サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 巾村 和敏さんのレビュー一覧

巾村 和敏さんのレビュー一覧

投稿者:巾村 和敏

6 件中 1 件~ 6 件を表示

市場経済の行き着く先は,人口の削減か地球の終焉か。反市場主義の書

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 グローバル市場経済は,いまや何らかのアクシデントの発生があれば壊滅的な終末に至る臨界状態にある。すなわち,地球環境の制約を無視した経済成長は生態系の限界を脅かしている。「神の手」である市場メカニズムは所得分配を歪め,世界的な貧富の格差の拡大と敗者の増大によって社会の不安定要因を増大させている。金融市場に内在する不安定性は過去に類を見ないほど高まっている。最大の問題は,途上国における人口爆発である。地球は今のテンポで増大する人口と消費をやがて抱え切れなくなろう。21世紀において市場経済は,無名の人々の死か,地球の終焉か、のどちらかを選択しなければならない。
 本書は,世界の指導者たちからの委嘱に応えて作業部会が作成した報告書という体裁をとって,この危機に対処するための提案を行う。提案は,無名の人たちの死,すなわち人口の大幅な削減を選択するものである。そして,人口削減のためのプログラムとして対症療法(征服,戦争,飢饉,疫病)と予防的な戦略(生殖抑制)が提示される。
 このような結論をどう考えるか,というのが著者が提起する問題である。作業部会はグローバル市場経済を維持し発展させることを前提条件にしたため,人口削減という結論を得た。しかし、その前提が誤っているのである。ここでのグローバル市場経済とはアングロ・アメリカ型の市場主義を指す。市場主義を前提にすると上記二つの選択肢に至る。ならば,市場主義そのものを否定するというもう一つの選択がある。これが本書の主張である。
 南北問題,環境問題を中心に発言を続けている著者の近著であり,市場主義に対する反撃の行動を呼びかけるなど強い危機意識が伝わってくる。作業部会の意見と著者の意見とが時折識別しにくくなる複雑な構造の書であるが,豊富な実例と学識に裏打ちされた議論の展開は大変説得力がある。重いテーマと世界の現実について評者は少なからず教えられるところがあった。翻訳もこなれていて読みやすい。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本円の国際史

2000/12/20 21:15

円の本格的な国際化が日本経済再生のために必要,円の国際化は円の安定と実物経済の安定につながると主張

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『円の国際史』の題意は,はしがきによると「円の歴史をその国際的側面からたどることにより,日本経済の再生をはたすためには円の本当の国際化が必須課題であることを示すところにある」。著者の問題意識は,現在の日本経済がいかにしたら再生できるかにある。
 答えは,円の本格的な国際化である。円の国際化は,円の安定と実物経済の安定につながる。本書では,そこに至るための対応策とシナリオが提示されている。 
 前半は,幕末の開国から1990年代に至る140年間の円の歴史である。通貨の歴史が金融史であり経済史であることがよくわかる。著者によると現在は,幕末における第一の開国,第二次大戦後の第二の開国に次ぐ,第三の開国を迎えた局面と位置づけられる。これまで円の歴史は,一国主義的発想と相場誘導の歴史でありそのため莫大な国民経済的コストを伴ってきた,というのが著者の評価である。
 後半で,第三の開国が日本にとって「真の開国」となり「国際通貨」円が実現するための条件とシナリオが提示される。円の国際化は,円の安定と実物経済の安定をもたらす。円が国際通貨となるための条件は,財・サービスや金融取引において円の国際的な流通量やストックが増えること,そして市場の国際標準化(市場ルールが機能する効率的市場の存在)である。後者を実現するために,第2のビッグバンが必要である。日本型モデルの再構築も必要である。こうして円が国際通貨として自立すれば,アジアの安定的発展のアンカーとして,次にドル,ユーロと並ぶ3極通貨体制の一環となることによって,国際通貨体制と円相場自身の安定を実現できると展望している。
 著者は旧東京銀行調査部長で現在はアカデミズムに籍を置く。実務経験を踏まえた議論と多くの文献,資料を参照しつつ展開される論旨に説得力がある。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本ゼロ金利の経済学

2000/10/30 15:15

ゼロ金利の意味は?金融政策はどのように決定されているのか?高水準の内容を平易にまとめた好著

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 タイトルは「ゼロ金利の経済学」と硬いが,内容はわかりやすい。金融政策をめぐる議論はとかく複雑,専門的でとっつきにくい分野だが,質を落とさず平易にゼロ金利のメカニズムと経済効果を著者の主張を踏まえ解説してくれている。ゼロ金利に至る背景や前後における日銀のスタンスの変化がドキュメンタリー風に記述されている点も,読み物として面白く,金融政策の決定がどのような論議を経て行われているのかがよく理解できる。市場経済における金融政策の重要性が一段と高まっている昨今,このような啓蒙的な著作の登場は大変有り難いことである。著者は,金融政策をめぐって日銀とたびたび論争を展開してきた岩田規久男氏であり,この分野における著名な専門家である。
 視点は2つある。一つはゼロ金利政策の評価である。これについて著者は肯定する立場であり,金利,貸出,株価などを通して期待されたプラスの経済効果があったとする。マイナス効果論の間違い,ゼロ金利下での円高対策,ゼロ金利を超えた量的緩和政策の推進,ゼロ金利解除の条件など,著者の政策論がわかりやすく展開される。
 もう一つの視点は,日銀の政策決定過程に関する批判的検討である。法改正によって,日銀の金融政策は新しい政策委員会による金融政策決定会合で決定され,その議事要旨が公開されるようになった。ここでは議事要旨を踏まえ,政策決定の過程や議論の内容が紹介され,論じられる。一般読者にとって議事要旨を読む機会はほとんどないだろうし,ましてその時間的推移をフォローすることは難しい。政策決定のプロセスを本書のような形で仲介して伝えてくれる機能は必要かつ重要である。
 本書発刊後にゼロ金利は解除された。その背景や評価,そして政策決定の批判的検討という観点からの続編を期待したいところである。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

巨大化し瞬時に移動するグローバル・マネーの実態は?市場の暴走から実体経済を守る方策は何か

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 メキシコ危機,アジア危機,ロシア危機,LTCMの破綻など,足の速い巨大化した資金が国際金融市場を席捲し,世界経済のリスクと不安定性を増大させている。こうしたマネーの動きの現実はどうなっているのか,それをどう評価しどのような対応策を講じるべきか,というすぐれて今日的なテーマに取り組んだのが本書である。執筆者は,いずれも旧東京銀行出身者で国際金融の現場を経験したあと,現在アカデミズムで活躍中の10名の専門家である。
 金融の自由化や資本移動の自由化によって解き放たれたマネーは,グローバリゼーションの進展と情報革命によるバーチャル化の波に乗って巨大化し,コンピューターのネットワークの中を瞬時に移動するようになった。そして実体経済の諸条件とは無関係に動き回り,破壊的な力を発揮している。国家の主権が弱まる中で,どのように国際金融市場の機能を強化させ,実体経済を市場の暴走から守るかというのが,著者達の問題提起である。
 自己増殖的に肥大化しているマネー・マーケットは,為替取引や資金取引の効率化や発展を通して経済的厚生の向上に寄与しているものの,一方でマリーされない為替のリスクや流動性リスクの巨額の積み上がりをもたらし,外的ショックに対して敏感かつ大規模な反応を招く状況となっている。デリバティブなどリスク・テイク技法の高度化によって,リスクがもつ資本フローの抑止力は低下しており,経常収支不均衡を是正するメカニズムが働かなくなるなどファンダメンタルズからも遊離している。市場のボラティリティーは増大し,潜在的なシステミック・リスクが高まっている。そうした中,市場原理主義に基づく「ワシントン・コンセンサス」の限界が指摘されつつある。著者達は市場原理主義から距離を置き,市場経済に軸足を置きつつその補完的,補正的な対策を論じている。
 ここでは,「群集行動」,「伝染」など国際経済・金融論の分野における最新の理論の展開や実証分析を踏まえつつ,実務経験とデータに基づいた冷静な分析と議論が提示されており,説得力がある。近年の国際金融市場の動きや対応策の論議に関する整理をする上でも有用である。残念ながら,この問題に関する明解かつ実行可能な対応策は今のところ存在しない。そして問題の所在と大きさが浮かび上がってくる。途上国問題にやや紙幅が割かれている感があるが,たとえば本書で指摘しているように世界最大の債務国である米国のドルを基軸通貨としてマネー・マーケットが拡大している点を考えると,現状は極めて不気味という認識に至ろう。
 内容は,「積み上がる国際金融リスク」「為替相場を動かすもの」「国際金融市場の不安定性とデリバティブ」「国際資本移動の功罪」「ドルの強さとアメリカ金融市場」「ユーロは基軸通貨となりうるか」「アジア通貨危機と今後の国際金融システム」「発展途上国に対する開発援助と経済協力」「国際通貨システムの改革の方向」「システミック・リスクへの対応」の10章から構成されている。
(C) ブックレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

消費支出の動向に関する計量的アプローチによる実証研究,消費不況は選択的消費支出の一時的抑制とみる

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 消費に関する計量的分析の書。著者は,日本経済研究センターで約30年にわたり研究を行ってきた。その成果をもとに最新のデータで内容を更新,追加,編集したもの。
 本書は7つの章から構成される。プロローグである第1章で,選択的消費が消費の4割を占めるような時代になり,重要性を増しているという主張が述べられる。前半の第2〜第4章は,バブル以降の消費の動向を景気との関係でマクロ的に分析した部分。すなわち,第2章ではバブル拡大とバブルの崩壊がどのような影響を家計消費に及ぼしたのかが,おもにキャピタルゲイン(ロス)や資産効果(逆資産効果)の大きさを図ることによって示される。第3章は,90年代前半の価格破壊現象と消費者の反応についての考察。第4章は,97年以降の消費不況の原因と背景についての分析であり,消費者の将来に関する不安心理が影響していると考える。不安心理が消費不況につながったのは,日本の消費者が特に慎重で将来の不安に対して敏感に反応する傾向を持っているためではなく,先行き不安の発生による将来期待所得の再評価が行われたことと選択的消費によるバッファー機能の存在があるためとする。消費不況は,選択的消費支出の長期的高まりというトレンドの上で発生した選択的消費支出の一時的な抑制局面であるというのが著者の評価である。
 後半の第5〜第7章は,消費者行動の「ミクロ的分析」である。第5章の「時間消費と資源」では,無償労働,家事と消費スタイル,時間配分と消費の変化が扱われる。第6章は「子育てコストと子供需要」,第7章は「高齢者の経済状態と消費」である。
 どの章においても,ライフサイクル仮説をはじめ近年の理論及び実証分析の成果を踏まえつつ,計量分析手法を用いて議論が展開される。前半のマクロ分析は部分分析に過ぎるきらいはあるが,データ分析を踏まえた推論の提示は重みがある。後半のミクロ分析は,社会現象の計量的分析として読んでも面白い。
(C) ブックレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本2020年の世界経済

2000/07/22 06:16

2020年の世界経済はどうなるか,グローバル化が進展する中でどのような政策対応が必要とされるのか

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ここに示される2020年の世界経済の姿は,予測であるが,正確に言えばシナリオである。すなわち,それを実現するために,どのような政策対応が必要であるかを提示するのが本書の狙いである。日本の姿や政策課題も明らかになる。本書は,OECDが1997年に作成したレポートの日本語訳であり,監訳は吉富勝氏,訳者は貞広彰氏をはじめとする経済企画庁のスタッフである。
 予測は,高成長シナリオと低成長シナリオの2つが提示されるが,望ましいシナリオである高成長シナリオにおいて,OECD諸国は過去25年(1970〜1995年)と同じ年率2.8%の成長を実現する一方,非OECD諸国は過去25年を上回る同6.7%の成長となる。特に,非OECD5大国(中国,インド,ロシア,インドネシア,ブラジル)は同7.1%の成長を示し,2020年にはOECD諸国合計を上回る経済規模となる。なお,日本の成長率は2.7%である。OECD諸国における高齢化,非OECD諸国における人口増加率の鈍化により,成長を支える要因は規制改革,制度改革,技術進歩,人的資本の蓄積などを通した全要素生産性(TFP)の寄与である。そのためには,社会改革を含む多様な政策努力が必要になる。
 OECD諸国においては,規制改革,労働市場の柔軟性,高齢化社会への対応などの構造改革が課題であり,学習,就労,余暇などライフサイクルの変化に見合った社会的プログラムの変更や,年金資産の非OECD諸国への投資による収益向上などが提言されている。非OECD諸国の政策課題,食糧,エネルギー,環境の予測と対応策についても論じられる。
 官製のレポートであり,読み物として必ずしも面白い種類には属さないが,データを踏まえた整合的な分析,背後にある経済理論,多数の研究成果の集約など,信頼できる成果といえる。なお解説で,吉冨氏が手際良い整理を行いつつ,本レポート完成後に発生したアジア危機の評価について補っている。
(C) ブックレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

6 件中 1 件~ 6 件を表示