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竹内オサムさんのレビュー一覧

投稿者:竹内オサム

11 件中 1 件~ 11 件を表示

紙の本

紙の本赤色エレジー

2000/12/05 15:25

『赤色エレジー』はいまなお新鮮だ。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1970年から『ガロ』に連載されたマンガ。アニメーターの一郎とサチ子がアパートに同居、その鬱屈した生活を様式化したタッチで描く。上村一夫の『同棲時代』とともに、“同棲”なる風俗を生み出した。この作品にもとづいたあがた森魚の歌も大ヒット。
 『赤色エレジー』はいまなお新鮮だ。学生運動、アングラ劇、ドラッグ、フーテン、ミニコミ、自主上映と、60年代後半は若者を中心に、カウンター・カルチャーが勢いをもった時期。この作品も、当時の雰囲気を色濃くもつ。しかし、いまでもふしぎな魅力が。デザイン化された描線は、当時話題のつげ義春の影響を受けつつ、より都会的に洗練されていた。その点、古さを感じさせない。イラストとして見ても、自律した構図をもつ。
 作品には、若者のせつない生活風景が切々と描き出されていた。一方には、かすかな希望も。そのふたつの感情が、布団と星という素材に象徴化されている点もおもしろい。

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紙の本

紙の本つげ義春を旅する

2001/09/11 15:25

『ガロ』の編集者の回想録

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「ねじ式」「赤い花」など、独自の作風で知られるマンガ家つげ義春。雑誌『ガロ』の編集者として、そのつげに、ずっとつきあってきた著者の回想録である。と言っても、ただの回想録とは違う。タイトルにあるように、著者は文字どおりつげ義春を旅していく。つげの作品の舞台を求めて、近隣から東北のひなびた温泉宿まで足をのばす。つげ義春的風景を求めた、きまぐれな旅の日記なのだ。思えばつげ義春ほど、好き嫌いの別れるマンガ家はめずらしい。「わかる/わからない」ではなく、「感じる/感じない」というレベルで読者を峻別する作家だからだ。この回想録も、その点で好悪が別れるはず。とはいえマンガのイメージは恐ろしいもの。ぼく自身、板塀のすすけた旧家に出会うと、つげのあの絵柄がすぐ頭に浮かぶ。細密なモノトーンの画像に支配されてしまうのだ。自然が芸術を模倣する、というやつか。マンガとは、そんな力も兼ね備えている。(竹内オサム/マンガ評論家 2001.5.15)

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紙の本

紙の本植物のこころ

2001/09/06 17:29

身近な植物を、あらためて見直すきっかけに

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 タイトルに迷わされてはいけない。「植物のこころ」なんて聞くと、人間のように植物にも喜怒哀楽の感情があるように受け取ってしまう。それを実証した本なのかなと一瞬思ってしまう。でも、事実は逆だ。植物は人間のような心を持たない。しかし、植物なりの巧妙な生の営みをくりかえす。ときには、「こころ」が存在するかのような振る舞いさえする。そうした事例を解説し、植物の生物としての知恵としたたかさを、わかりやすく伝えるのがこの本だ。植物は逆立ちした人間であると考えたのは、プラトンだったか。確かに類似点はあるものの、植物はやはり植物なのだと、読み進めつつ納得できる。人間の手が加わった植物の多くがクローンによるものだという件は意外。巻きついた相手を絞め殺すツタの話や、個体性を区分するラメットやジェネットの概念など、読んでいてタメになることがらが多い。身近な植物を、あらためて見直すきっかけになる一冊だ。(竹内オサム/マンガ評論家 2001.6.5)

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紙の本

紙の本爆笑問題太田光自伝

2001/08/31 15:48

淡々と綴られる回想

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 案外まじめな内容だ。爆笑問題の太田光の自伝などというと、不真面目な本なのかなと想像してしまう。とりとめない冗談が続くのかと思いがち。でも実際はちがう。前半はいいかげんなやりとりが続くが、芸人を志す20歳前後の回想談になると、意外に話がリアルでおもしろくなる。わりと真面目に、当時のことを回想しているのだ。売れなかった頃の苦労、一度はデビューしたものの、そのあとのパッとしない日々の連続。そうした時期の思い出話が、淡々と綴られていく。芸人としては、かなりの個性派。太田光の人間的魅力は、どちらかと言うと東京人向きなのではないだろうか。大阪の芸人はネアカでないと大衆に支持されない。客に向かって講釈を垂れるタイプは、どうも嫌われる。でも東京はちがう。立川談志、ビートたけしなど、ひとくせもふたくせもある芸人がもてる。冷ややかな視点の持ち主に人気が集まるのだ。太田光もその一人なのだと思う。(竹内オサム/マンガ評論家 2001.7.3)

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紙の本

紙の本8時だョ!全員集合伝説

2001/08/28 14:17

プロデューサーによる回想録

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 なつかしいドリフターズのバラエティ。いつもワースト番組1位で世の批判をあびながら、子どもたちに絶大な支持を受けた番組だった。1969年から85年まで16年間の長きにわたって放送され、つねに高い視聴率を維持。「チョっとだけよ〜」とか「カラスのかってでしょ」などの流行語もなつかしい。それにセットも大がかりで、ぼくなどはもう大人だったはずだが、ずっと観ていたから不思議だ。確かにおもしろかった。その担当プロデューサーによる回想録が、この本。あえて生放送にいどみ、有名タレントも多数出演させるなど、著者のアイデアが番組をリードしていく。当時大人気だったコント55号のアドリブ・ギャグに対抗し、計算されたギャグを前面に押し出すなど、直接その戦略が伝わってくる。突如の停電や火事などのアクシデントも紹介、リアルに当時の舞台裏を知ることができる。そうか、もうドリフの活動も、すでに歴史のひとコマになってしまったんだなあー。(竹内オサム/マンガ評論家 2001.8.31)

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紙の本

紙の本子どものことを子どもにきく

2000/11/09 15:30

置き去りにした幼いときの自分に、再度めぐりあってみたいというあなたに

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 子どもの言葉はおもしろい、幼なければ幼いほど。無理にそうしてるんじゃない。大人と感覚が違う、視点が異なる、発想にズレがある、などなどの理由から、奇妙な言葉が自然と生み落とされるのだ。杉山亮のこの本には、そんな言葉がつまっている。サンプルは自分の子ども、隆くん。3歳からはじまって10歳まで、年に1回のインタビューを実施、その8年間の記録となっているのだ。ただし「記録」と書くにはためらいが。実際は聞き役にまわる親の方も気軽、子どもも自由に言いたいことを言う。そんな自由な雰囲気があふれていて、やり取りそのものが愉快だ。児童書の作家である著者は、子どもをいっぱしの存在として認める。無理に何かを聞き出そうとはしない。話の流れに身を任せながら隆くんを見守る、見守りつつ奇妙な発想を楽しもうとする。そういう視点がいい。どこかに置き去りにした幼いときの自分に、再度めぐりあってみたいというあなたに、ぜひ。

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紙の本

内面の変化をじっくりと

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 リストラの嵐が吹き荒れている。他人ごとではない。新たな人生の選択を迫られている人が実際身近かにもいる。加藤仁の『人生を楽しむ』は、そうした人々に数多く取材したレポートだ。脱サラして居酒屋を開いたり、ビルの清掃業に、またコンビニを経営したりなどなど。進んでそうした人もいれば、やむなく他の職を求めた人もあって、人生はさまざま。いっこうに景気回復の様子が見られない今、いろいろと考えさせる本なのだ。身につまされると言ってもいい。

 この本のいいところは、当事者たちの内面の変化をクローズアップしている点にある。大企業でのストレスで心身がぼろぼろに、それよりたとえ小さな店でも生き甲斐のある生活の方がいい。生活は苦しいが楽しい毎日。負け惜しみと言われるかもしれないが、ともかくそうした生活者の心情がよく描かれていて好感がもてる。不況は今後さらに深まるのか。本当はこうした本の生まれない方が幸せなのだが。(竹内オサム/マンガ評論家 2001.3.13)

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紙の本

紙の本インターネット犯罪

2001/10/01 19:17

子どもの頃から教えておこう

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 インターネット上のさまざまな犯罪を解説した本。具体例をあげ、事件の経過を手際よく読者に知らせている。素材が身近だ。新聞や雑誌の記事等で、事件のあらましを知っているものもいくつか。ペンタゴンや中央省庁へのハッカー攻撃の実態、その防御策。また、その一方、犯人へのアプローチに、天才的な若手プログラマーの活躍があったことなど、読んでいてスリリングだ。「エシュロン」という、世界中の通信データを盗聴、傍受するシステムが、アメリカ主導ですでに稼働しているという話題もぞっとさせる。見えないところで、危険なワナがいくつもしかけられているのだ。そうした事実に、一般の人は案外無関心なのではないか。まして、パソコンをもたない人はなおいっそう。インターネットは便利なもので、知識や興味の枠を広げてくれる。けれどその一方で、こうした落とし穴があることも、子どもの頃から教えておく方がいい。著者もその点を強く求めている。(竹内オサム/マンガ評論家 2001.4.10)

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紙の本

紙の本子どもに教わったこと

2001/01/26 19:57

子どもという存在に関心をもつ人に、是非読んでほしい本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 灰谷の本は、いまなお読みつがれている。一時期教師のあいだで、教祖的存在となっていた灰谷。その実践記録や児童文学は、多くの人々の心をとらえたものだ。時代は20世紀から21世紀へ。しかしながら、子どもを取り巻く環境が良くなったとは思えない。悪くなる一方という印象を受ける。そうであるからこそ、灰谷の本がふたたび注目を集めているのだと思う。児童文学というジャンル全体が、沈滞ぎみであるのとはうらはらに。本書『子どもに教わったこと』は、灰谷のこれまでの歩みを、簡略にたどりなおせる本。教師生活のスタートから、児童詩誌『きりん』への参加、林竹二との出会いに、沖縄での生活まで。そのあいだにめぐりあった子どもたちとの交渉が、真摯な態度で綴られる。教え、教えられるという緊張感のなかに本当の教育がある、本当の優しさとは厳しさをその内に含む。灰谷はそう主張する。子どもという存在に関心をもつ人に、是非読んでほしい本だ。

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紙の本

ピーナッツの世界をより深く理解できる本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者2冊目のピーナッツ論。前書と異なり、シリーズに登場するチャーリー・ブラウン等の人物や、物語のテーマにひたすらこだわる。作品の背景、アメリカの精神風土などを解説し、ピーナッツの世界をより深く理解できるようになっている。マンガも多数引用して、わかりやすい。このマンガ、日本では欧米ほどの人気はでなかったはず。スヌーピーのとぼけたキャラクターが、固定ファンを得た第1の理由ではなかったかと思う。しかし、作品世界は哲学的な内容をもつ。また、アメリカ人の生活風景や精神風土が濃厚に映し出されているという。そうしたところをクローズ・アップする点に特徴がある。たとえば、年配のアメリカ人はなぜバニラを好むのか、小鳥のウッドストックはなぜ鷲になろうとするのかなどなど、マンガに描かれた文化背景を要領よく解説している。わが国の「サザエさん」のような国民マンガ、民族の価値観の反映であることがよくわかる。

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紙の本

日々生み出されている民間説話を幅広く紹介し、現代人の生活の諸相を問う

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 松谷みよ子は、日本を代表する児童文学の作家。「ちいさいモモちゃん」「竜の子太郎」などの作品で知られる。その松谷が力を入れるもうひとつの分野、それが民話の採集だ。
 本書では、なかでも現代の民話を幅広く紹介。いま、こんな話が広まっているのかと、驚かされることしきりだ。
 現代の民話という言い方に、とまどう人も多いはず。民話=昔話と思われがちなために。しかし、松谷は言う。現代のさまざまな事件が、民衆に語り継がれる話=現代の民話を日々生み出しているのだと。
 たとえば、公害を知らせにきた河童の話、幽体離脱や学校の怪談など。どれもこれも、現在進行形の事件が、人の口を媒介に文芸の形をとっていく。それが共通の形に整えられていく。
 いわば、都市伝説やうわさと重なる分野。それを民間伝承の側面からアプローチする点が特異だ。語り口も平明で、わかりやすい。

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