高橋 乗宣さんのレビュー一覧
投稿者:高橋 乗宣
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21世紀へ
2000/12/28 12:17
20世紀を代表する世界的経営者、盛田昭夫氏の哲学と経営理念を網羅
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本書の著者は盛田昭夫さんだ。日本が誇る世界企業ソニーの創業者であり,日本財界のリーダーであるばかりでなく,日米賢人会議のメンバーをつとめるなど,日本の顔として世界で活躍した20世紀の傑人である。
本書は,その盛田さんが発表した著作物,講演録,社内スピーチ,インタビュー等,あらゆる資料を収集し,精選し,構成したもので,盛田氏の哲学と経営理念が余すところなく展開されている。氏は常に,発言し,かつ行動する経営者であったから,本書は氏の人生録そのものといっても良いだろう。21世紀を目前にして,内外ともに混迷を深めているこの時期に,あたかも闇夜を照らす投光器のように登場した好著だ。
盛田さんと井深大氏とがソニーの前身である東京通信工業株式会社を設立したのは1946年5月のことであり,終戦からわずか9カ月後のことであった。その後まもなく国産初のテープレコーダーを発売し,次いでトランジスタラジオの開発・商品化に成功し,そのビジネスは世界へ飛翔していく。ITの草分けのころから,その研究・開発・実用化に心血を注いだ半世紀であった。
その間に日本経済は,戦後復興から高度成長を経て国際社会への復帰を果たし,製造業の突出した競争力ゆえに,先進各国との厳しいフリクションをかいくぐらねばならないことになる。ある時は超円高で揺さぶられ,ある時は超インフレに苦しみ,そしてバブルで増長し,その崩壊とともに自信を喪失して,いま20世紀を終えようとしている。
この多事多難だった半世紀間の折々に,盛田さんは著作や講演をはじめ,あらゆる機会をとらえて,人々にメッセージを送り続けた。日本的経営を愛しながらグローバル経営を追求し,内に対して厳しく求めるのと同様に,外に対しても決してこびずに決然とモノを言う。そうした盛田哲学の神髄を満喫しながら新世紀を迎えるのは,まことに意義深いことだ。
(C) ブッククレビュー社 2000
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