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福井 憲彦さんのレビュー一覧

投稿者:福井 憲彦

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本ル・ゴフ自伝 歴史家の生活

2000/10/21 00:17

日本経済新聞2000/4/30朝刊

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 歴史家は一体どうやって、歴史の本や論文に見られる歴史像を生み出しているのだろうか。はたまた、歴史家は一体なにを考えて、いにしえの人間社会の軌跡を問い直したりしているのだろうか。こんな疑問をお持ちになったことはないだろうか。
 結果として生み出された歴史書を読んでみれば、おのずとそこに、それらは表現されているはずだ。というのは望ましい姿かもしれないが、現実にはそうもいかない。
 歴史に関する関心が非常に高いフランスでも、おそらくしばらくまえから、そうした興味がいやましているようで、歴史家による自分史の試みだとか、歴史家へのインタヴューがかなり出版されている。おおむねそれらの本は面白い。歴史家たちが、自分の生きている同時代の経験から何を汲み取り、何に反応していたのか、こうしたインタヴューは、ある意味でそれ自体ひとつの現代文化史をなしている。
 本書の語り手ル・ゴフは、二十世紀後半フランスを代表する中世史家であり、現代における歴史研究の世界の大変革に寄与した「アナール派」に深く関与した人物であればこそ、余計にその語りには興味津々のところがある。なにも歴史研究の専門家でなくとも、たとえば現代世界における歴史教育の問題、あるいは歴史と国民的記憶のあり方についてとか、現在の日本でも議論の多い側面についての、フランスでの状況についての証言は、多くを考えさせるところがあるだろう。フランスとヨーロッパに強い愛着を持つ彼の、しかしあくまでリベラルな、人間社会の自由と進歩の発展に寄与したいとする姿勢も印象的だ。
 彼の学者としての自己形成のプロセスや、ポーランド人の妻との出会いといった私的な側面、さらに学問世界内部や政界とのかかわりなど、その人間関係の複雑な様相も興味を引くが、それ以上に、歴史と現在との深い関係を説き「希望の未来」を開くことに寄与するために歴史があるのだとする彼の言説が、その実体験との関係で説かれている姿が印象的である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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