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  3. 杉江松恋さんのレビュー一覧

杉江松恋さんのレビュー一覧

投稿者:杉江松恋

16 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本非合法員

2002/03/20 00:28

79年に刊行された船戸の小説家デビュー作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 非合法員とは情報組織に雇われたプロの暗殺者のことだ。メキシコ政府に雇われた日本人イリーガル神代恒彦は、ユカタン半島に潜む反体制運動の指導者を始末した。だが、その直後、仲間の1人に報酬を全額持ち逃げされ、しかも後を追おうとして向かった空港では、正体不明の敵からの狙撃が待っていたのだ。常に追う側にいた非合法員が追われる側に逆転した!敵の狙いは何か?そして、神代は生き残ることができるのか……?
 79年に刊行された船戸の小説家デビュー作であり、この小説が80年代の冒険小説ブームを呼んだといっても過言ではない。国際政治の中で犬死させられていく者たちの群像を描く船戸小説の定型は、ここで既に完成している。本書は理論書「叛アメリカ史」(ちくま文庫)の小説による実践というべき作品だが、その後のメキシコについてはルポルタージュ「国家と犯罪」(小学館)と、小説「午後の行商人」(講談社)で書き継がれている。

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紙の本山猫の夏

2002/03/20 00:26

「正史」から抹殺された「叛史」を描く傑作!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ブラジル東北部のエクルウは、アンドラーデ家とビーステルフェルト家によって封建的に統治される町だ。その町に現れた“山猫”こと弓削一徳。熱帯の暑さにも関わらず、黒のタキシードを一分の隙もなく着こなす謎の男だ。町に流れる不協和音を高め、血の雨を降らせんとする山猫の狙いは何か? そして、その正体は? ある事件をきっかけに、町は崩壊への途を辿り始める。
 「正史」から抹殺された「叛史」を描くというテーマは、「山猫の夏」に始まる南米3部作によって明確になった。また、本書はダシール・ハメット「赤い収穫」(ハヤカワ文庫)の物語構造を借景として用いる小説でもある。ハメットは小説から感傷の入りこむ余地を一切排除したが、それは船戸が小説世界を構築するときに目指したことでもあった。彼のハメットへの傾倒は、「闇の中から来た女」(集英社)を自身で翻訳したことからもうかがい知れる。

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紙の本滅びの笛

2001/02/06 15:30

ミステリーコーナーより

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 120年に1度クマザサの花が咲いて実をつけるとき、生態系のバランスが崩れ、おびただしい数の鼠が発生するという。環境庁に勤める沖田はその異変を察知するが、上司には受け入れられない。愚かな人間たちが手をこまねく間に、破滅の時は迫っていた。
 同様テーマは開高健「パニック」が先んじているが、本書は人災の愚かさと滅亡に直面した人間の醜さを描いた点が際立っている。鼠嫌いは読むべからず。 

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紙の本虹の谷の五月

2002/03/20 00:30

フィリピンの政情不安を背景に、少年の人間的成長を描く

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 日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた13歳の少年トシオ・マハナンは、祖父とともに、ガルソボンガの小村に住んでいる。5月のある日、ガルソボンガの平穏な暮しは1人の女によって突如かき乱された。金のために故郷を捨てた女、クイーンが村に戻って来たのだ。トシオはクィーンの目指す「虹の谷」への道を知っていることから道案内に雇われるが、そのことが彼の人生を大きく変えることになった。
 船戸によれば、冷戦構造崩壊後の冒険小説を再構築するためには、主人公を幼い少年に設定する必要があったという。主人公トシオが社会矛盾を自覚していく過程に、船戸自身も自らを重ね合わせてみなければならなかったのだろう。対日本軍、対マルコス政権と、常に解放のための闘いを強いられてきたフィリピンの政情不安、倫理の腐敗を背景に、少年の人間的成長を描く船戸の新たな代表作であり、遅すぎた直木賞受賞作である。

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紙の本竜神町竜神一三番地

2002/03/20 00:24

先進国の顔をした日本の裏にあるもう1つの顔

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 梅沢信介は元刑事だ。逮捕した凶悪犯の口に拳銃を突っ込んで脳味噌をぶっとばした時、職とともに人生のすべてを捨てたのだ。酒に溺れる信介を拾ったのは、高校時代の同級生だった新谷富次だった。彼が町長を務める長崎県・五島列島の龍神町で進行している不正をつきとめ、告発してほしいというのだ。酒を抜き、体を鍛え直して龍神町に向かった信介だったが、彼を出迎えたのは島を牛耳る警察官・諸井だった……。
 「蝦夷地別件」を例外として日本を舞台にした小説を書かなかった船戸が、98年の「海燕ホテル・ブルー」、99年の本書と、続けて日本の小説を書き下ろしている。その狙いは何か? 小説の中にその答えはある。公共事業資金の流入により崩壊する地場産業、金を握った人間が町を支配する図式。これらは途上国の状況となんら変わることがない。先進国の顔をした日本の裏にあるもう1つの顔を、船戸はこの小説によって告発したかったのではないか。 

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紙の本烈風

2001/02/06 15:28

ミステリーコーナーより

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 気象予報士のペリイは、困った誘惑にとりつかれた。同僚のセスナに乗って、カリブ海上に発生するハリケーンの“目”に飛びこむという冒険行だ。
 誘惑耐えがたく二人は飛び立ち、そして墜落した。ペリイがクリスとはぐれて流れ着いたのは無数の牛が放し飼いにされる奇怪な無人島。そこで彼を出迎えたものは……。
 冒険小説の原点は大自然との格闘だが、本書ほどそれを馬鹿正直に実践した小説も珍しい。 

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紙の本鈍い球音

2001/02/06 15:09

ミステリーコーナーより

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 日本シリーズ開幕を目前に控えたある日、ペナントレースの勝者・東京ヒーローズの桂監督が失踪した。それも団体客で賑わう東京タワーの展望台から忽然と姿を消すという、奇怪な状況で。やむなく代理監督を立てて日本シリーズに臨んだヒーローズだったが、さらなる怪事がチームを待ち受けていた……。本格ミステリーの名手が描く、野球小説。プロ野球にからむ人々の心理のあやが織りなす事件のさまを魅力的に描いた傑作である。 

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紙の本新人王

2001/02/06 15:06

ミステリーコーナーより

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 30年のキャリアを誇る競輪選手が、自動車事故で死亡した。競輪記者の吉沢は、死の背景に疑いを抱き独自に調査を開始する。だがその線上に浮かんだのは、意外にもある新人選手をめぐる複雑な人間関係だった。
 ラインを組んでの連携プレイ、筋力の限界を見据えた作戦展開。競輪は単なるスプリントではなく、むしろ格闘技に似た複雑さを持つスポーツだ。本書はさらに、競輪バンクに去来する感情の渦を描くことに挑戦し、成功している。 

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紙の本鷲の驕り

2001/02/06 14:46

ミステリーコーナーより

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 コンピュータ・セキュリティの専門家、笹生勁史は、通産省から極秘の依頼を受けた。日本企業相手の特許訴訟で巨万の富を得ている発明家を調査してほしいというのだ。日米の特許法の違いを利用した悪質な欺瞞の可能性がある。そのころ、笹生の働きによって逮捕された天才ハッカー、ケビン・マクガイヤは3年の形を終えて出獄し、再びネットの世界へと復帰しようとしていた。特許利権をめぐる暗闘をリアルに書いた国際謀略小説。 

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紙の本そして人類は沈黙する

2001/02/06 14:44

ミステリーコーナーより

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 次々に女性を屠っていく《LAの切り裂き魔》。交際サイトのデータベースをハッキングし、犠牲者の情報を仕入れる狡猾な殺人者は、警察の必死の捜査を嘲笑するかのように犯行を繰り返した。一方、オクスフォードの英才科学者テッサは人工知能プログラム〈フレッド〉を開発するが、ある時点から搭乗予定の飛行機が墜落するなどの奇禍にみまわれるようになる。2つの事件につながりは……? ネットを題材に、現在の怪物を描く。 

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紙の本イコン

2001/02/06 14:43

ミステリーコーナーより

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 警視庁生活安全部少年課の宇津木警部補は、アイドル・コンサートの最中に少年がナイフで刺殺される現場に出くわした。それは、アイドル自身はステージに姿を現わさないという奇妙なコンサートだった。なぜならば、主役の有森恵美はネット・アイドルとして、パソコン画面の中だけに生きる存在だからだ。事件の真相を追ううちに、宇津木はネット界の奇妙な現状を知ることに……。警察小説の名手が、漂流する都市風俗を活写する。 

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紙の本症例A

2001/02/05 17:45

ミステリーコーナーより

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 S精神科病院に新しく赴任してきた医師、榊は亜左美という仮名で入院している少女の診療を担当することになった。前任医師は彼女を精神分裂病と診断していたが、榊は徐々にその考えに疑問を抱くようになる。亜左美の妙に馴れ馴れしい態度、気分屋すぎるほどの性格、それらは違う理由からくるものなのではないのか……。だがその真相は、榊の予想すらはるかに凌ぐほどに意外なものだった。枚数にして過去最大、多島斗志之の新しい可能性を示す問題作、ついに完成。 

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紙の本配達される女

2001/01/18 21:13

ミステリーコーナーより

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 御茶ノ水署・生活安全課保安二係の斉木斉と梢田威は小学校からの幼なじみのコンビだ。
 ただし、斉木は警部補なので梢田より2階級上。梢田がヒラのままなのは、昇級試験間近になると斉木が残業を押しつけて勉強の邪魔をするせいだ——と、梢田は思っている。
 2人はとびきり優秀でもないが、ダメ刑事というわけでもない。気のおけない間柄だから、チームワークだってそれなりにいいのだ。
 だから、保安二係に御茶ノ水署初の女性刑事が転属になって来ると聞いて、2人は慌てた。しかもその人、五本松小百合には、名前とうらはらのとんでもない素顔があった!
 自分のことを名字で呼ぶ女には気をつけた方がいい。だいたいの場合においてこの法則に間違いはないが、五本松小百合も期待を裏切らない曲者だった。
 はたしてお気楽男たちは保安二係の主導権を握り続けていられるのか? 好評『しのびよる月』に続くユーモア警察小説シリーズ第2弾。 

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紙の本死者の靴

2001/01/18 21:11

ミステリーコーナーより

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 イギリス・キャルセットシャー州の田舎町キャルベイで、ある日変死体が発見された。沖合いでロブスター漁船の網に引っかかったのだ。死体の身許はキャルベイの居酒屋で働くボーイと知れたが、その居酒屋には普段から密輸に関係しているとの怪しい噂があった。
 ロンドンの弁護士ジョシュア・クランクは、居酒屋の主人に着せられた嫌疑を晴らすために死因審問の法廷に乗り込んでいくが……。
 名探偵レジ・フォーチュンの創造者として知られるベイリーが産んだ、もう1人の名探偵がこのジョシュア・クランクだ。やたらと聖書を引用して人を煙に巻く老獪な人柄を反映してか、一見単純に見えるこの事件にも入り組んだ真相が隠されている。
 開発に絡む利権争い、上流階級と中流階級の人々との潜在的な対立関係、名士たちの間に漂うゴシップの香り——と、1940年代の社会の実相を十分に活写して余りない。これぞ英国古典ミステリーの本寸法だ。 

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ミステリーコーナーより

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 1981年のマンチェスター。18歳のジェイク・パウェルは、芽生えたばかりのクラブ・シーンに巣食うろくでなしだった。一晩分のスピード代のために体を売る生活。毎日がパーティで、快楽の波の上を器用にすべりまわることだけがすべての、空虚で孤独な10代の日々。ある殺人事件をきっかけにして、彼はその生活から脱け出した。すべてを捨てて、ロンドン行きの列車に飛び乗ったのだ。それから15年、カジノの支配人となったジェイクの元に1人の刑事がやって来た。ジェイクの知人の男娼が殺された事件について、彼の協力を求めるために。捨てたはずのマンチェスターの過去が、再びジェイクを呼び戻そうとしている……。
 アーヴィン・ウェルシュ以降、にわかに脚光を浴び始めたUKクライム・ノヴェルだが、ついに本命登場だ。英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガーに輝いた本作は、猥雑なモティーフの背後に魅力的な謎をしのびこませた、独創的なミステリーである。
 

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