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山本勲さんのレビュー一覧

投稿者:山本勲

3 件中 1 件~ 3 件を表示

日本経済新聞2001/07/15朝刊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 一九六〇年代のアジアは、激動と戦乱に明け暮れた。ベトナム戦争が拡大の一途をたどるさなか、中国は毛沢東が発動した文化大革命によって事実上の内戦状態に陥り、中ソ関係も一触即発の危機を迎えるという、混とんたる時代だった。本書は、この混とんの“仕掛け人”ともいえる毛沢東の内外戦略の分析を中心に、謎(なぞ)に満ちた六〇年代を解明しようとした意欲作である。現在の中国外交を理解するためにも、豊富な手がかりを与えてくれる。
 六〇年代といっても本書が扱っているのは、米軍がベトナム戦争に本格介入するきっかけとなった一九六四年八月の「トンキン湾事件」から、中国が文革に突入する直前の一九六五年末までの一年半である。この間の情勢の推移を、中越、米中、中ソ関係と、中国の軍事戦略、内政(特に文革との関連)の五つの軸で、詳細かつ縦横に分析している。
 著者は、この一年半の推移が米中接近から、両国が暗黙の戦略的提携関係を構築するに至った一九七〇—八〇年代の世界情勢を決定づけたと論じているが、説得力がある。希代の戦略家だった毛沢東は、戦争や政治闘争において常に敵を一つに絞ってきた。ところが米国がベトナム戦争に本格介入し始め、米中戦争も懸念された六〇年代半ばに、ソ連と激しく敵対し、国内では文革を発動するという、謎の行動に出た。
 しかし、著者のきめ細かな検証によると、毛沢東はまず米国との虚々実々の駆け引きの中で米中戦争は回避できるとの確信を得た。そのうえで彼は、むしろベトナム戦争の緊張を利用して、毛路線を否定するソ連や、ソ連との結託を疑った劉少奇らの党内実権派打倒を目的に文革を発動した。
 A5判で六〇〇ページ近い大作だが、読者をあきさせることはないであろう。著者自身が九〇年代に行ったファン・バン・ドン元首相ら当時の北ベトナム首脳へのインタビューや、この十年余りの間に中国やロシア、米国で解禁された興味深い情報を豊富に盛り込んでいるからである。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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日本経済新聞2002/05/05朝刊

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 中国経済といえば安い人件費を武器とした労働集約産業の強さに目が向かいがちだが、実は近年の高度成長の推進役は電子機械などの知識集約型ハイテク産業である。本書は中国のこの分野の急速な発展の秘けつや現状と展望を、多様な角度から総合的に分析した力作である。日本経済の今後を考えるためにも、著者の言う「中国の知識型経済」の全体像をまず直視すべきで、本書はそのための確かな手がかりを与えてくれる。
 「世界の工場、中国」との呼称がこの一—二年で一般化した。中国が「安くて良い製品」の大供給地に脱皮したことは確かだが、それは物事の半分に過ぎない。中国はコストや品質に加え、技術面でも競争力を急速に強めつつある。
 中国の電子機械製品の輸出は二〇〇〇年に千億ドルを突破、全輸出の四三%を占めて四年連続で最大の輸出品目となった。中でもパソコン生産では世界シェアの三六%を占めるなど、中国が「IT(情報技術)・ハードウェアの生産で日本を抜いて世界二位に躍り出るのは時間の問題」となった。
 本書はこうした知識集約産業の発展経過を、一九八六年の
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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日本経済新聞2001/04/15朝刊

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 現代中国の支配のメカニズムを、骨格をなす官僚制度と、行為主体である官僚の、特にインフォーマルな行為の両面から分析した力作である。興味深いのは、社会主義革命を経たにもかかわらず、中国の官僚制度や官僚の行動パターンが古来受け継がれてきた伝統的なそれと高い共通性を有していることを、広範な文献を用いて考証した点である。中国の重要課題である政治体制改革のあり方を考えるために、示唆に富む書である。
 著者は八九年の天安門事件後にこの研究を始めたことを「まえがき」に記している。学生や知識人の民主化運動が弾圧された後、著者は「冷静、科学的に現代中国の支配のメカニズムを研究する必要性を痛感した」。真の民主化には、一時の政治的熱情よりもこちらの方が重要と考えたからだろう。
 十年の研究は豊かな成果を上げた。前半では社会主義中国の官僚制度分析を行い、後半では官僚の行為パターンを、インフォーマルな行為に光を当て浮き彫りにした。現代中国は計画経済から市場経済への転換を遂げたから、共産党下の官僚制といっても内実は大きく変わった。
 計画経済期には官僚が内部規定によって特権を有し、「組織的汚職」の性格も強かった。しかし市場経済化とともにそれが薄れ、「個人的汚職」がとって代わったといった指摘は説得力がある。官僚の等級が二十七もあり、経済的待遇や身分的地位に細かい序列、格差が設けられている。これは伝統的官僚制が品(身分)、官(職位)、禄(俸給)の三位一体の位階性をとっていたのと変わらない。
 著者は中国社会に古くからある「人情」、「感情」、「顔」、「面子(メンツ)」といった言葉の意味を、日欧諸国と比較し、大きな違いがあると強調している。中国ではこうした言葉の背後に独特のインフォーマルな利益交換の仕組みが存在し、それは伝統中国の価値分配システムの不備に由来するという。中国の政治体制改革はこうした特性を十分に理解、直視したうえで進めなければ空回りしかねないことが暗示されている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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