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岩本道人さんのレビュー一覧

投稿者:岩本道人

5 件中 1 件~ 5 件を表示

東アジアの身体技法

2000/11/19 01:18

「身体そのもの」へ肉薄する学際的研究のプロローグ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 気功、仙道、密教から整体術まで、現在身体論関係の本は花盛りである。裏をかえせば、それほど私たちの身体は管理されているということか。本論文集は、東アジアにおける行法に関する、学際的な論文集である。

参加している執筆者は、哲学、宗教学、中国思想、民俗学の錚々たる専門家たちであり、テーマはチベット密教、中国の錬丹術、太極拳、韓国の仙道、日本の巫女、アジアの民間祭祀に及んでいる。技法の理論については、太極拳の体系化における朱子学などの影響を論じた三浦國雄、錬丹術の周天法における心腎交合に男女間の性的ダイナミズムの影響を見る石田秀実などの論文が収録されている。韓国の「国仙道」を論じた野崎充彦の論文は、檀君神話の受容、超能力の実践など、現代仙道の実態を紹介していて興味深い。

 こうした実証的な研究の一方で、自らの病いの経験を手がかりにチベット僧の憑依経験を理解しようとした立川武蔵の憑依論、チベット密教の複雑な観想法について実践経験を交えつつ解説を試みた正木晃の論文、エレウシスの密儀を存在への驚きという観点から今現在の人間の問題として解釈しようとした古東哲明らの主体的な問いかけも印象的だ。

 しかし考えてみれば、一見秘教的なこれらの技法も、畢竟、当たり前の生理作用を利用しているに過ぎない。その当たり前と思いこんでいる身体作用を意識的に操作するところに、管理された身体を越える可能性、弁別以前の「身体そのもの」と出会う可能性が潜んでいると編者は言う。しかし性的技法に見られるように、それは突き詰めていけば両刃の剣でもある。正木晃の仮説では、チベット密教の修行は人為的な精神の分裂状態を引き起こす方法だという。では伝統社会はそこにどのような安全弁を施していたか。怪しげな修行法が横行する今、必要とされているのは、むしろそうした智慧かもしれない。

 惜しむらくは、本論文集にはそうした東アジアの伝統的身体論全体を見通すような議論が欠けている。とはいえ編者も指摘しているように、こうした身体論の歴史は、今までの概念偏重の宗教史からは抜け落ちやすかった部分であり、本格的な研究は端緒についたばかりなのだろう。インド生理学の中国への影響関係の検証、東洋と西洋の身体技法の比較論など、さらなる研究の進展に期待したい。(岩本道人/オカルト史研究家)

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カリフォルニア・オデッセイ 4 癒しとカルトの大地

2001/04/18 17:31

オカルト・カリフォルニアのパノラマ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 神々のアウトレットモールとでも言おうか、ハイテク産業と映画スタジオだけでなく、カリフォルニアが珍奇な宗教の集中する一大霊地でもあることはよく知られている。ただ、その歴史となるとまとまった本は少なかったが、霊地カリフォルニアの歴史を逸話をふんだんに交えて紹介したのがこの本である。一九世紀末に開かれた神智学のコミューンに始まり、かけおちをしたラジオ説教師シスター・エメ、ファシズムともつながるオカルト運動の「アイアム」、性魔術を実践する魔術教団OTO、SF作家の起こしたセラピー宗教サイエントロジー、血なまぐさいマンソン事件や人民寺院事件、仏教や東洋思想の流行、そしてニューエイジ心理セラピーの中心地、エスリン研究所に至るまで、アメリカの「西方浄土」カリフォルニアの一世紀をパノラマのように見せてくれる。なかでも第2章「魔術師のハリウッド」は、死後も交霊会に出現したヴァレンチノ、アル中治療のためにインドへ旅したジョン・バリモア、自らも心霊能力を発揮したメエ・ウエスト、悪魔主義者ラベイの信奉者だったジェーン・マンスフィールド、ニューエイジの女祭司シャーリー・マクレーンなど、銀幕スターのオカルト趣味を綴って興味深い。しかし、本書中で最も印象的な人物を一人挙げるとすれば、ロケット工学者でもあり性魔術の達人でもあったジャック・アーノルドではあるまいか。クローリーに師事し、サイエントロジーの創始者ロン・ハバードと共に性魔術を実践し、ロケット実験の前には魔術の呪文を唱えていたこの途方もない人物は、一九五二年に実験の失敗による爆死という謎めいた死を遂げている。先端技術と古代魔術が共存する、いかにもカリフォルニア的な人物であった。
 ディズニーランドとハリウッドという強烈な毒を秘めた幻想世界が鎮まるこの地は、物理的にも精神的にも、アメリカ大陸の「へり」なのだと著者はいう。現実の「へり」をさまよい歩く風変わりな人士が集まるのもむべなるかな(カリフォルニア人の現実離れした生態については、少し古いが、L・コーレン『西海岸共和国だより』という痛快なエッセイ集が参考になる)。ゴシップ満載の愉快な本であるが、惜しむべきは、何ヶ所かの事実誤認と、数冊の邦訳文献の題名が欠落していること。しかし、こういう狭い閉じこもりがちな話題を、より広い文化史の土俵に引っ張りだし、一つの通史にまとめあげた所は筆者ならではだろう。一般の読者にも読みやすい本になっている。(岩本道人/オカルト史研究家 2001/04/17)

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覚醒のメカニズム グルジェフの教えの心理学的解明

2001/03/13 13:48

グルジェフ・ワークの実践的ガイドブック

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ゲオルギー・I・グルジェフ──言うまでもなく、第一次大戦直前のロシアに出現し、大戦間のパリを中心に活躍した傑出した霊的指導者であり、シュタイナー、クローリーと並び称される。舞踏(ムーブメント)と労働を取り入れたその心身技法(ワーク)は、少数の弟子の間で伝承され、60年代以降は、さまざまなニューエイジ系心理療法や行法の隠れた源泉となっている。ラジニーシ、ノーシス心理学、アリカ・トレーニング、エニアグラム心理学、もちろん本書の著者チャールズ・T・タートも、また彼が中心となっているトランスパーソナル心理学一派もその影響下にある。しかし、影響力と同時に、難解さでもグルジェフのシステムは群を抜いている。オクターブと元素が結びつけられた宇宙論、人間は眠っている自動機械であり、霊魂など存在しないという悲観的人間論、そしてしばしば弟子たちに苦痛と懐疑を与えたグルジェフ自身の逆説と韜晦に満ちた言説。グルジェフのシステムを理解し実践できるよう、晦渋な理論の枝葉を切り捨て、グルジェフの心理学にまとを絞り、現代心理学の成果を活用して、ワークの理論と実際を解説したものが本書である。平易かつ精確な、格好の手引書といえよう。

 本書の優れた点は二つある。一つは、システムを、グルジェフやウスペンスキーの言葉にこだわることなく、現代心理学の知見によって論証している点である。とりわけ、人間は、社会人になる過程の中で一種の催眠をかけられ、合意的トランス状態に入っているとした分析は興味深い。もう一つは、タート自身がさまざまな行法を実践した経験がふんだんに織り込まれ、自修する際、あるいはグループワークに入る際のコツを具体的、実践的に解説している点である。さらに、正しい教師と間違った導師の区別についてのタートの論は必読だろう。この百花繚乱状態の精神世界のマーケットにゴミとダイヤが並んでいることは、今や周知の事実となってしまったからである。もちろん、本書は、厳密な意味ではグルジェフ思想の忠実な紹介とはいえない。グルジェフについての歴史的研究を求める人は失望するだろう。あるいはタートの前提とする理想主義的な人間観が、果たしてグルジェフの絶望に彩られた深い人間観と矛盾を来してないか、そこには論があるだろう。しかし、そうした点を差し引いても、本書はワークの実践を志し、霊的な成長を望む者には格好のガイドブックとなることは間違いない。ウースペンスキー『奇蹟を求めて』、スピース『グルジェフ・ワーク』などと併読されるべき書である。
(岩本道人/オカルト史研究家 2001.03.11)

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『坊っちゃん』とシュタイナー 隈本有尚とその時代

2000/11/19 01:19

忘れられた明治のオカルト研究家

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『丁酉倫理』、隈本有尚といっても、知る人もほとんどないだろう。『丁酉』とは、中島徳蔵、姉崎正治、桑木厳翼など官学系の知識人が集まって結成した丁酉倫理会の発行になる月刊誌である。明治から戦前にかけて教育者や学生に広く読まれたこの雑誌は、道徳論、時局講演などの記事が並び、一見すると堅い雑誌のようだが、よく見ると、岡田式静座法、心霊研究、精神療法などオカルティックな記事が多い。わけても、頻繁に掲載された西洋占星術の記事は、明治時代としては驚くほど本格的なものであった。その記事を書いた人物が隈本有尚(一八六〇〜一九四三)、本書の主人公である。

 久留米出身の隈本は、明治十一年に東大星学科に入学した、ごく初期の天文学者であり、東大の教員をしばらく務めた後は、修猷館中学校長を始めいくつかの学校の校長を歴任した優秀な教育者であった。英語による数学教育を実践し、漱石や子規も彼の幾何に苦しめられたという。その人物、硬骨にして痛快、東大在学中はケンブリッジ大卒の若きエリート、菊池大麓理学部長にたてついて、その数学的無能さを暴露し、山口高等中学校教頭時代には、学生に妥協せず事件を起こしている。その後、明治三六年に洋行した彼は、高名な占星術師アラン・レオより占星術を、ルドルフ・シュタイナーより人智学を学ぶのである。大正三年には『丁酉倫理』などの誌上で、始まったばかりの第一次大戦の趨勢を占い、ドイツの敗北とその後をかなり的確に言い当てるなど、技術的にもかなりの域に達していた。そして大正から昭和にかけて、シュタイナーの文明論、社会論から医学まで人智学のほぼ全貌を紹介し、東西の精神性文化の対話を主張した。古武士的気骨の人は、時代に先駆けた人物でもあった。

 この隈本が、本書の著者の推測するように、『坊ちゃん』の数学教師、山嵐のモデルや否や。状況証拠は本書中に山と積まれているので、その判断は読者にお任せしたい。とりあえず、これほどオカルティズムに精通した人物がすでに明治にいたことを発掘しただけでも、この著書の価値はあるといえよう。執筆までにはかなりの調査を要したと思われるが、文章はそれを感じさせない平明なものである。西欧神秘思想の流入だけでなく、明治の教育や知識人たちについても新たな光を当てたという点で、日本の近代に関心を抱く一般の読書人にもぜひお勧めしたい、一級のノンフィクションである。
(岩本道人/オカルト史研究家)

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ニコラ・フラメル錬金術師伝説

2000/10/12 07:45

錬金術師伝説を解体する

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 錬金術は謎に覆われている。その術も人間も。たとえば十五世紀の大錬金術師ヴァレンティヌスの著作は後世の仮託と言われ、二十世紀初頭に生きたフルカネリでさえ弟子カンスリエの”発明”ではないかと疑われる。たとえ実在したとしても、”大いなる作業”に成功したか否かは闇の中である。
 しかし、その中でニコラ・フラメル(1330-1418)は別格とされてきた。十四世紀のパリに暮らした実在の人物であり、実際に金属変成に成功して財をなし、その資産で教会への寄進や慈善事業を行ったことなど、その事跡を証明する文献資料にも事欠かないと言われてきた。彼がパリのサン・ジノサン墓地に寄進したアーケードに彫らせた寓意図は、錬金術の代表的な図像として頻繁に引用され、彼の著作は古典とされている。しかし、本当にそうなのか。
 彼の生きた時代は十四世紀から十五世紀初頭、一方その代表作『象形寓意図の書』がラテン語から翻訳 出版されたのは1612年。すでに没後200年近くが経過している。その上、ラテン語の原書は発見されていない。しかも十七世紀初頭は、薔薇十字運動や錬金術への関心が高まった時期だったことを考えると、話はそう簡単ではないようである。


 著者ウィルキンズは中世文学・音楽を専門とするソルボンヌ大教授。十八世紀のヴィラン神父による詳細なフラメル伝を参照しつつ、伝説を実証的に解体しようという意図で書かれたのが本書である。前半ではパリの一ブルジョワとしてのフラメルの生涯が描かれている。有能な写字生が、資産運用によって十分な財産を享受することは可能だったということ、錬金術的と言われる寓意図はキリスト教の図像学に則っていることなど、中世研究の常識的な視点によって通説を次々に覆していく。
 要するに生前のフラメルは、今で言えば信心深い実業家であり、その成功は錬金術と関係なかったとウィルキンズは見る。それではなぜフラメルは死後錬金術師となったのか。本書の後半は、凡庸な現実がどうやって神話的な現実に変貌したのか、その伝説発生の迷路のような過程を解体しようという試みである。

『象形寓意図の書』の著者の正体、フラメル伝説の発展(十八世紀にはフラメルゆかりの地を回る錬金術ツァーさえあった)、ヘルメス主義者の研究への批判など、ウィルキンズの実証的批判は細かく多岐に渡っている。その当否については、カンスリエのフラメル伝(『象形寓意図の書/賢者の術概要』所収)を手許において、読者は自らの目で判断されたし。しかし、いずれにせよ、これは錬金術師伝説に関する数少ないデバンキング(暴露)本であり、貴重な邦訳というべきだろう。
(岩本道人/オカルト史研究家)

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