粥川準二さんのレビュー一覧
投稿者:粥川準二
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資源化する人体
2002/07/08 16:14
“バイオの時代”を生き抜くための入門書(著者コメント)
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クローン人間が誕生しそうだというニュースが新聞等をにぎわしています。そのほかヒトゲノム解析だとか再生医療だとか、何やら難しそうな研究が始まり、次世代の産業として注目を集めていることはご存じだと思います。
ところで僕は2001年7月、初めての著作『人体バイオテクノロジー』(宝島社新書)を上梓しました。クローン技術などのバイオテクノロジーの研究や政策をめぐるルポルタージュです。多くの方から好意的な意見を寄せていただいたのですが、その一方で、難しすぎてよくわからない、という感想もたくさんいただきました。確かにバイオテクノロジーの問題を論じるさいには、どうしても多くの専門用語を使う必要があり、難しくてとっつきにくい本になってしまいます。
しかしバイオテクノロジーはすべての人に関係する問題です。病気になれば、先端医療の恩恵にあずかる可能性は高いし、そのさいに採取された血液が遺伝子解析研究にまわされることもありえます。患者になるにせよ、人体材料の供給源になるにせよ、無関係の人などありえないのです。
ならば、わかりやすい「入門書」や「図解本」が必要になります。実は、僕は世の中に出回っている「入門書」の類には大きな不満を持っています。わかりやすい本を書くことは簡単です。情報量を少なくして、難しいことを書かなければいいのです。しかし重要なことはしばしば難しいことでもあるのです。バイオテクノロジーについても数多くの入門書が刊行されていますが、その多くは、バイオテクノロジーが抱える問題を伝えてはいません。
わかりやすく、かつ、重要なことをきちんと伝えること。これが本書を書くうえでの最も大きな目標でした。本書では、ヒトゲノム解析、クローン技術、再生医療を中心にバイオテクノロジーの現状と問題点を、イラストを添えてわかりやすく解説しています。幸いにも、イラストレーターのあべゆきえさんが描いてくれた正確でユーモアあふれるイラストが、僕の文章の弱点を補強してくれました。困難な目標を達成できたと自分では思っています。
なお僕はウェブサイトでもこの問題を論じ続けるつもりです。時間のあるときにお立ち寄り下さい。
粥川準二(科学ジャーナリスト、http://www.jca.apc.org/~kayukawa)
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