今泉 恂之介さんのレビュー一覧
投稿者:今泉 恂之介
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日本語の値段
2000/12/26 15:22
言葉にはそれぞれの価値がある。マイナーな言葉も時と所を得ればメジャーに変身
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「日本語の値段」とは魅力のあるタイトルである。本を読む前から自然に内容が浮かんでくるだろう。英語と日本語の値段ににどれくらいの差があるのか,日本語を学ぶための値段は,最も値段の高い外国語は——。もし言葉に関する事柄を値段で輪切りに出来るのなら興味津々だ。本書はもちろん「値段」を一つの柱とする。しかし総体的な内容は,方言や流行語までを含めた日本語や外国語の格付け,ということになるだろう。
言葉にははっきりと値段が付くものがある。たとえば外国語から日本語への翻訳料はタイプ用紙一枚当たりで,英語,中国語が約5000円,ドイツ語,朝鮮語は約7000円,アラビヤ語,タイ語などは約10000円になるという。ところが各国語の国際的な使用度というようなことになると,値段はつけられない。言葉の格や価値を「値段」と表現した点には,著者もジレンマを感じているようだ。
しかし,本のタイトルとはそんなもの,と割り切った方がいい。本書の価値はむしろ「言葉の値段」から離れた項目にあるように思う。中でも「新方言」に関する記述には,言葉というものに対する認識を新たにさせられた。言語学者の定義する新方言とは,じわじわ普及して新たに市民権を得るような言葉だそうである。確かに,誕生して間もなく消えていく流行語とは別の新しい言葉が存在する。
「ウザッタイ(わずらわしい)」「イカッタ(良かった)」「ヤッパシ(やはり)「オッコッタ(落ちた)」「カタス(片づける)」。このような新方言は地方に生まれ,ひとたび東京に入り込むと,東京発として全国に広まっていくという。言葉は生きている。年々,日々,時々刻々に変化していく。本書はそうした言葉の本質を解きほぐしながら,学者の研究成果を一般読者の前に展開してくれる。
(C) ブッククレビュー社 2000
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