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奈良  雅弘さんのレビュー一覧

投稿者:奈良  雅弘

3 件中 1 件~ 3 件を表示

人材プロファイルに基づく報酬・年金のあり方を,独自のポートフォリオを駆使して,緻密に論証

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 本書の意義は,大きくは次の2点に集約される。まず第1は,これまでまったく別個の問題として扱われてきた「年金・投資」という問題と,「人材マネジメント」という問題とを,一元的に論じようとした点である。著者の言葉を借りれば,「人事屋からみると,年金という財務寄りのデジタル世界が,実は人材マネジメント上まだ手つかずの金鉱だということが分かり始めている。他方,年金・財務屋からみると,人材マネジメントへの影響を考えることなくして,年金・財務問題の『解』はないことがわかりはじめている」のであり,両者を統合的に論じることが,現在の企業経営を考えるうえで,不可避だと考えられているのである。
 第2は,まさにこうした観点のもと,人材を企業からみて一種の「投資対象」と考え,人材プロファイルごとの「報酬」「年金」のあり方を,ポートフォリオ上に整然とプロットした点である。一方の極にはアルバイト(「引き離し」のしやすさを重視する人材群)のように,金銭によって短期的に報いる制度を用意し,一方の極には,企業の中核となるような高度な人材群(コア人材群)に対し,できるだけ彼らを「引き止め」るため,長期的にメリットが出るような報酬・年金制度を用意する。このような方法で,これまでバラバラに論じられることの多かった「人材」「報酬」「年金」に関する諸制度を,1つの平面上で統合的に論じたことは,本書の大きな成果であるといっていいであろう。
 本書で論じられている諸制度は,依然として大企業の既成制度の改良系としてのそれであり,現在の日本に求められている真の起業家型人材(たぶん彼らは年金を人生のインセンティブにはしていないはずだ)を生み出すものとは思われない。しかし,人事をめぐる議論が,ようやく一定の科学性を持つようになったという点で,本書は十分に評価に値しよう。
(C) ブックレビュー社 2000

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紙の本観光ビジネス論

2000/07/22 06:15

21世紀の重要産業である「観光ビジネス」のあるべき姿を第一線の研究者たちが,体系的に考察

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 本書の編著者である長谷政弘氏(日本大学商学部教授)が冒頭で述べているように,「観光ビジネス」は,現在の日本経済の中にあって,相当に重要な地位を占めているにもかかわらず,これまで学問的な探求のあまりなされてこなかった領域である。というか,個々の業界(たとえば旅行代理店業界とかホテル業界など)に関する調査・研究は多々存在していたものの,それを「観光ビジネス」という統一的な視点から考察しようとする考えはあまりなく,いわば中心部が巨大な空白域となった「真空地帯」として,観光をめぐる本質議論が取り残されることになったということのようだ。
 本書は,このような現状認識に基づき,さまざまな観光関連の業界を,「観光ビジネス」という統一的な観点から探究してみようとした意欲的な一冊である。そもそも「観光ビジネス」とはどのような概念であるかに始まり,観光ビジネスの経営に関する一般理論,観光行動に関する一般理論,すべての関連業界において考慮すべきマーケティング要素といったテーマに幅広く言及しており,観光ビジネスに関する入門書として,バランスのとれた内容となっている。
 もっとも,本書の真の重要性は,恐らくそうした網羅性にあるのではない。本書が何よりも意義深いのは,「観光ビジネス」という統一コンセプトに事寄せ,各関連業界が,いま早急に共同で取り組まねばならないテーマを提示している点にあるのではなかろうか。それは,長谷教授の用語を借りれば,「ホスピタリティー・ビジネスへの転換」であったり,「環境問題への対応」であったり,「高齢者・障害者へのバリアフリー化」であったりする。要するに,「観光ビジネス」もまた,いまわが国のすべての産業が直面している重要問題から逃れられないのであり,業界を超えたコラボレーションによって,この難題に取り組まねばならないというのが,本書の中心メッセージなのである。
 ただ,惜しむらくは,本書は15名を超える著者の共同執筆であるため,それぞれのトーンが大きくバラついており,長谷教授が意図した世界が実現しているとは,残念ながら言えないように思う。たとえば,顧客(観光客)の目から見たとき,業界ごとの垣根がいかに不便なものと感じられるかなど,もっともっと「業界横断的な視点の必然性」に目を向けて書きこんでもらえたなら,読者にとってより読みごたえのある内容となったのではなかろうか。労作であるだけに,その点は非常に惜しい気がするが,それをマイナスしても,本書が「観光ビジネス」について初めて本格的に論じたという価値は高く評価でき,観光にかかわるすべての人に,ぜひとも読んでいただきたい一冊であるということができる。
(C) ブックレビュー社 2000

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現代の戦略理論を体系的かつ平易に説いた1冊。過去50年に及ぶ実証研究から,戦略の法則性を明らかに

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 経営用語というのは,川面に浮かぶ泡沫のようなものだと,よく思う。ある言葉が流行ると,猫も杓子もその言葉を使い,何でもそこに話をもっていかないと済まないような雰囲気になるが,少し時間が経つと,何となくその言葉を使うことが気恥ずかしいような状況になり,やがて誰もその言葉を使わなくなっていく。かつてのリエンジニアリング・ブームなどがその最たるものであろうが,流行現象として生まれ,はかなく消えていく経営用語の,何と多いことであろうか。
 本書の特徴の1つは,特にこれといって目新しい経営戦略用語のようなものは登場してこないことである。大競争時代の競争の特徴,多国籍企業経営,環境経営,コア・コンピタンスなどの,最新の経営テーマに対しても,深い洞察がなされており,十分に現代的な内容となってはいる。しかし,アメリカ直輸入の最新用語をふりかざしたり,思いつきの造語を乱発するといったことは,まったくない。その意味では,オーソドックスに過ぎるといってもよいぐらい,生真面目な内容なのである。
 しかし,そうした表層的な新奇さがない代わりに,ここには,多年にわたって経営理論を研究してきた人だけが描きうる,地に足のついた,「真の経営知」というべきものが,確実に存在する。たとえば,「提携と買収」というテーマひとつを取り上げてみても,なぜ企業は提携や買収を行なうのか,その成功の条件は何なのか等について,ここまで平易に,その本質(原理原則)を述べてくれた例を,かつて私は知らない。著者自身,「法則性の研究に重点を絞った」と語っているように,おそらくは,膨大な実証研究と思索の時間がそこにあり,はじめてそうした内容は可能になっているのであろう。
 つまり本書は,巷間粗製濫造されているビジネス書にはない,「泡沫ならざる経営知の世界」を提示してくれるものであり,経営学を初めて学ぶ学生などにとっては,「経営の原則を学べる入門テキスト」として,またビジネスの最前線で働く人々にとっては,実践場面に適用できる「経営指南書」として,きわめて幅広く活用できる1冊になっているといえるわけである。
 なお,著者の河野豊弘氏(学習院大学名誉教授)は,経営学の泰斗であり,20世紀後半の世界の企業の盛衰を,研究者の目で多年にわたって観察されてきた方でもある。したがって,その方の総決算ともいうべき書物である本書は,20世紀の経営知の総決算といった角度からも読むことができる。380ページに達する大作であるが,事例の豊富さなどもあって,さほど負担に感じずに読むことのできる点も素晴らしい。
(C) ブックレビュー社 2000

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