赤岩なほみさんのレビュー一覧
投稿者:赤岩なほみ
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2002/06/21 10:25
「失敗学」の提唱者・畑村洋太郎教授が、今度は「成功の分析」に挑みます。(編集担当者コメント)
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「失敗学」の提唱者・畑村洋太郎教授が、今度は「成功の分析」に挑みます。
失敗は本来、新しいものをつくりだす過程で起こるものです。したがって、失敗のさきには、成功が期待されています。成功してはじめて、失敗体験は「生かされた」といえるでしょう。
しかし、「失敗を繰り返し、失敗体験に学びながら成功にいたる」ための決まった方法など、あるわけがありません。しかし、「ある一定の成果を挙げるまでに繰り返された小さな失敗と小さな成功」を分析すれば、創造の過程でだれもが共通して通る思考の道筋のあることが、見えてくるはずです。失敗のケーススタディである「失敗学」と同じように、「成功の構造」を目に見えるかたちで明らかにすることができるはずです。
そのために本書では、日本で生まれた8つの独創技術をとりあげ、それぞれの開発担当者に、どのような着想から、どのような試行錯誤を経て、どのようなきっかけで、高い評価を勝ち得、また、広く世の中に受け入れられる製品をつくりあげたのかを、語ってもらいました。いわば「頭のなか」を明かしていただいたのです。
そこから浮かび上がってきた「成功の構造」「創造力の正体」を、少しだけお教えしましょう。まず、自分自身で目標を決めていること。楽観的なものの見方を持続できること。さらに……あとは、お読みいただいてのお楽しみです。
創造的な業績の舞台裏を明かす本、たとえば「私の開発物語」といった趣の本は、いままでにもたくさん出版されています。しかし、人間ドラマではなく、「頭のなかの出来事」の記述に徹したものは、あまりなかったのではないでしょうか。
本書がもし、失敗を繰り返しながら成功をめざすすべての人を、少しでもはげますことができれば、これに勝る喜びはありません。
朝日新聞社書籍編集部 赤岩なほみ
【目次】
はじめに 畑村洋太郎
光触媒——筋のよい材料と出会った幸運 東京大学・藤嶋昭
アシモ——柔らかな足でスイスイと歩くロボットをつくろう 本田技術研究所・竹中透
球体シールド工法——「サッカータイプ」の発想 大成建設・金子研一
高吸水性ポリマー——おむつの革命 花王・小林隆俊
TRON——時代がトロンに追いついた 東京大学・坂村健
プラズマディスプレイ——人生の試練を乗り越えて 富士通研究所・篠田傳
すばる望遠鏡——世界一の精度とひきかえに負った大きなリス 国立天文台・家正則
カーボンナノチューブ——炭素のサッカーボールをはずしてチューブに出会う NEC・名城大学・飯島澄男
むすび——創造の条件 畑村洋太郎
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