森山和道さんのレビュー一覧
投稿者:森山和道
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
中年ドクター宇宙飛行士受験奮戦記
2001/04/16 19:59
落ちた側から見た宇宙飛行士受験奮戦記
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
タイトルそのままの本である。40を目前にした「中年ドクター」が、宇宙飛行士になりたいという思いを実際にぶつけてみることを決意した。そして最終候補生まで残るが、惜敗。通過した側ではなく落ちた側から見た宇宙飛行士受験奮戦記だ。
一般読者にとって興味深いのは、なんといっても宇宙飛行士選抜試験の内容そのものだろう。たとえば一般教養試験の問題。「北緯50度がワイン生産の北限である」。○か×か。「アカペラの語源は?」
著者は裸眼視力0.2をキープしようとブルーベリーづけのメニューを食べ、脂肪肝をなんとかしようとスポーツクラブで泳ぎまくる。
そして二次試験。こちらは「頭のてっぺんからつま先まで、皮膚の上からハラワタの中まで徹底的に調べられる」医学検査が中心となる。医者なのに初めて胃カメラを飲んで悶絶するところが面白い。この辺は単純に笑える。
三次試験は長期滞在適性検査。カメラ付きの狭い空間で暮らすのである。ここの閉鎖環境実験施設は私も見学したことがある。著者はあまり「閉鎖環境」ということは強調していないが、むちゃくちゃ息が詰まる空間で、こんなことじゃとても暮らせないなあと思ったものだ。三次試験の後半はヒューストンで行われたそうだ。ここは色々な宇宙飛行士に出会って楽しそうな著者の様子が生き生きと伝わってきて、こちらも楽しくなる。
そして最終面接後、毛利さんからの「今回の結果だけれども、残念ながら……」のあと。引用しよう。
受話器を置いたあとは放心状態が続いた。しばらくぼーっとしていたが、まず家内に電話連絡を入れた。
「これから帰る」
家内はその一言で、すべてをわかってくれた。
僕みたいな若造が言うのもおこがましいが、いい夫婦、いい人生ではないか。
著者は<エピローグ>で「夢を追いかけるって素敵なことです」と書いているが、こういう言葉に説得力を持たせられる人は、そんなにいない。
新世紀未来科学
2001/04/12 19:13
「SFの発想科学の挑戦」
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「SFの発想 科学の挑戦」。人類はこれまでどんなものを考えだしてきたのか。そして先端技術は我々をどこへ連れていこうとしているのか。
この本は恒星間飛行やサイボーグ、AI、クローン、気象制御、さらにはテレポーテーションやタイムマシンに到るまで、SFに登場する様々な未来科学・技術をひもとき、同時に現在の実際の科学技術を紹介する一冊。<SFに登場する未来科学>と<現実の最先端技術>の繰り返しで構成されている。
コンセプトそのものはお馴染みと言っていい。だが、この本はひと味違う。
まず、紹介の糸口たる古今東西のサイエンス・フィクションへの言及が実に面白い。著者自身が<あとがき>で「たしか、昔こんなSFを読んだことがある、という漠然とした記憶だけは残っているものの、それが誰の何という作品だったか、本当にその内容は覚えている通りのものなのか、それを確認する手間が並大抵ではなかった」と言っているように、とにかく膨大な量のSF、そしてそこに登場するガジェットが紹介されているのだ。どんなSFマニアでも、必ず驚きや再発見があるに違いない。
後半の現在の科学技術パートも、非常に興味深い。著者・金子氏が紹介する最先端技術の数々は、科学ニュース集としても読めるだけの鮮度がある。また、現在の科学技術が意外なほどSFに近づいていることに驚く人も多いことだろう。各章末の短評付き参考文献も嬉しい。
それにつけても、つらつら感じるのがSFという文学が産んだ、発想の多様さと豊饒さである。衛星軌道まで達する軌道エレベータに始まり、惑星改造どころか宇宙改造のアイデアの数々や、さまざまな生物や人類進化のビジョンなど、科学的発想に基づきつつもぶっ飛んだアイデアに、心底驚嘆せずにはいられない。
いわば一粒で二度おいしい本、是非ご一読あれ。
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
