニは内外の供給比率が半々とかで,予想に近いが,健康志向で需要増加中のヒジキは8割,ワカメも7割まで輸入品(韓国,中国が主)だという。
 マクロ的な食料市場の解説書は,視点をずらしつつ,内外に多々あるが,流通単位の小さいミニ品目を広範囲にとり上げ,一般読者向けに市場状況をまとめたものはほとんど類書がないといえよう。新学習指導要領により総合的学習の導入が開始されるが,本書は食料輸入状況の参考書としても役立とう。
 ただ,第1編のわが国の食料市場全体の構造などの説明には,わかりやすさという点で,もう一工夫ほしかったとだけ付け加えておきたい。
(C) ブックレビュー社 2000

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