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宮下 志朗さんのレビュー一覧

投稿者:宮下 志朗

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日本経済新聞2000/6/11朝刊

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 音楽やゲームのソフトは、すでにネット配信の局面に突入しているが、本の世界も、ネット上の壁のない書庫に読者が出入りする時代を迎えつつある。こうした書物メディアの転換期にあたり、ヨーロッパでは、いわゆる活字文化の総決算が目立つ。『フランス出版史』全五巻といった国家単位のモニュメンタルな企画から、ヨーロッパの読書室(貸本屋)や行商本といった国境横断的なテーマに至るまで、試みは多岐にわたる。そして「読書」を切り口に、古代ギリシアから現代までをたどった待望の通史が本書で、シャルティエ、ペトルッチ、グラフトンと、錚々たるメンバーが集う。
 巻物/冊子本、写本/活字本、連続記法/分かち書き、音読/黙読、精読/多読といった媒介変数が、いかに交錯して読書のプラティック(慣習行動)が変容してきたかが、文化の様態との関わりで論じられる。たとえば中世には、知識人が情報の入手を優先して、英知は利便性の前に屈し、全書・詞華集といった抄録が世にはばかり、同時に文献目録・索引といった参照装置が発達したのだと説明されると(第4章)、二十一世紀はひょっとしてスコラ学の再来の世紀かと、不安に襲われる。かと思えば、「強力な」読者が密集する日本の大衆的読書現象は、この国の権威主義的・階層的な特質に由来すると、「日本特殊論」が持ち出されると、困惑もするし、しばし内省を迫られもする(第13章)。また女性など、文字文化の周縁の存在について、もっと詳しく語ってほしい気もした。
 それにしてもインターネットの世紀、読書行為はいかに変身していくのか? 活字時代の、「閉じられたテクスト」(オング『声の文化と文字の文化』)という感覚は消滅するのだろうか? テクスト相互の関係性が支配的になり、作者・作品のアイデンティティは雲散霧消するのか? こうした問題系を考える際の前提をなすテクストで、わが国でも、こうした試みがなされてもいい。なお、邦訳文献の指示は、もう少し親切であってほしかった(オング、イリイチ、ドゥブレ等々)。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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